経絡のことを勉強すると、用語として出てくるのですが、働きをイメージしにくいのが経別ではないでしょうか。
経別は『霊枢』の中で記載がある内容であり、経別という篇もあります。経別の意味は、表裏経の結びつきを強めるという働きがあります。
表裏経は治療の中で使っていくことも多いですし、関係性が密接という話しになるのですが、表裏経を結びつける概念には絡脈・絡穴と言う話しぐらいしかないので、相互に交じり合う線がないと、結びつきが弱いと考えられてしまうので、相互に関係をするという意味で経別という概念が出来てきたのだと思います。
経別では表裏経の結びつきが強いと考えられるものでもあるので、全部で6つの組合せがあるので、これを六合と呼んでいきます。経別は、経脈から分かれていくものであり、十二経脈から離れるところにそれぞれ離入出合という名前が付けられています。
- 「離」は経脈から出るところで、肘・膝関節付近
- 「入」は身体の深部に入ること
- 「出」は体表や頭頚部に出てくること
- 「合」は表裏する経脈と合流すること
経別のもう一つの特徴として、陽経から分かれた経別は陽経に戻ってきますが、陰経の経別は陽経に繋がって、戻らないと考えられています。これは陰経が体内に流注をすることが多く、臓腑との繋がりが密生であるということと、陰陽の陰は内になるので、陽でもある上・外には直接出てこないと言う意味も含まれている可能性があります。
経別のセットである六合には、それぞれ一合、二合、三合、四合、五合、六合と分けていくことができ、それぞれ対応する経脈があります。
- 一合:膀胱経・腎経
- 二合:胆経・肝経
- 三合:胃経・脾経
- 四合:小腸経・心経
- 五合:三焦経・心包経
- 六合:大腸経・肺経
経別は経穴として使っていくものではないですが、部分としては使えるものなので、経別の流注を知り、関係が深いところは治療で使っていくことができますが、体内・体表と分かれてくるので、経別の概念を使って治療するのであれば、体表部と関係するところに鍼をして、体内流注や他で関係する体表部への治療として使っていくことが出来ます。ツボを意識して使う必要性もなくなってくるので、そういった点では大まかな部分として治療が出来るので、理解できたら便利そうな気がしています。
経別で体表部に出てくるところは離入と出合の2点になり、体内で関連するところがあるので、以下でまとめてみます。
1.一合
離入は膝窩・肛門部で、出合は項であり、体内で関係してくるのは腎・膀胱・心・帯脈・舌になります。
体表部で関係してくるのは膝窩・項になってくるので、項の部分に対する治療としては膝窩を使っていくことが出来るのではないかと考えられますね。
2.二合
離入は大腿上部・陰部付近・足背で、出合は下顎・外眼角であり、体内で関係してくるのは肝・胆・心・咽・目になります。
一合と同様に治療として考えていくと、目や顎の問題では二合を使っていくことが出来るので、足背や大腿上部から顔面への治療をしていくことが出来そうですね。
3.三合
離入は大腿上部・腹部で、出合は口・目であり、体内で関係してくるのは脾・胃・心・咽・目になります。
脾経は咽につながっていくので、通常の流注で考えても関係をしていますが、目への流注はないので、目の疾患に対して脾経を使っていくことも出来そうですね。もちろん、目は肝と関係をするので関係が重要であり、顔面部への流注は胃経・大腸経を使っていくことが必要になるので、それらを使っても変化をしないときに効果が発揮できそうですね。
4.四合
離入は肩関節・膝窩・胸で、出合は顔面・内眼角であり、体内で関係をしてくるのは心・小腸・喉になります。
通常の流注を使った治療目的と変わらないので、それほど面白そうな使い方がなさそうですね。
5.五合
離入は頭項・鎖骨上窩・膝窩下・胸中で、出合は耳後・乳様突起部であり、体内で関係をしてくるのは三焦・胸・喉になります。
三焦経は側頭部へ流注をしているので当然なところと考えられますが、心包経から耳や頭部への治療を考えることが出来るのは、表裏経からの治療と考えられますが、試してみたいところですね。
6.六合
離入は肩髃・頚椎・腋窩・胸であり、出合は鎖骨上窩・喉であり、体内で関係をしてくるのは肺・大腸・喉になります。
こちらも通常の流注と関係をしやすいので、それほど使うのに面白そうだと感じることが少ないですね。
まとめ
完全に個人の興味で楽しんでいる状態ですが、経絡を理解することで、今まで考えていた治療法から変えていくこともできるでしょうし、今まで分からずに使って結果がよかったことが経別などで説明を出来ることがあるので、臨床を始めてしばらく経ってから経別を見て、また時間を空けてから経別を見てみると、同じ内容なのに、感じることが変わるかもしれないですね。