技術はどうやったら向上するか

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 技術を向上させるのには、ひとつを徹底的に極めていく方法と、あらゆる物に挑戦をして極めて行く方法があります。

 どちらが正しいかなんて誰にも分らないので、自分が合った方をやっていく方がいいと思います。どちらを選ぶかを決定したとしても、人は迷うことが多いので、違う方がいいのではないかと思うことがあると思いますが、スタンスがコロコロと変わってしまう方が、極めるところに到達するのに時間がかかります。

 

 ひとつを徹底的に極めていくことは、退屈との戦いになることが多いです。同じことを行うのが退屈でない人には向くので、楽しみを見つけられる人には向いているかもしれないですね。

 

 ひとつから極めていくのであれば、ひとつに徹底的に集中をしていき、誰にも分らない微細な変化を感じ取れるように、見続ける必要があります。例えば、アスファルトの道路はそこらじゅうにありますが、意識をしなければ違いを感じることがないですよね。

 

 アスファルトもよく見てみると、細かい凹凸があったり、材質が少し違うことがあったりするので、注意深く感触を確かめてみると、少しずつ違いがあります。普通の人では感じないところまで感じられるようになれば違いが分かることになるので、さらに細かく違いを分るようになれば、その道の達人ですよね。

 

 アスファルトの達人となったとしても仕事があるかどうか、役に立つかどうかは分かりませんのであくまで例え話です。

 

 あらゆる物に挑戦をするのは、新しいものが好きな人に向くやり方で、どんどんと違うことをやっていくと、新しいことは、自分を変えていかないと身につけることができないので、自分を変えたり、理解したりするのに役立ちます。

 

 違うことをやると、それまでやっていたところのいいところや悪いところが分かるようになるので、メインの物に戻ったときに、今までに気付かなかったことに気付くことがあります。

 

 先ほどはアスファルトという道路の話をしたので、道路で例えて考えてみると、いろいろな物にチャレンジをするのは、いろいろな路面環境を経験するということになります。

 

 例えば、砂浜や新雪のところを歩いたら、柔らかくて歩きにくくて疲れると思います。歩き慣れてしまえば身体が対応できるようになるので、それほど疲れなくて歩けるようになりますよね。柔らかいところに慣れた状態からアスファルトを経験すると、その硬さに驚くでしょうし、砂や雪はすべりやすいけど、アスファルトは滑らないということに気付くと思います。

 

 岩場など石がゴロゴロとしているところを歩いたら、アスファルトの平さがよく分るでしょうけど、意外な傾斜があることにも気付くと思います。こうやって、他で沢山経験しておくと、同じところ、違うところが気付くようになるので、特徴を自分の中でまとめていきやすくなります。

 

 ひとつを極めるにしろ、いろいろと挑戦するにしても、気づきがないと進歩には繋がっていかないので、結局は、自分の集中力が大切になってくるのはどちらも同じですね。

 

 漫然とひとつのことを行ったり、いろいろと挑戦したりするのは、気づきが得られないので、その後に役立つことが少なくなってしまい、技術の向上がしにくい状態になってしまいます。

 

 技術の向上は、日々、進歩を感じるような習得が早いものではなく、何度も行っているうちに違いに気づき、違いに気付くようになると、結果が違うのが分かり、何度も試してみることで、それが確信に変わっていきます。

 

 確信になった物は、自信につながっていくので、自信が付けば、迷いもなくなっていきます。

 

 ひとつのことを極めた方がいい、いろいろとチャレンジをした方がいいという意見を言う人がいますが、多くの場合は、その人の経験から来ていることなので、ひとつのことを極めた方がいいというのは、その人が一つのことを極めたところからきているのだと思います。

 

 ひとつを極めると、広がりを持ち、仕事の幅や内容がひろがっていくので、自分の武器を作った方がいいというのも一つの意見ですね。

 

 いろいろな物に挑戦をした場合でも自分の核となる物さえぶれなければ、核が強くなり、幅も広く深くなっていくので、いろいろな物に挑戦した方がいいというのも一つの意見ですね。

 

 私はどちらの属するかと言えば、後者です。私は鍼灸師・治療家という核があり、いろいろな物事を核に足していっているのだと思います。鍼灸・治療だけを極めるのも当然ですが、一般との繋がりも重要なので、会話や話し方も考えないといけないし、患者さん側の視点も大切になるのではないかと思っています。

 

 もともとが飽きっぽいところもあるので、いろいろやりたいという気持ちも強いので、いろいろと挑戦をする側にいるので、鍼灸についても、一つのやり方に拘るのではなく、いろいろな道具や考えを取り入れていこうと思っています。

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