漏谷は足太陰脾経の経穴であり、内果の上6寸にあるので、三陰交の上三寸にあります。「漏」はにじみ出ていくという意味があり、「谷」は筋骨の間にある隙間という意味になります。
1.名前
漏谷の名前は最初に書いた通りですが、「漏」という漢字が含まれていくので、どこに、つながっていくのか気になります。太陰絡と呼ばれることもあるので、どこかに繋がるという考え方があるようです。
「漏」という漢字には、「もれる」という意味がありますが、「“隙間”を通って漏れる」という意味があるので、穴であり気血を流す働きがあると考えることもできますね。漏谷がある高さは、豊隆とほぼ同じ高さになるので、豊隆に繋がるという考え方をすることができます。
禁灸穴として出ていた時期もあるようですが、普通にお灸も用いることができますね。
2.治療
経絡経穴概論の教科書では後脛骨筋・長趾屈筋としていますが、解剖の図を見るとヒラメ筋とも関係しやすそうなところなので、下肢の疾患では幅広く利用できそうですね。ヒラメ筋は体重支持・歩行に影響ありますし、後脛骨筋は足のアーチ形成にも関係しているので、下肢の疲労があるときには、漏谷が非常に良さそうです。
と言うことで私は、下肢の問題がる時に漏谷を触れて確認していくことが多いですし、下肢が緩むと腰部の張りも軽減するので、三陰交よりも漏谷や地機付近の硬結などを確認することが多いです。
漏谷付近は、三陰交と比べて筋肉のボリュームがあり、刺入すると、筋肉が動く躍動が生じやすい場所だなと思うことが多いですね。
刺入方向は、皮膚面から直刺で刺入することが多いですが、骨の裏を擦るようにして刺入する場合と、やや後方に向けて刺入することがあります。角度としては、20度前後なので、ほぼ直刺の中で使い分けている感じです。
後方に向ける場合は、下肢の疲労に対して利用することが多いので、運動器疾患に対しての刺入になっています。骨際に向けて刺入する場合は、脾の働き・胃の働きに影響を与えようとする場合が多いです。
お灸を使用する場合は、浮腫みが強かったりする、水の状態だと感じた時が多いです。イメージとしては、漏谷にお灸という熱を加えることによって、陰液に熱を加えて動かすという感じです。
下肢や腰部の問題が生じているときに、漏谷と地機、漏谷と築賓に鍼通電療法を行うことがあります。これは、自分の下腿に鍼をしたり、鍼通電を行ったりした時に、地機、漏谷、築賓は効果が高く感じたので、患者さんにも使用することが多くなりました。
3.まとめ
漏谷は学生時代に取穴部位が分からなくて何度も悩んだところで、卒業してからは、分の足が疲れたときに、そういえば漏谷付近はよく押すなと気づき、治療の中で利用していくようになりました。
まだまだ利用頻度としては少ないかもしれませんが、今後も漏谷の効果を探してみたいと思います。