鍼灸学校に入った当初や卒業してすぐのときには、鍼が痛いと感じることが多いので、どうにかして切皮痛が出ないようにすることができるか悩むことが多いと思います。
経験年数が長くなれば、「痛い」「痛くない」と言われた数が多くなるので何となく、これだと痛いのではないかと思うことが出てくるので、経験年数が長くなると何となく切皮痛が減っていく傾向があります。
経験年数が長い人に聞くと、いろいろと言われることがあるかもしれませんが、鍼を置いて痛いか痛くないかを自分なりに考えながら行うことが必要になります。鍼の刺入では鍼管を使う場合と使わない場合があるので、両方で気を付けるべきポイントについてまとめてみたいと思います。
1.鍼管を使う場合
鍼管を使う場合は、鍼管が痛みを軽減する役割を持つので、鍼管の扱いが重要になっていきます。最初の内は、鍼管をまっすぐに皮膚に押し当てることが難しいので、鍼を入れていない状態で、鍼管だけを皮膚に押し当て、奇麗な丸い円状の痕が皮膚に残るように出来ることが重要です。
鍼管をしっかりと皮膚面に押し当てることができると、押圧刺激によって痛みを軽減しやすくなるのと、肌が張った状態を作ることにより、鍼を入れるときの圧で皮膚面が沈んでしまわないようにすることが出来ます。
鍼管を奇麗に押し当てることさえできれば、切皮痛を軽減する8割は出来たものになるので、押手で鍼管を皮膚に押し当てる練習を何度もする必要があります。鍼は全身どこにでも行っていくことが出来るので、場所によっては押手を構えにくくなるので、鍼管を押し当てようとしても押手が安定しないので、上手くできないことがありますが、その場合は痛みが生じやすい場所になります。
最初の段階であれば、下腿の前面で行っていくのがやりやすいと思います。下腿の前面は皮膚が張った状態になっているので、多少、鍼管が滑った状態だとしても皮膚の可動性の無さで助けられることが多いです。
下腿の内側は皮膚の動きも起きやすいので、斜めの方向に圧を加えてしまえば、皮膚を牽引してずれてしまうことがあるので、鍼管を真っすぐに押し当てることが出来なくなります。
こういった場合でも、鍼管を押し当てる練習をしていれば、奇麗な円状の痕が出来なければ痛みが出やすいというのを知っていれば切皮痛を除去していくことが出来るので、奇麗な痕が付けられるまで練習するといいですね。
殿部や頚部、大腿内側も皮膚が滑りやすいので注意が必要ですね。前腕部は比較的簡単な場所でもありますし、押手も構えやすいところなので練習するのに適していますよ。
2.鍼管を使わない場合
鍼管を使わない場合は中国鍼で多いと思うのですが、皮膚と身体の状態を見きわめながら治療するときにも使うことが出来るので、鍼管を使わなくても刺入は出来た方がいいですね。
鍼管を使わないことで、皮下に入るところまでの感覚を理解していくことが出来るので、刺すことが出来るようになったら、なかなか刺さらない方法も練習していくといいと思いますよ。
鍼管を使わない場合は、皮膚をしっかりと牽引する押手の働きが重要になるのですが、その段階の前からしっかりと訓練をした方がいいです。
まず、鍼を横にして皮膚面に置いた状態で、刺鍼をしたい部位まで鍼を滑らせていき、鍼の尖端が刺したいところに来たら、ゆっくりと鍼を立てていきます。鍼を立てた状態でチクチクと痛みが出た状態だと切皮痛が出やすくなるので、少し場所を変える必要があります。
押手で反応を見て刺入をするのであれば、陥凹部で鍼を使いたいところは鍼を当てても感じないことが多いので、何度か鍼を立たせてみて一番痛みが感じない場所を押手で反応を見てみると、その後の参考になることも多いです。
鍼を立てた状態で痛みが出ないようであれば、少しずつ圧をかけていくのですが、立てた状態で痛みが生じていないのであれば、圧をかけても痛みが出ないことが多いですね。
この練習をしてみると、あんなに尖った物でも、細い物であれば全く感じない場所があるというのが分かるでしょうし、鍼が太くなったとしても同じように感じないことがあるので、何かの反応点があるのではないかということが理解できるのではないかと思います。
3.まとめ
切皮痛に悩むのは、鍼灸師になってから数年までかもしれませんが、悩んでいるときは、どうしていいのか分からずに、悩み続けてしまうので、悩んでいる状態であれば、いろいろと考察をしながら練習していくのがいいと思います。
私も練習したり、悩んだりした結果として、こういった結論になっているので、いろいろなやり方を考え、試し、上手くなってもらいたいと思います。みんなが上手くなれば鍼は痛くないというのが一般の人にも理解されやすいでしょうしね。