脈診の上達の仕方

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 脈診は感覚で見ていくものなので、個人差が大きく、上達するのに時間もかかるし、分かりにくいと感じる診察法だと思います。

 脈診はいろいろな方の脈を診ていくことで違いを理解していくのが簡単なので、多くの方の脈を診ていくのが必要になると思います。

 

 感覚を鍛えていくためには、違いを理解できるようにならないといけないので、脈診が上達するためには、違いを経験することが大切になります。そんなことを言っても違いを理解できないから困るという話しが出てくると思いますが、理解しやすい違いから理解していくことが必要になります。

 

 鍼灸院、整骨院、整形外科で勤務をすることが多いと思いますが、運動器疾患を診ることが多くても、内科系疾患を診る機会が少ないですし、本当に悪い人は来られないので、比較的健康な方の脈しか診ない状況が多いと思います。

 

 運動器疾患がほとんどだと脈の違いを理解するのは難しいのですが、月経が安定してきている女性の方はいるはずなので、そういう方の脈を継続して診ていくと違いが分かるようになります。

 

 私は脈診がよく分からないときに、継続して脈を診ることをしていたのですが、月経時のときに、本当に少しだけ何か違うというのが分かったので、患者さんに尋ねたところ、ちょうど月経ということでした。

 

 普段から脈を診ていると、身体の状態が変わったときに気付くことが出来るので、脈診が分からなくても、見続ける意味は非常に大きいと思います。

 

 女性の方で月経が周期的にある方を継続的に治療できるのであれば、脈を診続けていくと、いつもと脈が違うのではないかというのが分かれば、それが月経の時のことが分かるのではないかと思います。

 

 女性の月経周期の脈を考えてみると、正常時を滑だったと仮定をすると、排卵・月経前は肝の働きが強くなるので、弦脈が生じる可能性が高くなります。月経時は血が外部に流出することにより、気血の流れがよくなっているので滑脈になることもありますが、血が多く出ている場合であれば、細脈が生じる場合もあります。

 

 こうやって、正常な人でも脈が変化をするというのを頭に入れておくと、その人の脈の違いが分かるようになるので、他の方の脈でも違いがあるのではないかと考えて診ることができてくると思います。

 

 同じ疾病を持っている方であれば、同じ脈が発生していることがあるので、現代医学的な病名を聞き、同じ疾患があれば積極的に脈を診るようにしていけば、疾患と脈との関係性があるのではないかと思えるようになると思います。

 

 違いがある、変化をするというのさえ理解できれば、新たに脈を診る場合でも、身体の状態に問題が発生しているのではないかと考えていけるので、脈診を治療の中で取り入れていくことができます。

 

 脈の種類にはいろいろありますが、浮沈遲数虚実の祖脈が重要になり、祖脈さえしっかりできれば、脈のイメージが出来てくるので、特殊な脈の名前と状況も理解できるようになると思います。

 

 例えば、濡脈は浮で触れるけど、少し弱い脈なので、祖脈として考えれば、浮・虚が同時に現れている状態とも言えるので、祖脈だけを診ることを続けていけば、勝手に濡脈を理解していくことにも繋がります。

 

 他の脈も同様に祖脈を理解していくと分かることが多いですし、祖脈で上手く説明できないものは特殊な脈の場合があるので、その時に理解が出来ると思います。

 

 滑・濇も理解をしておくと、身体の状態がよいのが滑、悪いのが濇と分類していくことが出来るので、気血の循環がいいか、悪いかを判断できるので、治療の予後を予測することにも使えます。

 

 脈診を自分の治療の中に取り入れていくと、脈診で身体の状態を判断するのに必要な物になってくるので、治療に応用していくことも可能になります。脈診の使い方に関してはこちらのブログを参考にしてください。

脈診の簡単な使い方

 

 脈診が身近なものになると、手放せない状態になっていくと思いますし、その人の脈はどうなのかを予想していくことにも繋がるので、身体の状態に対するイメージがより深まっていくと思います。

 

 例えば、元気そうな人であれば、浮・実・数・滑があるなと予想をすることができ、予想と違う脈が出ているのであれば、状態が悪いことになるので、予想と同じ脈にするためにはどうすればいいのかを考えていけば、治療をより深く考えていくことも可能です。

 

 私自身は脈診にはそれほど抵抗はなかったので、脈診が上達するためにはどうすればいいのかを考えた結果、とにかく触り続けるということになりました。ただ、触り続けるだけでは、診察する力が弱くなってしまうので、少し注意をして診るようにしています。

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