経筋(けいきん)

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 経絡は臓腑に繋がり、全身を循環していますが、身体の機能や動きは筋と関係することから、運動器疾患の多くは経筋の病として考えていくことになります。

1.経筋とは

 経筋は臓腑に直接つながるものではないと言われていきますが、臓腑と関係する経絡から分かれているので、直接ではないですが、臓腑との関係性があります。経筋の走行は、体表部であり、皮膚や筋肉などの構造物に限定されるので、経筋の働きが臓腑に直接作用する訳ではないということですね。

 

 ただ、長い目で見た時には経筋の異常が経絡に影響し、臓腑にまで進行する可能性があります。東洋医学は一つに異常が生じたときに、他にも影響を及ぼしてしまうという考え方なのですが、繋がるというのを先に重要視してしまうと、結局、どうすればいいのか分からなくなってしまうので、古典の中でも経筋は臓腑には繋がらないという記載をしたのではないでしょうか。

 

 経筋の走行は基本的には、経絡の走行と同じになるので、おおよその位置は同じ場所にあるので、経絡が経筋に栄養を与えていることになります。

 

 経筋は身体の運動に関与している物なので、鍼灸師は運動器疾患の対処もよく行うので、知識として知っておいもいいのではないかと思います。正式な走行まで含めて覚えてみてもいいのかもしれませが、私は経絡の走行と近いというところまでしかしっかりと入っていないですね。

 

2.経筋の特徴

 経筋は臓腑と接続しないで、動きである筋との関係が密接ですが、走行と繋がるところにも特徴があります。経絡は、全身を循環するという考え方が取り入れられているので、中焦から始まり、肺経、大腸経と接続していき、最後は肝経になり、中焦に戻ります。

 

 経筋は、動きのみと関係をしていることから、全身を循環しているという概念がありません。さらに、経筋の走行は全て末端部から中心部に向って走行し、頭部に終わるので、経絡の末端と中枢という繋がりにはならないです。

 

 経筋が連絡するところは、「結ぶ」や「聚まる」と表現され、手足三陽の経筋が結ぶのは顔面、手三陰の経筋が結ぶところは胸腹部、足三陰の経筋が結ぶのは前陰でもある陰器に結んでいきます。十二経筋は宗筋とも関係しているので、身体の動きの集大成が生殖器の活動と表現することが出来るでしょうね。

 

 経筋が結ぶところは、関節部と関係しやすく、筋肉が豊富なところとされているので、身体に取って重要な顔面・胸腹部・生殖器に繋がっていくことになります。

 

3.経筋と筋・肌肉

 運動は経筋と考えて治療していくことができますが、五行の分類から考えれば、筋(腱、靭帯、筋膜や動き)と肌肉(身体や手足の太さ)も関係しているので、運動器疾患の場合は、経筋だけではなく、筋・肌肉として考えて治療していくことができます。

 

 筋は肝に属し、身体の動きに対応していますが、筋の障害は、ふるえや痙攣などの動きの異常になるので、動かすと痛いというのは経筋の病として捉え、異常な動きは筋の病として捉えていくと治療を組み立てやすいと思いますよ。

 

 肌肉は脾に属し、身体や手足の太さと関係しているので、動かすと痛いというのは経筋の病として捉え、太さが急激に変化をするような状態、つまり萎縮や肥大は肌肉の病として捉えていくと治療を組み立てやすいと思いますね。

 

 経筋は身体の外側の問題なので、動きによって痛みが生じやすく、動きを工夫したら、問題がある経筋を使わなくて済むので、身体を動かすことが出来ます。

 

 筋や肌肉の問題は、自分で努力をしようとしても、すぐに止められたり、変化をだせたりするものではないので、筋肉っぽい疾患は全て経筋で捉えるのもよくないでしょうし、筋・肌肉だけにしてしまうのもよくないと思います。

 

4.まとめ

 経筋についてまとめてみました。私自身も経筋と筋・肌肉をしっかりと分けて考えていなかったので、ブログを書いたことで、これから少しずつ考えていって、治療で応用してみたいと思います。

 

 私の中で、またまとまったり、疑問が出たりしたら、ブログとしてまとめてみたいと思います。

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