鍼灸は鍼とお灸という道具を使いこなすことで身体が変化をする刺激を与えていく治療になるので、技術が大切だと言われていきます。技術は研鑽しないと低下をする、治療技術をどうやって向上させるのかという疑問が生じるのではないかと思います。
今回は、「使わないと技術が低下するのか」という点と、「どうやったら治療技術が向上するのか」という点について書いてみたいと思います。
1.使わないと技術が低下する
結論から先に言えば、技術は低下することはないでしょうし、「鈍る」という表現が適切だと思います。例えば、スポーツでも練習を重ねて努力をして出来るようになったことは、その後も「出来る」という状態が続きます。
もし、練習を継続しなければ、「出来る」ということには変わらなくても、筋力や体力が低下をするので精度の低下が生じるでしょうが、また練習をすることで元に戻ることになるでしょうから、「低下」ではなく「鈍る」という表現の方が適切だと思います。
もちろん、技術の研鑽を続けている訳ではないので、技術自体が向上する訳ではないので、使わなくなった当時と技術水準は大きく変わらないことになります。
学校だけで鍼を持って、その後に現場や練習を全くしてないのであれば、どうやって鍼を持つのか分からなくなる人もいるかもしれませんが、それでも鍼灸学校に入学するような素人と比べたら、慣れてもいますし、少し練習をすれば、感覚が戻ってくるので、技術を向上させていくことは可能になります。
技術が低下をしないから他の仕事をしても大丈夫だと言えますが、鍼をしなければ身につけた状態から向上することがないので、学生時代はしっかりと練習をしておいて、少しでも技術を高めておいた方がいいと思いますよ。
2.どうやったら治療技術が向上するのか
治療技術の向上は練習と考えることが基本になるので、日々の治療の中でどれだけ疑問をもって治療に向かえるかが重要だと思います。
自分がやっている技術は本当にそれでいいのかと疑問を持つことが大切ですし、どうやったら「いい技術」と呼べるのかを考えていくのが大切だと思います。疑問を持って、解決していくのは考えることになるので、疑問と考えるというのは表裏一体の物になります。
例えば、普段の治療の中でも技術を向上させたいのであれば、一つのことを徹底して行っていくか、一つが少しで出来るようになったら、次を探す場合があります。
一つのことを徹底して行うというのは、例えば、いろいろな食品を扱うよりは、魚だけにすれば、魚に関する知識を高めていくことで、深みと広がりが出て、強みが生じてくるのと同じで、一つの技術、一つのやり方の通じることで、それでよくならない場合、よくなる場合などを瞬時に見極めていくことができるので、治療技術が向上しやすい状態になります。
いろいろと行っていく方法は、正解がない道を進んでいくような状態ですね。
例えば、一つのことをやる場合とどんどんとチャンレンジしていく場合を登山で考えてみます。一つの山で同じルートで毎日昇り降りしていれば、その山についてはよく分るでしょうし、そのルートで前日と変わったところにも気付くことができるので、何も分からない所がない状態になりますよね。
逆に一度登った山は二度程度しか昇らずに、どんどんと新しい山にチャレンジをしていくと、山に対する知識は豊富になり、細かいことに気付かなくても、この状況はどこに似ているから、こうなるのではないかという予想を立てることができます。
治療としてやるのであれば、一度出来るようになった治療は捨てるというのと近いと思います。例えば、腰背に委中で治療するのが当たり前になり、変化が出る状態になったら、委中は使わないと決めれば、他のやり方を考えるしかないので、技術が向上していくことが多いです。
どちらの方法を選ぶにせよ、時間は必要なので、どれだけ集中できるかが成長スピードのカギを握ってくると思うので、日々の治療の中で集中力を上げて、治療に臨むことが必要になってくると思います。
3.まとめ
鍼灸の技術ということで、低下・向上の2つの視点から書いてみましたが、一度、身につけた物は低下しにくいですが、向上は集中と時間が必要なので、大変なことだと思います。とにかく最初の段階で技術を高めていく方がいいので、学校にいる間に技術を向上させていく、いろいろと経験をしていくのが大切かもしれないですね。