季節の変わり目の注意点―土用と身体

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 季節の変わり目は体調を崩しやすい時期になるので、日々の気候変化に注意をしながら、次の季節へ身体を作りかえていく時期として考えていくことができますが、どういったことに注意をした方がいいのでしょうか?

1.土用とは

 東洋医学は木火土金水という五行に全てを割り当てるという考え方があり、季節も春は木、夏は火、秋は金、冬は水に対応させているのですが、余った土は各季節の変わり目に対応させ、土用と言われます。

 

 各季節は春が終わったらすぐに夏という訳ではなく、温かい・寒いを繰り返しながら段々と気温が上昇していくので、このような変化をしていくことを土用と表現し、各季節の間にあります。

 

 四立(しりゅう)は各季節になる時期であり、立春(りっしゅん)、立夏(りっか)、立秋(りっしゅう)、立冬(りっとう)があり、土用は四立の直前の約18日間になります。現在は、四立を意識することは少ないでしょうけど、カレンダーだと書かれている物がありますよね。

 

 土用は土の気が盛んになるときなので、土を掘るような作業や殺生を行ってしまうと、身体に土の気が強く働きかけてしまうと考えるので、避ける時期でもあります。

 

2.土用と五気

 土用は季節と関係をしてくるので、季節がどのように発生するかを考えていくと、地球(宇宙)の働きによって生じ、現象としては、春は風が強く、夏は熱く、秋は乾燥し、冬は寒い状態になります。この季節の力は五気と言われ、大自然(宇宙・地球)の力によって発生しています。

 

 土と関係をする土用は、湿が発生するということなので、天候が安定しないために、雨が生じやすいと考えていけるのではないでしょうか。

 

 季節の変化は単純な温度だけではなく、日照や五気にも影響が及びます。土用の時期は、季節の変わり目なので、例えば、春と夏の間であれば、この間の土用では、風と熱が混在する時期なので、風が強いときがあれば、熱(暑さ)が強い時もある状態になりますね。

 

3.土用と身体の関係

 土用の時期は、2つの季節の働きである五気が混在する時期にもなるので、身体は両方に対応しないといけないので、忙しい時期と言えます。身体は環境になれるという順応の能力がありますが、日々変わるような状況だとどちらに合わせていいのか分からなくなるので、身体の状況は不安定になりがちになります。

 

 例えば、寒い地域に旅行に数日行くと寒冷に身体が順応するので、もとにいた場所に戻ってくると寒さに対する順応能力が上がっているので、寒さを感じにくくなりますよね。

 

 もし、寒い地域に一日、次の日は熱い地域というように、環境がコロコロと変わる状況になったとすると、身体はどの環境に適応すればいいのか分からなくなるので、体調が崩れてしまいますいです。

 

 環境という五気に対応するのは、気の種類で言えば、衛気になるので、土用の時期は衛気の働きがより活発にならないといけないですし、身体の機能も活発にしないといけないので、気候が穏やかでも身体にかかる負担はかなりありますね。

 

 洋服の衣替えだけではなく、気の衣替えの時期とも言えるので、身体を多くの気を生成して、対応能力を上げていく必要がありますね。

 

4.土用の過ごし方

 土用は季節の変わり目になるので、2つの五気が時には交互、時には相互で影響をしていく時期になりますし、気の生成も増やさないといけないので、休養が大切な時期になります。

 

 古代では、一般の人は農作業に従事することが多いので、土を触らないということは、仕事をせずに身体を出来るだけ休めるということにも繋がると言えるので、季節の変わり目は落ち着いた生活をする必要があるということだったのでしょうかね。

 

 2つの五気に対応しないといけないですし、気を充実させていかないといけない時期になるので、身体を休めるだけではなく、滋養強壮を図る時期とも言えます。

 

 滋養強壮は、精が付くものを食べるということになるのですが、精のつく食べ物は、根菜類になりますし、消化吸収に時間がかかる物は、避けた方がいいということになりますね。

 

 東洋医学では消化吸収は脾と関係をし、五行では土に属するので、土用の時期は脾を大切にすることが重要なので、普段の食生活では、甘いもの、油もの、濃い味、生もの、冷たいもの、大食、小食、偏食に注意をしないといけない時期になります。

 

 現在だと土用の丑の日ということで、うなぎを食べて夏に備えると言われていますが、これは江戸時代にうなぎを売るために作られた話なので、健康のことを考えるのであれば、根菜類を入れた素食の方がいいと言えますね。

 

5.まとめ

 季節の変わり目は体調を崩しやすい時期になりますが、身体にどのような影響があるのかを東洋医学的に考えてみました。もう少し踏み込んで考えれば、季節の変わり目に体調を崩しやすいのであれば、脾の働きを強めることも必要でしょうし、季節の変わり目に体調が変わりやすいのであれば、2つの気(外邪)に対応する治療を考えてみてもいいのではないかと思います。

 

 季節の変わり目に出やすい花粉症も脾の働きが強くなると落ち付くこともあるので、衛気の働きと関係をしているのではないかと思います。

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