疏通経絡(そつうけいらく)

Pocket

 中医学の書籍を読んでいると良く出てくる表現に疏通経絡という言葉があります。

 疏通経絡は、疏と流すという意味があり、通には道、届く、とどこおりなくいくという意味があります。経絡はそのままですので、経絡の流れをよくするという意味が疏通経絡という表現になります。

 

 東洋医学では、身体の中に気血津液が流れ続けているのが正常な状態で、流れが悪くなってしまったのが病の原因と考えていくために、病は経絡の流れが悪いと言ってしまうことも強引ですが可能です。

 

 そうなってくると疏通経絡は治療方針として全てに当てはまってしまうのですが、それだとどういった病能把握をしたのかが分からなくなってしまうので、疏通経絡という話しが出てきたときには、経絡だけの問題で考える方がいいと思います。

 

 経絡の問題だけというのはどういう状態なのかというと、経絡の流れが悪くなると、経絡の付帯器官である、経筋・皮部にも影響が出てしまうので、運動・感覚の障害に対する治療方針を疏通経絡にすれば、疏通経絡は運動器系の疾患に対する治療方針だということが分かります。

 

 例えば、肺経の疏通経絡という表現にしたら、肺経に関係する部分の運動・感覚障害だということが分かるので、他の人が見ても意味が通じますし、自分が忘れた頃にカルテを見ても、疏通経絡と書いてあれば、運動器疾患があったということが分かるので、その時の状況を思い出すことが簡単になってきます。

 

 東洋医学では、身体の中に気血津液が流れているのが正常な状態なので、気血が阻滞をしてしまった場合は、不通則痛・不栄則痛と言われるので、身体の中の状態を考えたときにも臓腑の障害による病、深部の病に関しても、不通則痛・不栄則痛とまとめてしまうことができますが、それだけだと痛みが発生している原因が分からないので、結果として不通則痛・不栄則痛という言葉が使われているだけになり、通常は、臓腑や気血の状態を現す、臓腑弁証や気血津液弁証を使っていくことになります。

 

 中医学はシステマチックに感じ、理論的な物に感じていたのですが、細かい身体の状態を把握するために、いろいろな用語が作られているので、上手く用語を使っていけば、病能把握だけではなく、治療でどのように変わっていくのかも具体的なイメージを持って考えられるのではないかと思います。

 

 中医学系の書籍は今まで、何冊も読んできましたが、自分の理解が深まったことによって、見方が変わってきたので、もう一度、中医学の書籍は見直していこうかなと思っています。

 

 東洋医学は見えないことをイメージとして想像して考えていく治療になるので、自分の中でイメージを構築することが大切になってくるので、中医学の用語や話しはイメージ作りに役立つと思います。

 

 ただ、漢字の熟語になっていることが多いので、慣れるまでは苦痛以外の何物でもないですが、慣れてくると、便利な物なのだなというのがよく分かりました。何事も最初は大変ですが、慣れてしまうと何が大変だったのかが自分でも分からなくなるので、知識も時間によって解決していく物の一つですね。

Pocket