東洋医学では、気・神・津液・精など、目に見えない物が多く、言葉だけを覚えてもなかなか理解しにくい傾向があります。
現代医学であれば、解剖学・生理学は物がある医学なので、物を見ることが出来るので、物を見ながらイメージできるし、理解をしやすいだろうと思います。ただし、現代医学では見える物全てに名前が付いていくので、覚える量は膨大ですね。
東洋医学は、身体の状態を出来る限りシンプルにまとめていると思うので、言葉の数は少ないですが、見慣れない感じや表現が多いので、慣れるまでにかなりの時間が必要だと思います。
慣れると言っても単語だけを見ているのはかなり辛いことになると思うので、東洋医学の勉強をしようとするときには、イメージをしていくがいいと思います。私はイメージと言っても、漫画や絵を描くことが出来ないので、ひたすら頭の中で考えていき、メモを書いていくことでイメージをしていきました。
例えば、気は推動作用があるので、血・津液の運行に関わっていきますが、気の働きがダメになったら、血に影響が出るだろうなというメモを書きます。
気×→血×
これだけだと抽象的過ぎて分からなくなってしまうので、ゲーム感覚で、気・血で自分なりの文章を頭の中で考えていきます。「気には推動作用があり、気の働きに異常が生じたら、推動作用が働けなくなるので、血にも異常がでる。」
これだけだと足らないので、もう少し単語を足していきます。
気×→血×
営気×→血×
これを文章にしていくと、「気には推動作用があり、気の働きに異常が生じたら、推動作用が働けなくなるので、血にも異常がでて、気が血に対して働きかけるのは営気が必要になるので、気に異常が生じて血に問題でるようであれば、営気の異常が生じている。」となっていきます。
さらに単語を足します。
気×→血×
営気×→血×
気滞→血瘀
「気には推動作用があり、気の働きに異常が生じたら、推動作用が働けなくなるので、血にも異常がでて、気が血に対して働きかけるのは営気が必要になるので、気に異常が生じて血に問題でるようであれば、営気の異常が生じている。気滞は気の停滞で実証になり、気の働きができなくなるので、推動作用が低下をしてしまい、血の流れが悪くなるので血瘀が生じる。」
ここまで単語を組み合わせていけば、病態の説明をしていることにもなりますし、臓腑への治療を考えていくことができるので、基礎の積み重ねが理解やイメージに繋がっていきます。
気血津液、臓腑だけではなく、気血津液・臓腑の異常を見つけていくためには、それぞれに関係する症状を覚えていないと、鑑別をしていくことが出来ないので、症状と気血津液・臓腑の知識を繋げていきます。
例えば、症状と気血津液をイメージとしてつなげるのであれば、「気の推動作用低下は、気滞で発生するが、気滞は情志の抑うつ(ストレス)で発生するので、ストレスがたまっている人は、お腹が痛いと言ったり、軟便や下痢が生じたり、イライラしたりしやすい」というイメージと気滞の症状を合わせてみていく必要があります。
自分が様々な感情や経験をしているのであれば、過去の自分の感情や状況を思い出してみて、症状を当てはめていけばいいのですが、経験が少ない場合は、イメージしていくのも大変なので、気滞に当てはまる人がいたときに、「気滞の人だな、だからこういった症状が出ているのか」とセットのイメージとして残していくと理解をしやすいと思います。
イメージをしていくのには、想像力・経験が必要になっていくので、年を取っている人の方が東洋医学をイメージして理解しやすいと思いますね。
東洋医学の単語を覚えて理解していくことも大切なのですが、患者さんに対して使っていけないと意味がなくなってしまうので、人の体質・体調・変化をイメージしながら繋げていくと忘れにくいですし、理解をしていきやすいです。