お灸は地域の伝承として行われている物があるとされていて、寺社仏閣でも行われていたとされますが、有名な物は「ほうろく灸」ではないでしょうか。
医療は文献を読まないといけないので、昔では寺社仏閣に携わる人が書籍を読めたという点と、人の生死に関わるところから、近所の人に医療を提供していたと考えられています。現在は、法律が整備され、はり師・きゅう師のきゅう師がお灸を行いますし、医療も整備されているので、止めたところも多いのではないでしょうか。
こういった中でも現在に残っているのが「ほうろく灸」になります。「ほうろく」は「焙烙」と書かれ、素焼きの土鍋の一種になりますが、深さがなく比較的平らの形状をしています。この焙烙のお皿側を頭の上に乗せ、底面に艾を載せることで温めるお灸が「ほうろく灸」になります。
ほうろくにお灸をしている間に無病息災を祈るものですが、暑気払い、頭痛封じ、中風封じとして使われてもいたようです。夏バテを防ぐために、土用に行われているのが、神楽坂の毘沙門天善國寺になります。他には、品川成田山一心寺でも「ほうろく灸」を行っているようですね。
ほうろく灸は、焙烙を用いていくので知熱灸で使う程度の艾の量では感じることが少ないので、かなりの量を焙烙の上に載せる必要があります。
私は受けたことがありますが、ほんのりと温かさが持続して、気持ちいい感じがしましたね。
熱中症の治療としては、頭部に刺絡やお灸を用いていくのもいいと言われているので、ほうろく灸をしておくことで、頭部への循環をよくして熱中症の予防を考えたのでしょうかね。
ほうろくは頭の上に載せっぱなしにするのが難しいので、自分の手で焙烙を支え続けなければいけないのが難点でしょうか。
頭部のお灸でのぼせてしまう人もいますが、頭部の温熱刺激は気持ちよいと感じる人も多く、治療が終わると頭や顔がすっきりすることが多いので、自宅でも行っても気持ちよさそうですね。
ただ、難点は艾を大量に使用するので、煙が凄いことと、持っているのが辛いということでしょうか。
治療院でやるのもいいでしょうけど、煙の量が問題になることが多いのではないかと思います。こういった温熱療法は気持ちいいと感じることが多いのですが、使用する艾の量が多いと煙の量の問題が生じてしまうので、使用することを考えると難しい治療になりますね。
頭頂部は足厥陰肝経と関係しているので、頭部を温めると肝の働きを強めることが出来ると考えられるので、のぼせがなく、ストレスが強くイライラしやすい方にも向いているでしょうね。
頭部を緩めていくと、頚肩周りも緩んでいきやすいので、頚肩こりがある人もすっきりする感じがすると思います。家で似たような形で行うのであれば、ホットタオルを頭の上にのせるのもいいでしょうね。