鍼管の使い方

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 鍼灸学校に入ると当たり前のように使っていくのが鍼管ですし、卒業しても鍼管を使って治療している人が多いのではないでしょうか。

 学校の授業では、十七手技を習うので、その時に鍼管のいろいろな使い方をやると思うのですが、卒業してから使っている人ってどのぐらいいるのでしょうか。卒業しても使っている人があまりにもいないのであれば、有効性が低いのか、それとも忘れてしまっているのか分からないですね。

 

 押手だけではなく、鍼管によって皮膚を圧迫することにより、切皮痛を除いていけるものなので、有効性が高いものですし、日本鍼灸の特徴であるので、鍼管の使い方については一回考えてみてもいいのかなと思っています。

 

 鍼管はしっかり使おうとすると、皮膚にまっすぐに押し当てないといけないので、普段から鍼管をしっかりと皮膚に密着が出来ているのか確認するのがいいと思いますね。確認の仕方は、鍼管を押し当ててみて、丸い痕が奇麗に付くようであれば、まっすぐに押せている証拠ですね。

 

 鍼管について少し調べてみたら、杉山流の中で鍼管をよく使っていたようで、解説書もでているので、詳細なことはこちらの書籍を参考にしてください。

『杉山真伝流臨床指南』

 

 鍼管を使っていくのに非常にいいのが、鍼が不慣れな患者さんがいらしたときに、刺激量を考えていかないといけないのですが、鍼を刺して感じる響きが不快なので、嫌いという人も出てくるので、切皮をした後に鍼を刺入するのではなく、そのまま鍼管をたたき続けていくだけでも中まで緩みますね。

 

 お腹の硬さに対して三陰交を使っていくような場合でも、三陰交で切皮をした後にそのまま鍼管をたたき続けていくだけでも、お腹の硬さが弛んでくることがあるので、鍼管の力は凄いと思います。

 

 鍼をしないで鍼管をたたくのでも変化が出てくるのですが、鍼が入っている状態の方が大きく変化をしていくように感じているので、切皮が終わった後もたたき続けることは治療の中でもやっていくことが多いです。

 

 中に硬さがあると響きも感じやすいので、切皮が終わった後も、たたき続けていくと、中の方が弛んでくるので、緩んできたら鍼管を取り除いて刺入をしていくこともしています。

 

 鍼管をたたくのも効果的ですが、切皮が終わったあとに、鍼管だけを入れるように力を入れるのでも身体の変化が出てくるので、たたくのだと刺激が強いという人には、鍼管を刺入するようにしていくこともあります。

 

 お腹では、こういった手技による変化が生じやすいと感じることが多いので、お腹に使っていくことが多いのですが、全身どこでも応用ができるので、鍼管を使うということも治療の中で考えてもいいのではないかと思います。

 

 書籍では、本当にいろいろなやり方を紹介しているのですが、全部を覚えて行うのは私には難しいので、自分なりに鍼管を使うやり方を考えている状態ですね。

 

 ただ、やってみて思うのは、プラスチックの鍼管で行っていくよりも、重さがある鍼管で行う方が効果あるのではないかと思っています。

 

 片手挿管をしていくときにもプラスチックの鍼管よりも重さがある鍼管の方が回しやすいですし、手に安定をしやすいので、鍼管は重いやつを使っていく方がいいのでしょうけど、今はディスポが中心なので、なかなか使う機会がないですね。

 

 鍼管もいろいろな種類が出ているので、いろいろと買ってみたのですけど、最近はディスポばかりなので、鍼管の出番がない状態が続いています。鍼体がステンレス製の物を選択すれば、重い鍼管にも合うのでしょうけど、消毒などの手間を考えると、なかなか使うことがない状態になっています。

 

 ふと思い出したときに、重い鍼管を使って治療することがあるのですけど、何となく、いいように感じることが多いですね。具体的に何が違うのかというのを説明するのは難しいのですけど、はまっているというか、まとまるというか、何となくいいのです。

 

 もし、使っていないステンレス製の鍼管などを持っているようだったら、鍼管の使い方を工夫してみると、普段の治療が変わってくるかもしれないので、試してみてください。

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