東洋医学の病気の考え方

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 東洋医学は原因と症状がどういった状況であっても治療をすることが出来る医学です。

 例えば、現代医学で、もう治療がないので、ケアをするのみだという状況になったとしても治療方法があり、治療をすることが出来ます。ただ、治療をすることが出来ても、結果は保証できないです。

 

 東洋医学は、現代医学の医療体系とは違うので、身体の中に気血津液があり、臓腑によって機能していると考えていくので、例え、亡くなりそうな状況であったとしても、気血津液の状態や臓腑の状態を考えていくことで、治療を考えていくことが出来ます。

 

 そういった点では、治療がないと言われた人の最後の砦として考えていくこともできるのですが、現代医学で非常に難しい疾患だと言われる物は、東洋医学でも非常に難しい状態になります。

 

 例えば、現代医学で原因不明の痛みなので対処ができないという話しがあったとした場合、東洋医学では、痛みの原因は不通則痛・不栄則痛と考えていくので、痛みは気血津液が循環を出来ていないので、気血津液の循環改善を行えば、痛みは改善をするだろうと考えていくことが出来ます。

 

 ただし、気血津液が不足をして循環できていないのか、不足をしていて十分に循環できていないのかという虚実の鑑別や、気血津液の運行を行う臓腑の働きが失調をしていることで発生をしているのかという原因は考えていくことは必要になります。

 

 こういう状況で東洋医学が得意とするのは、手術をするほどではないけど、困っている。薬を飲まなければいけないという状況ではなく、薬を飲むと落ち着くけど、薬を飲まないでいたい。大きな疾患がある訳ではないけど、身体の不調を感じているというような状況では東洋医学は有用性があるのではないかと思います。

 

 もちろん、どんな疾患でもたちまちよくすると言う人もいるでしょうが、末期に関わって治療をしている人からしてみると、末期は末期だし、そこから回復するのは難しいということから、東洋医学が身体に働きかける力というのは、本人の持っている力を助けることはあっても、別人にすることが出来る訳ではないだろうと思っているからです。

 

 東洋医学が代替医療や補完代替医学と言われる理由としては、現代医学で効果を発揮しにくいというところでも、対応することが出来るということがあると思います。

 

 普段の治療の中で、患者さんから病名を聞くと、治療は難しいだろうなということは沢山ありますが、その現代医学的な病名に捉われてしまうと、治療をすることが難しくなってしまうので、東洋医学の考え方というのが重要になってくると思います。

 

 私は患者さんの治療をする上においては、病名を聞いて、それは難しいという話しをしますし、改善ではどの程度可能性があるという説明をした後に、東洋医学では治療は出来るので、治療することは可能ですけど、効果に関しては、身体の状態にも関係をすると説明をしていきます。

 

 言葉だけで説明をしていくのはなかなか難しいですし、患者さんに理解をされるのも難しいのですが、東洋医学の考え方を少しは説明をしながら、理解をしてもらえるように心がけています。

 

 こうやって書くと東洋医学は限界が多いのではないかという考えになる方もいるでしょうが、東洋医学だけでよくしようという気持ちを持って、技術と知識の向上に努めるようにすることが医療に関わる上では大切なことだと思っています。

 

 今は、いろいろな方が研究をされて、難しい疾患に対しても治療をして結果を発表してくれているので、そういった方の治験も大切にしながら、自分が何を出来るのかを考えていくことが大切なのだろうと思います。

 

 鍼灸の日常診療では、しびれの治療をすることも多いですし、改善をすることも多いですが、改善をしないという状況も経験をしてきたので、今までの経験を踏まえて患者さんに説明をすることも多いです。

 

 例えば、しびれに対する治療をしてみて、治療中では軽減をすることが多いですが、どれぐらい効果が持続するのか、しびれが軽減していくのかを様子を見ながら治療をさせてもらって、どれぐらいで変化をするのかと予測を伝えることも最近は多くなりました。

 

 以前は、どうなるのか全く分からないので、正直に分からないと答えていたのですが、経験を積むことで変化をしていく可能性も考慮が出来ることがあるので、これは成長の証なのだろうなと思います。

 

 諦めないことは非常に大切ですが、かなわない夢を目指すというのは患者さんにも治療者に取っても辛いことなので、現実的にいようとは思っています。

 

 ただ、夢を目指しているときは一番幸せという状況があるのも理解はしているので、夢を目指し続けるというのも大切なのだろうなという思いはあるのですが、やっぱり現実的になってしまいますね。

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