ダイエットでは耳鍼、耳つぼ療法、耳つぼジュエリーなどが出てきますが、耳に刺激をするだけで効果があるのでしょうか。また、ジュエリーを使っていく方法もありますが、効果に違いがあるのでしょうか。
今回は、そんな疑問に対して耳鍼の歴史から使う道具、使い方まで含めて全部まとめてみたいと思います。鍼灸師は普段の治療にプラスするという意味で知っておいた方がいいですし、一般の人は慣れれば自分でも出来るので、簡単なセルフケアとしてもお勧めになります。
1.耳つぼの歴史
耳つぼは耳鍼とも言われ、鍼灸と関係をしているので中国が起源と思う人がいるでしょうが、フランス人のノジェ(Paul Nogier)によって1956年に発表したことで有名になりましたが、その当時は耳の反射区というような考え方でした。
ノジェは整形外科医として治療に当っていたのですが、坐骨神経痛に対して耳に火傷をつけるという民間療法があることを知り、同一点に火傷をさせてみたところ効果があったので、鍼も習っていたので鍼を使用したところ、効果が見られました。
そこで、耳は逆さの胎児のようではないかという反射区を考えだし、1956年の鍼灸大会で発表をし、有名になりました。
ノジェの発表は、日本だけではなく、中国やアメリカなどにも伝わり、中国でも研究が盛んに行われ、ツボとして場所を特定した現在の耳鍼療法が始まりました。ノジェとは異なる物になるのですが、逆さ胎児のようだというのでは共通しているので似ている部分もあります。
2.耳鍼とは
鍼灸治療の中でも耳鍼を用いていくことがありますが、身体の鍼をした後は普通の生活に戻ってしまうので、持続的に刺激を出来る方法ということで、鍼灸治療の補助として用いられていくことが多いです。
耳に鍼をする方法であれば鍼灸師にしか行えないですが、耳つぼにシールを貼るだけであれば誰でも出来ることから、耳鍼ではなく、耳つぼとして広く普及し、整体院や整骨院でも取り入れられていることが多いです。
鍼灸を中心で行っているところだと補助的に用いられる傾向があり、鍼灸を行わないところだと耳つぼだけを行う傾向があるので、耳鍼をメニューとしてどう扱っているのかで、身体に対する考え方も分かれていきます。
ツボを使っていくのであれば、体質に合わせた鍼に合わせた使い方をした方が効果的だと言えますし、ツボを取る技術も必要なので、知識と経験がある人に任せた方がよいと思います。
3.使用する道具
耳鍼は「鍼」という漢字も書かれているので、耳に直接、鍼を刺入していくこともあるのですが、耳は厚みがないところになるので、切皮程度(皮を切って鍼がぶら下がる程度)に行うことが多いです。
耳に鍼を刺入すると、治療後は取らなければいけなくなるので、持続的な刺激として行うのであれば、シール状の物を使用することが多いです。王不留行(おうふるぎょう)という丸い種をシールで貼付する方法もあるのですが、円皮鍼という鍼が出ているシールタイプの物や、マグレインという商品を使うことが多いです。
マグレインという商品は、透明なシールに金色の物が付着をしていて、少しおしゃれに見せるタイプの物もあるのですが、見た目的にはあまりよくないので、最近はジュエリー(スワロフスキー)のような大き目のタイプの物を使用する人もいますね。
4.耳鍼のやり方
耳鍼のやり方は、ツボにシールを貼付するだけになるのですが、反応を見てから貼付をする方がいいです。反応は、爪楊枝や鍉鍼、鍼柄の先でツボを押すと痛みを感じることがあるので、圧痛が強いところに貼付していく方がいいと言われています。
両方の耳に同時に行う場合もあれば、片方の耳だけ行っていく場合もあります。片方だけ行うのはツボが疲れてしまわないようにしていく方法でもあるので、治療者の考え方や患者さんの状態によって使い分ける場合があります。
