小児夜尿症と鍼灸治療

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 小児夜尿症は小児のときに発生する一時的な症状の場合が多いですが、継続して発生している場合は親子ともに気になることが多いと思います。

 小学校あがるぐらいまでは、たまに夜尿をしてしまう子どもは多いようなのですが、小学校に上がってからは、だんだんと少なくなり、年齢があがるにつれて夜尿をしなくなっていきます。

 

 疾患によって夜尿症が発生することもあるのですが、その場合は、夜尿だけではなく、他の問題が発生していることもあるので、病院の診察で見つかることも多いのではないかと思います。

 

 疾患がある場合を除けば、よくなっていくことが多いのですが、個人差もあるので、気長な生活改善も必要になっていきます。焦ったり、怒ったりしてしまうと、自律神経の乱れになってしまうことがあるので、注意が必要ですね。

 

 寝る直前に水分を取らないようにしたり、寝る前に排尿させたり、夜尿がなかった日はほめたりして、自然に治るものとして接しておくといいと思います。夜尿をしてしまうと、布団やベッドが汚れてしまいますが、現在は、防水シーツがあるので、小さい子どもがいる方は布団の上に防水シーツを置いておくと、安心できますね。

 

 夜尿症が治らなくて治療に行こうと考える方で多いのは、宿泊行事が近くなってきたときが多いと思います。外部の習い事だったら何歳と確定できないのですが、小学校だと4、5、6年生で1回程度あるので、3年生ぐらいになると夜尿症で治療をしようかと考える人もいますね。

 

 治療院でも、小児夜尿症の治療が出来るかどうかの問合せがくることがあるのは、小学校低学年のことが多いと思いますね。

 

 鍼灸の治療では臓腑と経絡を使った治療をしていくのですが、腰部、仙骨部、下腹部はよく使用される場所になります。自宅で治療をするのであれば、仙骨部や下腹部に湯たんぽを昼間や夜に置いておくことをしたり、自宅で出来るお灸を使ったりするといいですね。湯たんぽは低温火傷をするリスクもあるので注意をしておく必要があります。

 

 東洋医学の考え方だと、小児夜尿症は水の調整が出来ない状態だと考えていくので、脾・肺・腎と関わる経絡を治療していくことが必要になります。

 

 腎の働きは、生命力、生殖、呼吸、泌尿器と関係をしやすく、成長とともに発達をし、高齢になると弱くなっていくと考えられていきます。腎は二陰という小便口(前陰)と大便口(後陰)とも関係をしていくので、幼児・高齢者にオムツが必要になってくるのは腎の働きが低下をし、二陰の管理する能力が低下をすることから生じると考えていきます。

 

 腎の働きを強くしていくためには、その人の体力がついてくるという考え方をするので、腎を助ける働きがある脾の働きを強めていく必要があります。脾の働きは、飲食と関係をしていき、動き過ぎ・休み過ぎによっても障害されてしまいやすいので、生活の中での運動量は適切なのか、お腹の調子が悪くないかを考えていくことも大切になります。

 

 腎の働きが低下をしている場合は、夜尿の量が多い傾向にあります。腎の働きが低下をしていることによって発生しているのであれば、腰部・仙骨部、下腹部を重視していきますが、足底とも関係をしやすいので、腎の働きが低下をしていることで発生をしているようであれば、足の冷えがある場合もありますね。そのときは、足を温めることも大切になっていきます。

 

 脾の働きが低下をして発生している場合は、夜尿の量は多くない傾向があります。脾の働きは消化・吸収とも関係をしやすいので、お腹の調子が悪くなりやすい、下痢をしやすいなどが発生をしていることも多いと思います。脾の働きが低下をして生じているのであれば、お腹は臍周り、腰と肩甲骨の間ぐらいを治療対象にしていくといいと思いますね。

 

 肺の働きが低下をして発生している場合は、脾と同様に夜尿の量は多くない傾向があります。肺の働きは呼吸と関係をしやすいので、呼吸器の症状が出やすい、カゼをひきやすいのであれば、肺の問題ではないかと考えていくことができます。肺の働きが低下をしている場合は、肩甲骨の間で上の方が治療として使う場所になるのですが、下腹部も考慮しておく方がいいと思います。

 

 シールタイプの鍼であれば寝ているときにも使えるので、円皮鍼を下腹部、腰部、仙骨部に貼っておくのがいいでしょうね。腎の問題であればさらに、太渓を使い、脾の場合は三陰交、足三里、肺の場合は太淵を使っていくと寝ているときも刺激を続けていくことができます。

 

 腎は水の管理調節ということで主水という働きですが、腎自体は収めておく働きが強いところなので、機能の失調が生じると一気に水があふれてしまうイメージです。脾・肺は水の調節を行っている臓ですが、水を押しすぎてしまってちょっと出てしまうようなイメージですね。

 

 体質も分かれば、治療が行いやすいのですが、下腹部・腰部・仙骨部に棒灸を使う人もいると思いますね。棒灸であれば、温かいぐらいで痛みも感じにくいです、心地よいぐらいなので、小児の治療で使いやすいですね。

棒灸の使い方と効果

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