鍼灸や手技で治療効果を出すためには順番が大切です

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 鍼灸や手技をやり始めたころは、どうやっていけばいいのか分からないことも多いでしょうし、決められた手順で行うという状態だと思いますが、治療効果を出すためには、治療の順番が重要になっていきます。

 治療の順番があるのであれば、順番を含めた教育をするのがいいのではないかと言えるのでしょうけど、学校の授業で、治療の順番って習うことってなくないですか?というか、私が習った記憶がないです。あったらごめんなさいですけど。

 

 そんな重要な物であれば、絶対に教えてもらった方がいいだろうと思うのですが、相手の身体の状態によって変わってくるので、順番は治療に入る前、治療中で大切になってくるので、自分で考えていくことが重要になります。

 

 例えば、手技は基本の順番がしっかりしているので、最初は軽擦から始まりますが、軽擦をすることによって、身体の状態を確認して、どこから治療に入るのか考えることにも繋がっていきます。

 

 治療の順番を意識するようになるのは、治療を考えるようになって初めて出てくる物なので、最初の段階は誰かの順番を利用するか、やりやすい手順として決めてしまうのも一つの方法になります。

 

 例えば、腰が痛いという状態は鍼灸や手技では多く対応する状況だと思いますが、腰部を触れてみて、硬さがあったときに、どのようにアプローチをするのかを考えていくことが順番を作ることに繋がっていきます。

 

 慣れていないうちだと、腰部の辛いところをまずやるか、順番通りにやって、腰部を確認していくのかと考えていくのが通常ですが、経験が出てくると、この硬さはこちらからやった方がいいのではないかと考えられるようになってくると、身体の状態をしっかりと確認していることになり、腰部の硬さを緩めるのに、順番が出来あがっていきます。

 

 先ほどの腰部の硬さがあったときに、腰部の表層が硬いのか、深部の方が硬いのかを考えていくことも大切で、表面が硬いようだったら、皮膚が引っ張られているのか、表層に近い筋肉のひっかかりがあるのかを考えていけますし、深部の硬さであれば、深層の筋肉の動きが悪いし、腰椎の動きがよくないのではないかと考えていくことができます。

 

 表層の硬さがあるのであれば、いろいろと治療を考えていくことができるので、皮膚が張っている状態であれば、皮膚をつまむ、ひっぱるというのが最初の処置として使っていけるものになりますし、東洋医学的に考えれば、寒邪の収引性によって縮められているのではないかと考えていくこともできます。

 

 表層でも皮膚ではなく、筋肉だと感じたのであれば、腰部の表層の筋肉には広背筋があるので、広背筋を先に緩めないと、深部に到達しにくくなるので、広背筋の走行、起始・停止を意識した治療を行っていくことが必要になります。

 

 関節の動きが硬いことによって、深部から表層まで硬さが発生していると考えたのであれば、軽いストレッチをしてから治療に入った方が効果も出やすいのではないかと考えていくことができますよね。

 

 表層が硬いと治療をしていくまでに時間がかかるので、治療前に身体を温めるような機械や道具を取り入れていくことで、治療前の処置をするというのを取り入れることを考えていけば、治療に入る前の順番が出てきますし、深層を最初から触りやすくなることにもなります。

 

 身体の深さということでは、五行では五体(五主)という考え方があるので、どの構造が硬いのかによって、臓腑を使い分けていくことができます。この場合は、四診から弁証を出すのではなく、触った感触によって、身体の体質を五行に分類をしていく方法になるので、いつでも、誰にでも行える方法の一つですね。

 

 鍼灸の場合は、臓腑を出すことによって治療の順番を考えていくこともできますし、鍼を刺す深さを最初は浅くしてから深くするという方法を使うことができますし、表層だけの問題が強いのであれば、表層だけの治療で済むのではないかと考えていくことができますね。

 

 表層の変化が出てきて、深層の問題が気になるようだったら、表層のときに考えたように、次は何をしていこうかと考えていけるようになるので、適当に治療をしているようで、実はかなり考えてから治療をしていることになります。

 

 鍼灸や手技で順番が大切という話をしたのは、身体の状態を考えて自分なりにどうやって治療をしていけばいいのかを考えていくことが結果的に病態の把握を行って、改善をさせていくという道筋ができるので、患者さんの身体の状態をしっかりと見ながら、自分なりに考えていくのが大切という意味になります。

 

 最初の段階で難しいのは、触った時に、身体のどこが硬いのか、どこの動きが悪いのかが分からないということなので、正常な硬さ、正常な動きを理解して、覚えておくことが大切になります。

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