皮脂厚(ひしこう)とは、全身の皮下脂肪の厚みを計測して全身の脂肪量を推定する方法になります。全身の皮下脂肪を計測するのは難しいので、特定部位の皮下脂肪を計測することで全身の脂肪量を推測していくので、健康指導に利用されることがあります。
皮下脂肪はどこでも計測できるのですが、計算方法としては2点法(肩甲骨下部、上腕背部)や3点法(肩甲骨下部、上腕背部、へそ横)があり、スポーツ選手は皮下脂肪の厚みが少ないので、特殊な部位を使う場合があります。
計測するのは時間がかかるので、利用する用途によって使い分けていますね。昔にスポーツクラブに通っていたときに、キャリパー測定(皮脂厚計測)をやってもらったことがありますが、現在も行っているのですかね。
鍼灸や手技で治療をするときに患者さんの身体を触っていくことになるので、皮膚を触れていきますが、たまに気になる触った感覚があり、言語化すると以下のような感じです。
- 筋肉、骨まで何となく距離がある
- 皮膚が非常に厚く感じて皮下と一体になっている
- 皮下が硬く厚みがあるような感じで深部を触れにくい
- 皮膚に厚みがあり可動性が少ない
最初は、東洋医学では「身体についている肉は肌肉」で「身体の動きは筋」で考えるので、肌肉の問題が生じているのかと思っていたのですが、治療をしていくと、皮下が少なくなる感じがあっても太さに影響がないので、肌肉ではないのかなと思うようになってきました。
では、全身の皮膚の下にある物を考えたときに何で考えていけばいいのか悩んでいたのですが、痰湿ではないかと思うようになりました。
東洋医学では身体の中に流れていると考えるのは気・血・津液になりますが、津液は現象として流れていても実態としては掴めない物ではないかと考えるので、皮下の構造として感じる物とは違いますし、血は脈内に流れている物であり、瘀血として停滞し、構造物になったとしても腫れと関係をしやすいので、全身の皮下で触れないのではないかと考えると、津液しかないかなという消去法で、皮下の嫌な感じは痰湿なのではないかと思いました。
津液は脈外に流れているので、身体の隅々まで存在し、気の働きによって循環していますが、身体が疲労や環境の影響があると、気にも影響が生じるので、気によって循環されている津液は停滞してしまうことがあります。
気の流れが改善したとしても、流れが停滞したことがあれば、痰湿というゴミが停滞をしている状態が継続するので、治療を受けていない身体や状態がよくない場合は、痰湿の除去をしないといけないのではないかとも考えることができます。
瘀血であれば腫れという状態で発生をするので、治療前後での改善がみられることがあるでしょうが、すぐに改善するものではないでしょうが、津液の停滞であれば流れさえよくなれば、すぐに改善することができるのではないでしょうか。
例えば、治療前に肌が張っているなと感じた場合に、治療をしていくと、肌の張りが改善していくことがありますが、これは停滞している痰湿が動き始めたからと考えると、身体の状態を捉えていくことができるのではないかと感じ始めました。
最初の治療は軽めにするというのは、こういった痰湿を取り除くことで、本来持っている身体の状態が見ていくことができるのではないかと思います。
硬さや硬結としてしっかりと残っているような場合、全身ではなく部分的に存在する場合は瘀血として捉えて、全身に同じような状態が発生しているのは痰湿として捉えていくと、身体の状態を捉えやすくなるのではないでしょうか。
中医学の弁証として痰湿に絡むものがよく出てきますが、皮下の嫌な感じが痰湿だとして考えてみると、多くの人に見られてくる状態ですし、大なり小なりで存在しているので、痰湿が病としては問題になりやすいという考え方は自分の中では理解しやすくなりました。
まだまだ確信を持つところまできていないですが、皮脂厚は痰湿ではないかという前提で今後も治療に臨んでみたいと思います。