風市は胆経の経穴で大腿外側部にありますが、中風七穴、脚気八処にも含まれるので、国家試験前は覚えている経穴の一つですね。
風市は大腿外側にあって、直立した状態で、中指の尖端があたるところになるので、取穴をするのも簡単に行えるところなので、使おうと思えば使いやすいところなのですが、衣服・治療着がある高さなので、ちょっと使いにくいところですね。
風市の漢字は、風は風、市は集まるという意味があるので、風が集まる場所と言えますね。中風七穴は風に中(あた)る病になるので、風市が効果的だと言うことができますね。ただ、中風七穴は1説と2説がありますが、風市は両方に入っていないですが、何故なのかは分からないですね。
脚気八処にも含まれていますが、脚気の症状が「全身倦怠感、下肢倦怠感、食欲不振、足のしびれ、麻痺、むくみ、動悸、息切れ」であり、足のしびれ、麻痺などが風の症状として考えられますし、下肢の倦怠感があるので、下肢で風と関係しやすい風市が入れられているのだろうと思います。
脚気は現在ではビタミンB1欠乏によって発生するのが分かっているので、飲食に注意をし、ビタミンを摂取したら改善するということが分かっていますね。
風市は下肢にある経穴なので、下肢のだるさに効果があるだけではなく、風に対する治療にも使っていくことが出来るので、しびれ、ふるえ、痒み、麻痺に対しても使っていくことが出来ます。
現在だと脳血管障害後遺症で、片麻痩になることが多いですが、そういった方に対しても使っていける経穴になるので、応用範囲が広い経穴だと思います。現代医学的に考えれば、腸脛靱帯と関係をしているので、ランナー膝(腸脛靱帯炎)にも使っていくことが出来ます。
私自身は、腰痛の方によく使用する場所でもあるのですが、腸脛靱帯の後方陥凹部に取穴をするので、仰向けの状態より、うつ伏せの状態で使っていく方が使いやすいと思います。
手技療法であれば、仰向けでも使っていくことができますし、使いやすい場所ではないかと思います。
風市に真っすぐ治療を行いたいのであれば、側臥位で行うのが一番やりやすいところでもあるので、必要であれば側臥位も検討するといいと思います。
最初に風市に注目したときは、筋層も厚いし、大腿骨までは距離もあるので、深く刺入をする方がいいと思っていたのですが、深く刺入をしてもあまり変化が見られなかったので、使い方が分からずに、使わない状態が続きました。
たまたま、手技をしているときに、ランナー膝が発生をしている人で、いつもならば、股関節の外側で腸脛靱帯がつながる大腿筋膜張筋から治療をするのですが、たまたま腸脛靱帯と直接関係する場所をやってみようということで使ってみたら、結構な改善が見られたので、それ以降に風市を使っていくことになりました。
腰痛の方に使用をしてみたら、腰痛も改善する場合があるので、ランナー膝の人だけではなく、腰痛の方にもよく使用する場所になりましたね。さらに、側腹部が硬い人に対して、側腹部へ直接刺激を入れてもいいのですが、くすぐったいし、響きも強く感じやすいところなので、風市からアプローチをしたら変化をしていくので、身体を整えるときにも使用するようになりました。
先に手技で効果について確認できたので、手技で触っている深さを考えると、圧はそれほど入れていなかったので、鍼も浅くていいのだなと気づくようになりましたね。
鍼の刺入は1㎝も要らない場所で、刺してすぐに硬い物にひっかかるので、その場所で鍼を留めておくと、身体の緩みが発生をしやすいというのに気づきました。使えるということが分かれば、使いたいと思うので、よく使用する経穴になりましたが、刺入深度は浅い方がよく効果が出るなと思っています。
胆経は、身体の側面に流注をしていて、刺そうと思えば深く入るところも多いのですが、他の経穴を使用してみた感想から言うと、比較的浅目で使っていく方が効果は出やすいのではないかと思っています。
本当に浅目がいいのかということについては、調べるだけではなく、経験を積んでいかないといけないので、現在のところ胆経は浅目でやろうかなという程度です。