表虚証と表実証

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 表虚証とは、身体の表面が虚の状態になっていることで、衛気が不足をして、汗が出る(有汗:ゆうかん)状態になっていることで、自汗(じかん:何もしなくてもあせばむ)があると言えます。表実証は外邪がある場合のことを言います。

1.表虚証

 表虚証は、八綱弁証の概念を使っているのですが、身体全体のことであると同時に臓腑の話しではないので、部分的な概念とも言えます。身体全体の表虚証というのは、自汗は部分的に出るものではなく、全身から出てくるものなので、全身が表虚証の状態になっていると考えることができます。

 

 部分的な表虚証というのは、臓腑・気血津液の弁証ではなく、身体のどこで何が問題になっているのかというのを示していることになります。

 

 気虚証の中でも自汗という表虚証の症状が出てきますが、気虚証に対する八綱弁証は裏虚平証になるので、同じ人なのに、自汗と言う症状がある人の八綱弁証が、表虚証と裏虚平証と2つ混在していることになります。

 

 このことが理解できるまでに私は時間がかかったのですが、視点によっては弁証が代わることもあります。

 

 例えば、家があって、支えている柱が壊れてしまったことにより屋根の一部が欠損した状態があったとします。屋根のところだけを見れば、屋根が凹んでいるので、表の凹みです。何故、屋根が凹んでしまっているかという視点から考えた場合は、柱が壊れてしまったことが原因なので、内(裏)の欠損(虚)が原因になるので、裏の虚が問題だと言えます。

 

 見ている視点によって、八綱弁証の表現が代わってしまいますが、状況を理解しているという点では同じです。東洋医学では身体の中の気血津液、臓腑の働きを知っていることが大切になるので、身体の中の状況に対する八綱弁証の方が状態をしっかりと理解していると言えます。

 

2.表実証

 表虚証以外に表実証も考えていくことができますが、表実証は身体の外側が実の状態であるということを示すことになるので、外邪が表に停滞をしている状態とも言えます。

 

 表実証は外邪が関係をしているということを現しているのですが、症状や気血津液、臓腑との話しと関係をしにくいところもあるので、あまり表現としては出てこないですね。

 

3.表虚証と表実証

 表虚証と表実証は、両方とも存在している状態があると言えます。どのようなときに発生をしているかと言えば、外邪が身体に影響を与えているときになります。外邪が身体を襲ってくると、実証の状態になり、どこから侵襲するかと言えば、体表になるので、表実証と言えます。

 

 外邪によって、衛気の働きが阻害されてしまうと、津液を体外に出さないようにコントロールする働きが低下をしてしまうので、虚証と言えます。表実証によって表虚証が発生をすると考えていくことになるので、表実証と表虚証が同時に発生することがあります。

 

 この場合に出てきている典型的な症状は表虚証の自汗になるので、自汗が発生したのは表虚証によってとも言えますし、表実証によって自汗が発生をしたとも言えますね。

 

 咳も出ている状態であれば、肺気の異常が出ているので、同時に自汗が出ていて、臓腑・気血津液に注目をするのであれば、裏虚平証になっていきます。

 

3.まとめ

 表虚証という単語はたまに出てきますが、慣れれば、表虚証は自汗だと考えられるようになるのですが、慣れるまではイメージもつきにくいですね。八綱弁証でもあまり出てこないので理解をしにくいですが、東洋医学の考え方を理解していくためには必要なことでもあるのかなと思います。

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