鍼灸師以外の方と話をしていると、たまに出てくるのがクイック鍼灸をやってみたらどうかという提案です。

　クイックマッサージ、クイックカットと同様に時間が短く手軽に出来る鍼灸があれば、潜在的ニーズを掘り起こせるので、売上が上がりやすいし、普及に繋がるし、いいのではないかという話ですね。

　確かに、そういった可能性があるとは思っているのですが、私の頭ではかなり難しいのかなという気持ちがあります。これは先入観の問題だと思うのですが、鍼灸は治療という認識が弱く、国家試験というのも知られていないのですが、いざ受けようと考えると、痛いのではないか、悪化をするのではないかというマイナスイメージが大きいですね。

　こういったマイナスイメージを払拭するのは、広告か普及でしか解決を出来ないのですが、広告はメディアに広告を出すという動きは業界としてはあまり見られていないですし、普及と言っても、どこにでも鍼灸があって、周りがみんな受けているという状況にならないと普及をできたということにはならないので、難しいところですね。

　業界としてメディアに広告を出しているのかもしれないですが、記憶に残るようなところに広告を出稿していないので、一般の方からすればやっぱり目に触れないですよね。メディアに広告を出すというのは非常にお金がかかるので、小さい治療院が多い状況だとやっぱり普及には難しいところだと思います。

　業界のことを考えてみると、整骨院、病院では部分鍼灸での治療もしているところがあるようなので、クイック鍼灸という分野のニーズがあるのでしょうけど、大きく拡大していくためには、潜在的な顧客を増やさないといけないので、やっぱりマイナスイメージを払拭できるような状況が必要ですね。

　クイック鍼灸を提案される方は、クイック鍼灸があれば、値段的にも入りやすいし普及をするという考え方なのですが、では入ってみますか？という質問をすると、及び腰になることが多いですね。

　やっぱりマイナスイメージがあるという点と、クイックは雑、適当というマイナスのイメージがあるので、「怖い」というのが出てくるからだと思います。

　クイック鍼灸を考えていくためには、鍼灸師や社会のことも考えていかないといけないので、鍼灸師だったらどう思うかと考えると、クイック鍼灸はやりたくないという人が多いのではないかと思ってしまいます。

　鍼灸師は、全身治療をしてよくなる手伝いをしたいというのがあるのですが、局所治療だけだと身体がよくなりにくいし、本質的な物が改善出来ないので、物足らないからやりたくないという人も出てくる可能性がありますね。

　ただ、こればかりは他のクイック業でもあることでしょうから、ビジネスとして根付いていけば、やっていける可能性はありますね。

　私としては、局所を散々やっていくと、身体に対するイメージも湧くし、部分としてのスペシャリストにも成れるでしょうし、数をやれば上達するのも早いので、仕事としてあったらやってみたいと思いますけどね。

　実行するのに後は難しい点は、場所を借りられるかどうかという点もあるのではないかと思います。鍼灸は先ほどのところでも書きましたが、潜在的にはマイナスイメージが強いと感じているので、賃貸を借りるときに、雑・適当というイメージが先行をしてしまうと、事故が発生をしてしまうのではないかという思いになってしまうので、借りる時に難色を示される場合があるのではないですかね。

　鍼灸院は今までもたくさんあるので、問題にはならなそうですが、新しい業態になると、どうなるかが分からないので、鍼灸師だけではなく、周りの不安も考えてもいいのかなと思いますね。

　多くの人が思いつくことなので、ビジネスとしては失敗するかもしれないし、思いつくけどやっていないので成功するかもしれないし、結果としては分からないですが、みんながたどり着く考え方でもあるのですね。