小柴胡湯(しょうさいことう)

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 1994年に小柴胡湯を服薬中の方が重篤な副作用の疑いで死亡をしたというニュースが流れたので、有名な漢方薬の一つではないでしょうか。

 小柴胡湯の事件では、1991年に間質性肺炎の副作用が指摘され、1992年にはインターフェロンとの併用による副作用症例が増加し、結果として肝臓の治療薬として使われているインターフェロンα類との併用が禁忌とされました。ただ、インターフェロンとの併用ではない場合でも副作用報告があったことから、漢方薬でも副作用があるので注意が必要だという認識になっていきました。

 

 副作用として生じてしまったのは非常に残念ですが、漢方薬の危険性を知ってもらうためには重要なニュースだと思います。漢方薬では身体にマイルドで効果が少ないと考えている患者さんもいますが、身体に適応をすると大きな変化を起こすことがあります。

 

 小柴胡湯は肝臓疾患の症状に対して用いていくと効果があったのですが、肝臓の働きが低下をしてしまっていると、副作用になってしまうことがあるので、服薬には注意が必要ですね。

 

 小柴胡湯は、和解少陽剤とも言われ、風邪が長引いたときに生じる、胸腹部の不快感が生じている場合に使っていけるのですが、自律神経の乱れがある方にも使われているようですね。

 

 小柴胡湯を使っていく人は、「往来寒熱、胸脇苦満、食欲不振、胸苦しさ、むかつき、口苦」のような症状がある人ということですが、和解の中では基本の物になります。ここから症状が変化をして言った場合には、大柴胡湯や柴胡加竜骨牡蠣湯に変えていくことがあります。

 

 便秘、下痢、腹痛という消化器症状が強くなってきた場合は大柴胡湯、精神不安や不眠と言った精神的な問題が生じた場合は柴胡加竜骨牡蠣湯を使うと言われています。

 

 少陽病は八綱弁証では半表半裏証とも言われる状態であり、鍼灸の考え方で言うと、肝鬱気滞から脾胃の働きにも影響をしている状態とも言えますね。寒熱では停滞も発生をしていることから熱化が生じている状態になります。

 

 初期は小柴胡湯で治療を行い、脾胃への影響が大きくなったら、大柴胡湯。熱は炎上して、心に影響をしやすいので、心と関係をする精神不安や不眠という症状が出たら、柴胡加竜骨牡蠣湯という使い方なのかなと思います。

 

 柴胡・黄芩は清熱の働きがあり、柴胡は往来寒熱に対して効果を発揮すると考えられます。甘草・大棗・人参は脾胃の働きにも影響を与え、半夏・生姜は胃の調整をすると考えられます。

 

 小柴胡湯は、副作用でニュースにもなっているので、東洋医学に関係する人には必ず知っておいてもらいたい漢方薬ですね。

 

 鍼灸で考えていくのであれば、肝の調整をするのが重要になってくるので、小柴胡湯での治療では、太衝、合谷足三里を使っていくのが良さそうですし、期門もいいとは思うのですが、期門は場所的に気胸のリスクが高いところになるので、使うのはお勧めしないですね。肝兪も刺入方向と深度は注意をしないといけないので、刺鍼を行う時には体表のランドマークの確認が重要ですね。

 

 大柴胡湯のような状態になった場合は、脾胃への問題が強く生じているので、足三里だけではなく、中脘、三陰交を加えていくのもいいのではないかと思います。

 

 柴胡加竜骨牡蠣湯の状況になったら、心に影響が出てきているので、心に関連する経穴を使っていくのがいいのではないかと思います。

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