血熱と統血

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 血熱は身体に発生している熱、外からの熱が血に影響をしてしまった場合をいい、出血しやすい傾向があり、統血は低下をすると出血しやすい傾向があります。

1.血熱

 血熱は外邪の熱、飲食で熱性がある物を摂取すると、身体には余分に熱が加わることになるので、熱が身体に影響をし始めます。通常は、外邪であれば、皮毛、口、鼻に影響をしやすく、飲食であれば胃に影響を与えていくのですが、熱が強くなると、その影響は深部に進行していくことになるので、血にも熱が加わってしまいます。

 

 東洋医学では血に熱が加わってしまった状態を血熱といい、血熱では出血をしやすい状態になってしまうと考えていきます。

 

 例えば、鍋にたっぷりと水を入れた状態で、鍋に火を加えていくと、熱の炎上性によって、水に動きが生じ、吹きこぼれてしまいます。これが東洋医学での血熱のイメージになるので、水がたっぷりと入った鍋が身体になります。

 

 精神的影響や気血の停滞からも熱が発生することがあると考えていくので、通常は熱に対しては、外熱・内熱という考え方があります。外熱は外からの影響によって生じる熱になるので、外邪や飲食が当てはまります。内熱は身体の中からの影響なので、飲食も加えていくことが出来るのですが、精神や気血によって熱が発生した状態と関係しやすいです。

 

 血熱を生じるのは熱によって生じてくるのですが、熱に対しては、外熱・内熱だけではなく、実熱・虚熱という考え方もあります。実熱・虚熱は治療の補瀉とも関係をしやすいので、治療をするのであれば実熱か虚熱を鑑別していくことが大切ですね。

 

 外熱・内熱は何が問題であるかを考えていくことで、原因を考え、予後指導を行っていくことができるので、どちらの考え方も大切になります。慣れれば、外熱・内熱、実熱・虚熱という言葉はすぐに出てくるのですが、慣れるまでは意味が分からなくなるので大変でしょうね。

 

2.統血

 統血は脾の働きであり、血や津液が身体から漏れないようにしていく働きになるので、身体から何かが漏れてしまうようであれば統血が低下してしまったことになります。統血では血と津液に対する力になるのですが、病態として生じることが多いのは血の話ですね。

 

 脾の統血が低下をしてしまうと、血を体内に留めておくことが出来ないので、体外に血が出てしまう出血が発生しやすいと考えていきます。そのために、月経血を体内の留めておけなくなるということで、月経周期が早くなる経早が生じる場合があります。

 

3.血熱と統血

 血熱と統血で生じる症状は違いがあるのですが、出血は共通した症状になります。そのために、月経血が漏れ出てしまう経早では、血熱の場合、統血が低下した場合を考えていくことができます。

 

 他には鼻血が出るようになったときも、血熱の場合、統血が低下した場合を考えていくことができるので、病態の鑑別が大切になります。

 

 血熱の場合は、虚熱・実熱を考えていかなければいけないので、熱があると判断した場合は、虚実の鑑別が必要になります。

 

 脾の働きが低下をしてしまった場合であれば、治療は脾を中心に行っていけばいいので、それ以上の鑑別は少ないので、少し楽ですね。ただし、気虚は進行すれば陽虚にしていく可能性があります。

 

 陽虚になってしまった場合は、統血の低下によって出血しやすさも生じるのですが、陽虚という寒の状態になってしまうので、気血の運行が阻害されてしまうために、出血はしにくくなると思います。出血したとしても、瘀血・血瘀が関わってくるので、色が青黒くなってしまう場合があるでしょうね。

 

4.血熱が統血を起こす?

 血熱と統血について考えていたのですが、血熱によって出血するという力が加わることで、血を漏れないようにする統血の働きを低下させてしまうことがあるのではないかと思いました。

 

 川の水が多くなり、流れが激しくなれば堤防が傷むことになりますよね。

 

 自然観察の結果が東洋医学なのであれば、流れの激しさから堤防が壊れることがあるので、血熱から統血の低下につながるのではないのかなという考えです。水の流れによって、砂、石が運ばれて、自然の堤防ができることがありますが、血熱は流れが激しいので、運ぶだけではなく、壊してしまうことがありますよね。

 

 もし、同様のことが身体に生じるのであれば、血熱から脾の統血が低下をしてしまうということは、多臓器の病変に移行してしまうことになるので、治療は難しそうだなと思いました。

 

5.まとめ

 血熱と統血を考えていたら、ふと血熱から統血の低下が生じるのではないかと思い、実際にはどうなのだろうという疑問を兼ねてブログとして書いてみました。血熱と統血についての関連性については今まで記載されている物を見たことがないのですが、私でも考えたので、もしかしたら、どこかの誰かが既に考えているかもしれないですね。

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