五臓と気血津液精神

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 東洋医学では身体の中にある物は、気・血・津液・精・神という5つがあり、五臓があるという考え方をしていき、五臓の働きは気血津液精神に影響を与えるという考え方になります。

 気血津液精神は五臓の影響を受けますが、五行に分類したら、どの臓との関係が密接かと言うこともできるのではないでしょうか。

 

1.気血津液精神

1)気

 気は万物の根本として考えていくことができるのですが、気血津液精神という5つで考えていった場合、気の機能は活動や動くというのと強く関係しやすくなります。人は生きているという精神があるだけではなく、活動をしているのが正常であり、広く言えば生命活動という動きは気の働きによって成り立っていると考えることができます。

 

2)血

 血は脈内を流れる赤い液体であり、身体に栄養を与える働きがあります。臓腑や経絡を栄養していく働きがあるので、活動を主にする気にも栄養を与える働きがあり、気は血を生成し、流す働きがあると考えていきます。

 

3)津液

 津液は脈外にある水分であり、人は水分があるのが必要なので、人の生命の根本とも言えますし、年を取ると水が不足をしていくので、加齢により失われていく物として考えていくことができます。人が生きるためには水が必要なので、生命の根本という表現をすることもできますね。

 

 津液が脈内に入ることで、血という液体になるので、津液は血と同様に、全身を潤す性質があり、気によって生成され、流す働きがあると考えていきます。血や津液はそれだけだと動く働きがないので、気を載せておくことで、循環をしていると考えていくことになります。

 

 これは、血や津液が不足をすると生命力や活動力が低下をしてしまうので、それであれば、気も不足をしないとおかしいと考えたのと、生成・動かす働きが気にあるから、血や津液は気を載せているという答えになったのでしょうね。

 

4)精

 精は人が生まれる根本の力であると同時に、生きているということは、食べて栄養や身体を作っていくので、食事から得られる根本的で大切な物という意味があるのではないかと思います。

 

 精は食事とも関係をするし、生命力の元とも言えるので、精から気や血が生成されると考えていくので、気血津液との関係も密接になります。

 

5)神

 神は何か不思議な力であり、何かを成立させる根本の原理とも言え、心(こころ)として考えていくことができます。人は生きている状態では何かの見えない力が働き、精神があるのが正常なので、この状態は神が関与をしていると考えていきます。

 

 神は精や血との関係が密接ですが、生きるという根本があることで精神が成り立ち、普段の栄養は血が与えていきますが、血は精、津液が必要であり、気の働きによって成り立っています。

 

6)気血津液精神まとめ

 上記ではそれぞれの項目について、個別に書いていきましたが、最終的には5つが相互に助け合いながら成り立っているのが生命という考え方なので、人が生きている状態を維持していくためには、気血津液精神が大切になります。

 

2.五臓

1)

 肺は人の活動では呼吸と関係をすることであり、呼吸をすることで身体を動かすことができ、身体をよく動かす(運動をする)と呼吸が多く必要になるので、身体の活動と強く関係をしていきます。

 

 人が病気になって寝たきりになってしまうと、肺の機能が低下して肺炎になってしまうというのを観察した結果、活動が低下すると、肺の活動が低下をしてしまうという考え方も出来たのでしょうし、肺は身体の活動と強く関係をしていることになります。

 

2)

 肝は身体の様々な機能に関係をしていますが、構造的にも血が多く関係をする場所になるので、全身の栄養と強く関係をしていきます。人が活動をする時には、栄養が必要になるので、肺の機能が高まるだけではなく、肝の機能によって栄養されると考えていくことができるので、様々な臓腑の活動を栄養するのは肝ということになるので、肝の働きは全身に影響を与えていきます。

 

3)

 腎は生命力として関わるところであり、水の排泄にも関与をしています。水の管理・調節を行うことで、体温維持にも関与をしており、人の生命は体温があることで成り立っているので、人の生命の根本は腎であると考えていくことができます。

 

4)

 脾は消化吸収と大きく関係していくところであり、食べて栄養を摂取し、全身に送る働きは脾の機能になります。食べることで、栄養を増やし、気・血・津液を生成できるので、人の生命を支えている場所として考えていくことができます。

 

5)

 心は人の精神との関係が密接なところであり、心が正常な状態を保っているのは、心の機能がしっかりしていることになります。精神を支えていくためには栄養が必要なので、他の臓の働きによって支えられていると考えていくことができます。

 

3.五臓と気血津液精神

 気血津液精神と五臓を合わせて考えていくと、お互い5つずつなので、一つずつ対応していくことができます。

 

1)気と肺

 気は身体の活動と関与をし、肺も身体の活動と関与をしているので、人の活動が低下をした状態は、気の異常であると同時に、肺の異常が生じていると考えていくことができます。

 

 全身の気を循環させ、血や津液を循環させる力にもなるので、身体に栄養を循環させ、生命力を持続させることに関与をしているのが気と肺ということができます。

 

2)血と肝

 血と肝は身体の栄養と強く関与をし、全身に影響を与えているので、身体の栄養を上手く配分できない状態は血の異常であり、肝の異常であると考えていくことができます。血は精神との関係が密接なので、肝の問題は精神にも影響を与えてしまうことになりますね。

 

 肝は五行では曲直という、のびのびとした性質があるので、のびのびできないストレスがかかった状態は肝の働きが低下し、血に異常が生じ、精神と関わる心にも異常が発生してしまう原因ともなりやすいです。

 

3)津液と腎

 津液と腎は身体を潤すこととも関与をし、体温調節とも関係しているので、体温を維持して生命力を維持しているのは、津液であり、腎の働きとして考えていくことができます。人が生まれたときは水分が多く、高齢になると水分が不足をしているので、腎に置き換えて考えていくと、生まれたときは腎が強く、加齢により腎は弱まっていくと考えることができるので、腎は生命力の根本として考えていくことができます。

 

4)精と脾

 精と脾は身体に存在するものを生成する働きに関与をしているので、消化吸収とも大きく関係をしていきます。飲食が摂取不足になってしまえば、身体を養う物を生成することができないので、生命力と関係する精が不足をすることになり、脾の働きが低下をしやすくなります。

 

 食べ過ぎは精が過剰になり、気血津液も過剰になってしまうために、気血津液の実証を生じてしまい、正常な循環を妨げる原因にもなってしまいます。

 

5)神と心

 神と心は、人の精神と大きく関係をしているので、精神に大きな負担が生じてしまえば、神や心の障害が引き起こされることになりますし、精神は血によって栄養を受けているので、血の異常が発生しやすくなるので、肝に問題が生じやすいですし、生成も増やさないといけないので、消化吸収と関係する脾の働きが低下をし、気の生成が不足をするので、気や肺は低下をしてしまうことで、息切れ元気がなさそうな声になってしまいます。

 

4.まとめ

 東洋医学的に身体の状態を考えていくためには、気血津液弁証や臓腑弁証が大切になっていきますが、その根本を理解すると、診断をするのも早くなるし、治療効果がよくなるのではないかと思って、五臓と気血津液精神についてまとめて考えてみました。

 

 まだまだ、内容としては足らないところもあるのですが、今後も五臓と気血津液精神について考えていって、病態の理解に繋げていきたいと思います。

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