極泉

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 極泉は手少陰心経の経穴で、腋窩中央で腋窩動脈拍動部と関係をしているツボですが使用している人は少ないのではないでしょうか。

 極泉というツボの名前は極が尽きる場所という意味や高いという意味があり、泉は水の湧き出るところなので、身体の上部であり、心経が湧き乱れてくるところという意味で極泉という名前が付けられたとされています。

 

 心の働きは精神とも関わりますが、血の流れとも関係をしやすく、位置的にも動脈があるので、血が豊富に流れ落ちて来る滝のようなイメージもあったのではないかと思います。

 

 腋窩部は腋窩動脈だけではなく、付近に腕にいく神経が走行している場所になるので、刺鍼をしていくときには注意が必要な場所になります。

 

 私は手技で治療をしているときに、腋窩付近に硬結が多いと感じることが多く、どうやったら前後腋窩を緩めることが出来るのかと思い、大胸筋・広背筋・僧帽筋を狙って施術を行っていたのですが、満足がいく緩みがなかなか出てこなかったので、それならば中央はどうなのかと思って使うようになりました。

 

 極泉部は神経・筋肉が細かく走行をしているので、筋肉の走行を辿って手技を行っていくと到達をするのですが、ほとんどの人が腋窩はくすぐったいと感じてしまうので、軽めの力ではなく、手根や両母指で圧迫をするようになりました。

 

 手根を使っていくときは仰向けの姿勢で肩関節を90°屈曲させていくと、腋窩が触れやすくなるので、手根で圧迫をするように行うようになりました。強く圧迫をしてしまうと、痛みも強く出やすいところなのですが、持続圧や揉捏を加えると、肩周りの緩みが出やすいので、圧加減に注意をするようにしながら行うようになりましたね。

 

 肩関節の可動性が高すぎる場合、脱臼が癖になっている場合は、とにかく注意をしないといけないですし、皮膚刺激も弱いところになるので、皮膚を滑らしてしまうことが多いと、皮膚が痛くなってしまうので、注意が必要なところになります。

 

 手技で使っていくときに、少し深めを狙っていくと、かなりコリコリとした物があり、その部分を刺激すると、手の方までビリっとした刺激が生じることも多いです。上腕・前腕・手指に障害がある方は刺激が届くと痛みや硬さが緩むこともあるのですが、刺激が強いので、受けている方は苦痛に感じやすいので、鍼だったらどれぐらいの刺激になるのかなと考え、鍼をよく使うようになりました。

 

 鍼を刺入すると痛みが出やすいのかと思っていたのですが、切皮痛は感じることもありますが、他の部位と比較すると、響きは感じにくいところかなという印象があります。刺入深度としては1㎝程度ですね。

 

 それ以上の刺入を行っていくと、神経に刺激がいくのか、指先まで電撃様の響きが出ることがありますが、お勧めはしない方法です。強い拘縮があった場合などはすっきりするということもあるのですが、刺激としてはかなり強いと思うので、刺鍼していく際には注意が必要だと思います。

 

 個人的には、極泉からやや前方、やや後方に向って斜刺で刺入を行っていくと、肩の前後にアプローチできるので肩前後の硬さや痛みに対しても効果的だと思いますね。

 

 その場合の刺入深度は2㎝程度で行っていくことが多いですが、刺入するときは肩関節を90°屈曲した姿勢で行います。極泉から体幹方向に向けて刺入をしてしまえば、鍼先が胸膈の方に向っていってしまうために、気胸のリスクがあるので注意が必要だと思います。

 

 さすがにお灸を使用という気にはなれないところなので、自分でもお灸はしたことはないですね。

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