ヤコビー線はヤコビ線とも言われ、腰部の触診においては重要なランドマークになるので、触れるようになっておく必要がある指標です。
ヤコビー線は左右の腸骨稜の一番高いところを結んだ線が第4腰椎付近ということになりますが、鍼灸だとヤコビー線は第4・5腰椎棘突起間として習うことが多いのではないかと思います。第3・4腰椎棘突起間とする意見もあるので、大体、第4腰椎を判断できるポイントだと思えばいいのではないでしょうか。詳細にどこかを知りたい場合は、ヤコビー線から第4腰椎を探して、上下を触れていくことで、確定をしていく物ですね。
腰椎穿刺や腰椎麻酔で使われている指標でもあるので、大体の場所さえ分かればいいので、詳細に拘らない指標とも言えますが、鍼灸だと、ツボと関係をするので、厳密な一点の方が都合いいですね。
ヤコビー線を触れていく難しさは、以下の三点だと思うので、以下の三点に注意をしながら触れていくのがいいと思います。
- 腸骨稜がどこにあるのか
- 腸骨稜の一番高いところはどこか
- 第4腰椎が分からない
1.腸骨稜がどこにあるのか
まずは腸骨稜を触れていかなければいけないのですが、最初のうちはうつ伏せの方が分かりやすいと思うので、うつ伏せの状態で触れるようになるのがいいと思います。うつ伏せになった人がいたら、側腹部に四指が当たるように触れていきます。指先に力が入ってしまうと、側腹部を押してしまうことになり、くすぐったく感じてしまうので、指先で腸骨稜を触れるよりもPIP関節の付近で確認をするようにした方がいいと思います。
慣れていないうちは、指先で触ろうとするのですが、慣れている人はPIPで触っていますし、その方が患者さんも安心した状態になるので、最初からPIPを意識して触れていく方がいいと思います。
体型が大きくて分かりにくいような人でも、上前腸骨棘は簡単の触れていくことができるので、上前腸骨棘から指を滑らせて触っていくのもいいのですが、腸骨稜の一番高いところは、上前腸骨棘の高さからすると、指数本分の違いがあるので、薬指や小指を上前腸骨棘の高さに合わせたら、示指・中指の付近の腸骨稜の高さが来ると思っておく方がいいですよ。
2.腸骨稜の一番高いところはどこか
腸骨稜を触れていける段階にきたら、一番高いところを探していかないといけないのですが、どこが一番高いところなのかイメージをしにくいと思うので、大体、背部で考えたときに、肩甲骨の内縁ぐらいの辺りにあると思いながら触れていくと高さが分かるのではないかと思います。
反り腰になっている人は腸骨稜が前方にいってしまっているので、触りにくいですし、体型が大きな人も触りにくい傾向があります。簡単に触れる方法は前屈をさせていくと、腸骨稜が触りやすいので、下腹部に枕を入れていくと触れやすい状態になりますし、側臥位であれば、身体を丸めてもらえるので分かりやすいのですが、側臥位の場合は、左右の腸骨稜の高さが変わってしまい、脊柱も歪んだ状態になるので、慣れるまではうつ伏せ、座位で大体の位置を触って理解しておくのがいいと思います。
腸骨稜には筋肉が付着をしていくので、骨際を触れようとすると、筋腱の場合があり、ずれてしまうことがあるので、骨と軟部組織の感触の違いは身に付けておきたいところになりますね。骨と軟部組織の触り比べは自分の前腕で行っていくことができるので、暇なときに、骨の硬さと軟部組織の硬さの違いをイメージしておくのがいいですね。
3.第4腰椎が分からない
腸骨稜の高さから結んだ線が第4腰椎ということで、腰椎を触れていくことは誰にでも出来るのですが、何番かを確定するためには、上下から判断をしていかなければいけないので、上下を確定させる必要があります。
側腹部に手を置いた状態で小指が腸骨稜の付近にあれば、示指付近に第11肋骨を触れていくことができることが多いので、そこから中心に持っていくと第12肋骨付近になってくるので、示指の高さが第2・第3腰椎と考えていくことができます。
この段階で、第2・3・4腰椎の大まかな位置関係が分かってくるのですが、最終的に第5腰椎を確定させないとずれているのかが分からないことになってしまうので、第5腰椎を確定していくためには、上後腸骨棘を触れる必要がありますね。
上後腸骨棘を結んだ線は、大体ですが、第2正中仙骨稜のことが多いので、そこから少しだけ上に手をずらしていくと、第1正中仙骨稜になってくることが多いので、仙骨の位置を確定していくことができます。
ヤコビー線で結んだ線と、第1正中仙骨稜の上が第5腰椎棘突起になってくるので、ヤコビー線と第1正中仙骨稜の間が広すぎるようであれば、ヤコビー線で確認できたのが、第3・第4腰椎棘突起間だったということが分かりますし、間がそれほど開いていなければ、ヤコビー線で確認したのが、第4・5腰椎棘突起だったということが分かります。
ヤコビー線だけで全てを確定していくことはできないので、他の体表指標の確認をしながら、位置を決定していくことが大切ですね。最初は悩んで仕方がないところなのですが、気付いたら、当たり前のように触れていくことができる場所なので、慣れるまでは何度も確認をして触れていくことが大切だと思いますよ。