動診は整体などの話しで出てくることが多い単語で、身体の動きを診ながら身体の状態を把握する方法だとされています。
東洋医学の診察を考えたときに、身体を診るのは全て動診を意識していくことが大切なのではないかと思います。人が生きていると言う状態は、生命現象があり、気血が循環をしているので、動が基本になり、静は生きていない状態になります。
動診をもとに診察方法を考えてみると、脈診は、その場だけの静を見るのではなく、身体の気血の循環を見ていることになるので、動診の一つとも言えるものではないのかなと思いました。
声や顔色を考えたときにも静止の診察と考えることもできますが、声や顔色は少しの影響によって変化をするものですし、動診だと考えてもいいのではないでしょうか。問診も、その時の状況や過去の話しをしていますが、声状はその時々によって変化をするので、動というのを意識すると、診察のスキルが向上していく可能性があるのではないでしょうか。
例えば、話しをしているときにトーンが少し変わったのであれば、重要な変化になるので、そこに隠された何かを考えていくことは、その人の状態を把握する助けになるところもあると考えると、動診が診察の基本だと考えていくことができます。
とは言っても、脈診をしているとき、問診をしているときに、動診だと意識しながらやるというよりは、いつもより注意深く診察することになってしまうのですけどね。
ただ、動診は動きを見るということにも関係をしているので、患者さんが痛みを訴えている場合でも動きをみて、動作の確認をすることは非常に大切なことなので、今以上に取り入れていかないといけないのだろうなと思っています。
患者さんの身体の動きを診ていくことによって、どこの場所は使いやすくて、どこの場所が使いにくそうなのかを知っておけば、治療においてはポイントになることもあるでしょうし、指導を行う時にも、その場所を意識してストレッチや運動を行ってもらうだけでもかなり効果的なのではないかと思います。
ただ、動きを診ながらの診察は注意をしないと、余計に悪化をすることがあるので、動作の診察って非常に難しいところがありますね。治療後に動作の確認をするのも動診として大切なのですが、せっかく治療をした後に動きを確認したら悪化をしてしまうことがあるので、注意をしないといけないですよね。
動診では、静止画の状態ではないですし、全体の中で診なければいけないので、経絡や骨、筋肉の知識があって、動いているときに、経絡人形が歩いている、骨模型が歩いている、筋模型が歩いているという状態で診ていかないと役に立たなくなってしまいます。
最初の段階では、そこまで理解して診るのは大変なので、まずは動きが悪いところ、痛みがあるところ、違和感があるところを確認して、経絡・骨・筋だったら、どういった原因があるのかを考えていくのがいいと思いますね。
人の動きを理解しようとすると、3次元で動いているので、前後・左右・捻りがあるので、把握しようとするとかなり大変ですが、前後・左右は比較的診やすいところだと思います。難しいところは捻りになるのですが、捻りが問題となっていることが非常に多いので、捻り・ねじれを意識してみるようにすると理解していきやすいと思いますよ。