問診の前にすること

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 東洋医学の診察は四診があり、視診でもある望診、音や匂いを診る聞診、話しを聞く問診、身体を触れていく切診があります。患者さんに対して四診を行うのが当然なのですが、診察をする前に大切なことがあります。

 まず重要なのが挨拶ですね。これは治療院に勤めたりすれば、徹底をされるので出来ない人はいないと思います。出来れば顔と目を見て挨拶をするようにするといいのですが、治療中の場合があるので、挨拶に集中してしまうと、治療中の患者さんを放置してしまうので、他の接客業と違い、難しいところですね。

 

 四診は診ようとして診るだけではなく、何となく診ることも大切なので、来院された足音や、玄関から上に上がる足音、スリッパを置く音もしっかりと聞いておくことが大切です。動きに問題があるようであれば音が変わることが多いですし、精神的なトラブルがある場合も音に変化が出ることがあります。

 

 例えば、精神的に疲労が高まっているときには、身体が重く感じていることも多いでしょうから、リズミカルな動き、軽い動きを行うのが出来なくなるので、玄関から上がる音がいつもと比べてドスンという音だったということもあるでしょうし、スリッパ置く時に身体をかがめるのがおっくうで、上から落としてしまうので、音が大きくなることもあります。もちろん、ため息交じりに行うこともあるので、入ってきたときから聞診は使えますね。

 

 挨拶が終わって、治療に入る前に継続している人でも簡単な問診を行っていくことが多いと思いますが、問診の前も重視した方がいいです。

 

 友人などと話しをするときにもいきなり本題に入らずに少し雑談をしてから話しに入ると思うので、当り障りのない会話をしながら、身体と心の状態を確認していきます。

 

 初診の場合に雑談が長いと相手が本当に治療をする気があるのかという不信感を持ってしまうことがあるので、初診時は通常の問診を中心にしながら、雑談も少し混ぜていくといいでしょうね。

 

 継続している人であれば、前回に聞いた情報や話しを振り返りながら、会話をしていくようにすると、自然な会話になっていくことが多いです。

 

 こちら側は、診察をしようと思っているし、何を聞こうか考えているので、いきなり全力疾走をすることが出来ますが、患者さん側は何を聞かれるのか分からないでしょうから、少し準備運動程度に会話をしておくと、その後の問診もスムーズになるでしょうね。

 

 ただ、あんまり問診で盛り上がってしまうと、治療をするのを忘れてしまったり、症状の確認がおろそかになったりするので、注意が必要です。

 

 私は何度もという訳ではないですが、問診やその後の会話でお互いに楽しみ過ぎてしまって、治療が少し抜けてしまったことがあります。自然と手が動くこともありますが、やっぱり集中もしないと抜けてしまいますよね。

 

 問診をする前には、全体の動きの状態もよく見ておいた方がいいので、2回目に来院されたときや治療を大きく変えたときには注意深く観察した方がいいですね。

 

 動きが改善しているのに症状が変わらないというときもあるでしょうし、治療後の動きよりも悪いけど症状は変わっているというのもありますしね。

 

 動きが改善しているのに症状が変わっていないのであれば、動きと症状の関係性が薄いこともあるでしょうし、大本の何かが変化をしていないということが考えられるので、治療の見直しも必要だと思います。

 

 動きは前回と同程度でも症状が変わっているというのであれば、動作に関しては変化が出ていないけど、症状に変化が出ているので、継続した治療をしながら、より効果的な治療を考え、動きも改善するようにした方がいいと思います。

 

 お腹の調子が悪い時は前かがみになりやすいですが、運動器の疾患でなくても、動きに変化がみられることが多いので、動きの観察は問診前に重要なところになりますね。

 

 問診や切診がスタートしてからが診察ではないので、患者さんを診るときには、入ってくるときから注意をしていくことが大切です。

 

 私自身も完璧に出来る訳ではないですが、意識して継続することで、無意識的に出来るようになっていきたいなと思っているところです。

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