技術は練習と経験によって成り立ってくるので、とにかく触って考えて、練習を積み重ねていくことが重要なのですが書籍としていいのはあるのでしょうか。
いろいろな書籍を見ている中で、意外とシンプルで見やすいなと思ったのが『刺鍼基本テクニックのマスター教本』です。初心者にとっては、鍼を扱うのは注意点が多いので分かりにくくなると思いますが、確認をするのが楽だと思います。
『改訂2版 刺鍼基本テクニックのマスター教本~木下伸一から学んだ師弟教育~』
最近に私は買ったのですが、基本的なことを注意していたつもりでも、注意がおろそかになっているところがあったなと気づくことが多く参考になりました。治療についての話しも書かれていますが、治療方法を学習したいという人にはちょっと物足りないのかもしれないですね。
非常にいろいろなところを網羅しているので、国家試験に向けての学習と鍼の練習のためにはいいと思うので、学生の方にお勧めできる書籍だと思います。実技に関しては学校や先生によって違いがあるでしょうけど、基本は大きくは変わらないと思うので、どの辺りに注意をすればいいのかという参考にいいでしょうね。
体内の硬結などに対して鍼をするのも図示されているので、刺鍼を行った先のことをイメージしていくことができるので、刺鍼へのイメージ化が出来るのではないかと思いますね。
細かいところは習うことや行っていることと違いがあるのかもしれないですが、参考になるところは多いですよ。私は、切皮をする場所は示指のDIP関節部なのですが、書籍だと示指の先端なので違いますが、私は既にDIPでコントロールすることが慣れているので、書籍の通りにはしません。
こういった姿勢さえあれば、自分に利用できるところは利用するというスタンスになるので、練習の仕方やイメージ化にいいと思います。
鍼を刺入していく方向や治療ということで考えていくのは臨床的な内容になりますが、この場合は『経穴の使い方鍼の刺し方』は参考になることがあるのではないかと思います。もちろん、自分なりのやり方が完成しているのであれば、書籍を読む必要がなく、ひたすら臨床の中で研究を重ねていくことが必要になるでしょうが、初心者にとっては、どうやって治療で使っていけばいいかという具体的なイメージがつきにくいので、鍼の刺し方を変えることによって、ツボの効果を変えるという視点は大切なのではないかと思います。
『経穴の使い方鍼の刺し方―上地先生の実戦鍼灸学』
私自身もいろいろな刺入方向を試していますが、書籍の中では上地先生の臨床で実験をした歴史がまとめて書かれているので、試していない方向があるのであれば参考になることがあると思います。
鍼を曲げながら刺入をすると言う、やや現実的にはリスクが高い物も紹介されていますが、その場合は、鍼を何本か使っていくと考えれば、ツボの効果を増やすために鍼数を増やすのも考慮していいのではないかと考えていけるのではないかと思いますね。
どちらの書籍もレビューが少ないので、本当にいいのかが分からないと思いますが、初心者に取っては参考になることが多いと思いますよ。臨床に出ていて、経験がある人に取っては物足らないところが出てくるのは当然ですが、参考になることが少しあり、それで一生使っていけるのであれば、高い物ではなく、安い物なのではないかと思います。
本は読んで参考になったとしても忘れてしまうので、手元にあると、時間が経ってから見てみると、そういえば、これはやっていないし、気を付けていなかったなという気付きが生まれるので、自分の技術向上にも役立つと思いますね。
買える本の量には限りがあるので、この2冊と『特殊鍼灸テキスト』を学生中に購入しておけば、技術に関する書籍は当分の間は購入しなくてもいいのではないかと思いますね。
『特殊鍼灸テキスト』
『特殊鍼灸テキスト』は鍼灸のやり方をとにかく広く集めてまとめているので、どういった鍼灸治療がしていきたいのか悩んでいる方にも便利なのではないかと思いますね。これだけの分量が載せられていて、この価格は安いと思いますよ。
自分でどういった治療法がしたいというのが出てくるのであれば、後は、必要な書籍を購入していけばいいので、鍼が出来るようになるということから、ちょっとは治療で使えるようになるというのは、この3冊でいいのではないかと思います。