圧痛があるところがいいと考えられるので、耳鍼の書籍などで、こういうときには○○がいいと何個かツボが書いてあったとしても、圧痛がなければ減らして行うこともあります。
自分で耳鍼をしようとするのであれば、耳つぼの絵を手元で見ながら鏡で行うこともできるので、耳鍼の効果や使い方を理解したいのであれば自分でやってみるのが早いですね。
5.耳鍼が使われやすいもの
①ダイエット
耳鍼と言えばダイエットというぐらい、有名なものなのではないでしょうか。鍼灸師として仕事をしていると、痩せる耳鍼をしてくれという要望は何度も聞くことになるのではないでしょうか。
ダイエットで使われやすい耳ツボは「神門(しんもん)」「飢点(きてん)」「胃(い)」「内分泌(ないぶんぴ)」「皮質下(ひしつか)」があるのですが、何点使っていくのかは耳ツボを行う人によって違いがありますね。
私が行うときは、神門・飢点の2点で行うことが多いです。今まで行った感じだと、多くてもいいのですが、2点でも問題がないかなという感じがしました。
②眼精疲労
眼精疲労は仕事をしている人に生じやすいですが、顔に鍼をしたままだと仕事をすることができないので、耳鍼では対応しやすい症状の一つだと思います。使われるところとしては「眼(め)」と「神門」ですね。
神門はどんな場合にも使われやすいところなので、眼精疲労のときには、眼だけで対応することもあるのですが、ピアスなどの装飾品をしている方だと、耳鍼をすることができないので、神門で対応することがあります。
③鼻炎
鼻症状は、鍼灸治療で改善したとしても、すぐに治るものではないので、持続した刺激として耳ツボを使っていきやすい症状だと思います。鼻の症状には「鼻」という名前が付くツボになるので、「外鼻」「内鼻」が使いやすいですね。
「鼻」という名前が付くところ以外では、「副腎」「内分泌」「肺」も使うことができるので、鼻が少し楽になりそうなところを中心に使用していくといいと思います。
④首肩こり
首肩こりは、耳たぶの上の辺りが「肩コリ帯」として使用されていくので、その辺りに圧痛があれば使っていくことになります。普段の治療で楽になった状態で使用していくと、持続した刺激をすることが出来ます。
寝違えなどがあったばあいは、この場所を自分で刺激をしていくのがいいですね。
⑤腰痛
耳は逆胎児型と言われていくので、「肩こり帯」の上部が「腰痛帯」として腰痛治療に使われることが多いです。首肩こりと腰痛は耳ツボの反応をみながら用いていくことが多いので、圧痛がある場所はポイントになりやすいです。
首肩こり・腰痛でも神門は使用していくことがあるので、神門をプラスするのもいいでしょうね。
6.自宅で出来る耳鍼
耳鍼はシールを貼付していくことが多いのですが、つまようじの尖っていない方で圧迫をするのもいいので、自宅であればつまようじや綿棒を使ってツボを押していくのがいいですね。
指で気付いたときに刺激をするのでもいいのですが、やっぱりシールを貼付するタイプの方が自然と刺激が出来るのでお勧めですね。耳鍼でシールを貼ったら、その場所を押せば刺激もしやすいので、自宅でも簡単に耳ツボを利用していくことができますよ。
人にやってもらおうとしたら、手間もかかるので、1000~4000円程度になることが多いのではないかと思います。鍼灸院で行ってもらう場合だと、全身治療を行った補助として行っていくので、無料~1000円程度で行ってもらえるのではないでしょうか。もちろん、治療院の料金によって違うので、値段を確認してからの方が確実ですね。
7.まとめ
耳鍼は鍼灸師になれば、必ずと言っていいほど、「痩せる耳ツボはないか?」という質問を受けることがあるので、普段の治療にプラスするためにも知っておいてもいいと思います。
健康な方や子どもの耳は非常に柔らかく、年とともに硬くなってくるので、身体の状態を確認出来る場所なので、鍼灸師の人は耳も触り慣れた方がいいと思いますよ。