むちうちの症状・経過と鍼灸治療

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 むち打ち症は、自動車等の追突、衝突、急停車によって、頚部がムチのようにしなってしまった後に起こる症状を総称したもので、正式には頚椎捻挫、頚部挫傷、外傷性頚部症候群などと呼ばれています。

 むちうちと一般的に呼ばれているのは、事故後の頚部付近の痛みを表現することが多いですね。細かく分けると、頚椎捻挫による痛み、めまいや耳鳴りなどの自律神経症状が発生するバレー・ルー症候群、しびれ・脱力感と関係をする神経根症状、知覚・歩行障害を発生する脊髄損傷、脳髄液減少があるとされています。

 

 脊髄損傷・脳髄液減少に関しては病能としても重いですし、危険な状態になっていることもあるので、鍼灸治療で対応というよりも、病院で対応をしているのが多いと思います。

 

 頚椎捻挫、バレー・ルー症候群、神経根症状は遭遇することも多いので、対応することが多いでしょうから、事故により、頚部に痛みが出て、手のしびれがあり、たまに耳鳴りが発生をするというのが治療院のむち打ち患者さんで多いと思います。

 

 むちうちをした後は、いろいろな症状が出てくるので、どれがむちうちの症状なのかと断定するのが難しいのですが、事故の後に出てくるものは、むちうちが原因と考えている人もいるのではないかと思います。

 

 事故に合って最初は興奮しているので、痛みなどを感じないのですが、次の日に起き上がることが出来なかったという話しも聞くので、事故で衝撃を受けて頚部が前後・左右にしなる状態を経験したら、注意をした方がいいですね。

 

 以前に、事故をした直後で痛いような気がするから治療をして欲しいという話しをしてきた方がいましたが、交通事故による痛みの場合は、相手の自動車保険で対応することにもなりますが、医師の診断を受けて、保険会社と相談をした上で治療を行わないと、鍼灸などによって痛めたのではないかと疑われてしまい、支払を受けることが出来なくなる可能性がありますし、思わぬ怪我が潜んでいる可能性があるので病院に行くことを勧めました。

 

 痛みが出てくるようになると同時に様々な症状が出てくることがあるのですが、人によって状態が違うので、痛み以外に脱力、しびれがあるか、自律神経症状があるかは確認をしておくことが必要になります。

 

 鍼灸師になったばかりの頃は症状が強いし、どうやって治療をしていっていいのか悩むことが多かったですが、最近は自律神経症状、脱力、ふるえは時間がかかることが多いですが、痛みは軽減していきやすいのではないかと思うことが多いです。

 

 もちろん、1回治療をしたら、痛みが戻ってこないということはないので、治療をして少し軽減して、次に来院されるまでにある程度の痛みが戻り、次回の治療でまた軽減をくりかえして痛みが減少していくことが多いと思っています。

 

 自然緩解と比べると、痛みが発生する頻度の低下と痛みの強さの低下があると思っているので、鍼灸治療を受ける方が効果的ではないかと思っています。

 

 整形外科や整骨院でも、むちうちの治療をしているところも多いですが、軽減させるというのであれば鍼灸治療の方が、効果が高いのではないかと思っています。

 

 むち打ちの治療をするときには、頚部に集中することになるのですが、治療では下肢・上肢を使っていくことでも変化をしていくので、頚部の動作時痛・圧痛が変化する場所を探して治療をしていくことが多いです。

 

 頚部の前後屈で痛みが増減することが多いのですが、頚部の前屈が出来ない場合は膀胱経、後屈が出来ない場合は胃経から反応を見ていくことが多いですね。治療を始める前にどのような状態で痛みが強いのかを確認しておくと治療に入りやすいのですが、何もしなくても痛いという場合は膀胱経・胃経のバランスを取ると同時に腹部の硬結を診ていくことが多いです。

 

 通常は治療回数と共に症状が軽減をしていくことが多いのですが、軽減するのにどれぐらいかかるかというのは、治療を始めていってみないと分からないことが多いですね。

 

 おおよそですが3か月ぐらいあると、多くの症状が落ち着いてくるのかなという印象ですが、全てのデータを取っている訳ではないですし、あくまで体感ですね。

 

 治療の頻度としては、最初は毎日のように治療をした方がよくなることが多いので、まめに来院してもらうように指導をすることが多いですね。期間を空けても改善をしていく場合もあるのですが、最初は多く、段々と減らしていくのが治療としてはいいのではないかと思っています。

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