小児と鍼灸治療

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 小児の治療をしたいという鍼灸師は多いでしょうが、小児の治療をしてもらいたいという親は少ないので、需要と供給が一致をしていないですね。

 理由としては、鍼灸はイメージとして身体に鍼を入れる物で痛みを伴いやすいだろうから、子どもにやらせようと思う人が少ないためだと思います。イメージと現実の違いになるのですが、一般的な鍼灸のイメージは身体に鍼を刺すことですから仕方がないですよね。

 

 ましてやお灸なんて熱そうな物を子どもにやらせたいと思う親もいないでしょうね。小児の治療では鍼は接触・摩擦程度の刺激ですが、お灸も心地よい程度に行っていくので鍼灸師側からしたら弱い刺激だというのが分かるのですが、一般の人からしたら分からないですしね。

 

 小児の案内を出しているとたまに問合せがくることがあるかもしれませんが、今まで診ていた患者さんが出産をして、子どもを連れてくることで小児を診るというパターンが多いのではないかと思います。

 

 子どもを治療するようになると、出産時に入院をしていてママ友が出来、保育園や公園でママ友が出来、子どもの治療をしているという口コミが広がることで、小児の治療は出来るようになってきます。

 

 非常に地道な方法ですが、このパターンで行っていく方が鍼灸師のスキルアップとしてもお勧めですね。例えば、よく知らない方であれば信頼関係を構築していくのが大変ですが、既にある信頼関係から治療をスタートできるので、様子を見ながらの治療を行っていくことが出来ます。

 

 小児の治療をしていくのであれば、書籍だけではなく実地の経験も重要になるのですが、刺激量が多いと悪化してしまうので、出来れば治療が足らないぐらいで終わりにして、最適な刺激量が分かるようになるまで継続することが大切です。

 

 1回しか治療をしないのであれば症状の変化が分からないですし、何度か治療をしていく中で身体の状態や刺激も理解することもできるので、継続してもらいやすい子どもを診るのがいいですね。

 

 小児の診察では、虎口三関の脈という示指の側面の血管の色を診る方法もあるのですが、色が悪ければ、身体の状態がよくないということが分かります。

 

 小児の治療で相談や対応することが多いのは、夜泣き・疳の虫になってくるので、まずは夜泣き・疳の虫に対して対処が出来るようになっておくのがいいと思います。

 

 夜泣き・疳の虫に対しては、身柱と言われますが、身柱を刺激したからと言って、すぐに改善をする訳ではないので、全身の接触刺激が大切になってくると思います。小児がぐずってしまうときはお腹の張りがあることも多いので、お腹の調子を整えるとイメージしておくと効果がでやすいと思います。

 

 小児のお腹は非常に柔らかいので、成人のお腹しか触ったことがないと、硬さがあると判断することが出来なくなってしまいます。夜泣き・疳の虫がある子どものお腹の硬さは、健康な成人でお腹に圧痛や硬結がほとんどない人と同じぐらいの硬さなので、成人では正常だと思う硬さは小児では問題になると考えていけます。

 

 本当に健康な小児お腹は、一度は触ってみた方がいいですが、本当に柔らかくて、肌もツルツルした状態ですよ。

 

 健康な小児のお腹を触ったことがあれば、夜泣き・疳の虫がある小児のお腹では、ゴロンとしたような硬結を触れていくことが出来るので、治療後に硬結が変化したかどうかを確認していくことで刺激量を決定していくことができます。

 

 他には聞診も使っていくことが出来るので、眉間・太陽穴付近をよく見ておくのがいいです。夜泣き・疳の虫があるような小児だと、他の部位に比べて青く見えますし、青筋が出ていることがあります。

 

 最初は色の違いは分からないかもしれないですが、いろいろな小児を見られる機会があれば見た方がいいですね。赤ちゃんは「赤ちゃん」というぐらいなので、赤色をしているので、基本的には血色がいいので、薄いピンク色をしているのが正常だと思うぐらいの方がいいと思います。

 

 治療してすぐに改善する小児もいるので、治療前後で肌の血色も大きく変わることがあります。継続して治療をしていくと、血色が安定してくるのですが、最初のうちは、毎日のように治療していく方がいいですね。

 

 毎日と言っても、一回の治療時間は非常に短いので、通院する方が大変かもしれないですね。

 

 小児はマッサージも有効なので、仰向けに寝かせた状態で胸から足指まで皮膚に密着をさせて軽擦していくと、生後1か月でもやっている間は手足が真っすぐになります。手足は丸まった状態になっていますが、10か月もお腹の中に居て、動かしていなかったので身体が硬くなってしまっているので、関節部の所を軽く擦るようにするとあっという間に緩んでいきます。

 

 鍼でも手技でも変化が出るので、私は鍼で接触刺激を行った後に、大関節の屈曲部を少し擦るように揉んで、関節を動かして終わりにすることが多いですね。関節を動かすのはストレッチのように行っているのですが、関節部は弱さもあるので、注意をして行う必要があります。

 

 小児の治療は成人と違って大きく変化をするので楽しいですが、刺激量には注意をしておかないと悪化をしたり、関節を傷めたりしてしまうので気を付けないといけないです。

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