四書五経は儒教を学ぶ上では重要な書籍であり、四書は大学、論語、孟子、中庸であり、五経は易経、書経、詩経、礼記、春秋で、「経」は儒教の聖典で、「書」は聖典を読むための参考書になります。
1.儒教
儒教は孔子を始祖とする思考体系であり、紀元前の中国に始まり、アジア各国への影響を持ち、名教、礼教、孔教、孔子教と言われることがあります。儒教は中国古代の戦国時代に生じたものであり、その当時に様々な思考体系が生まれたことから「諸子百家」の一つにもなります。
儒教の考え方では、支配者の徳によって天下を治めるという王道を追及する考え方で、武力による征服を批判しています。ただ、当時はどうやって覇権を握るかで中国の中で各国がせめぎあっていたので、徳による政治よりも、覇権への考え方が主力になったので、主流ではなかったものです。
漢代になると、国を統一したことによって、どうやって国をまとめていくかが重要になったので、国家の学問として儒教が取り入れられ、それ以後に研究が進んでいきます。国の政治の仕方にも関わることから、政治に関わる人間の必修の学問となり、中国だけではなく、日本でも儒教と儒教経典が重要視されていきます。
儒学を学ぶ人は儒学者や儒者という言葉で呼ばれ、儒学を学ぶものは儒生と呼ばれていました。
儒教では、五常(仁儀礼智信)という徳を育むことにより、五倫(父子、君臣、夫婦、長幼、朋友)の関係を維持することになります。五常を簡潔にまとめると以下の通りになります。
- 仁:人を思いやること
- 義:私利ではなくすべきことを行う
- 礼:仁の行動としての習慣や行動
- 智:学問
- 信:誠実であること
儒教は最初から完成されていた訳ではなく、孔子の考え方をまとめて、制度として取り入れられながら完成したものと言えます。では孔子は凄かったのかを知るのであれば、『論語』を読んでみるのもいいでしょうし、孔子はそれほど大したことがないという反対意見も踏まえてみるといいのではないでしょうか。反対意見としては読みやすい書籍は以下の物になります。
『エラい人にはウソがある ―論語好きの孔子知らず』
2.四書
四書は儒教の経典を学ぶ参考書ですが、どのような内容なのかを簡潔にまとめてみます。
- 大学:礼記の中の一編、儒教の入門書
- 論語:孔子と弟子の言行録
- 孟子:孟子と弟子の言行録、性善説
- 中庸:礼記の中の一編、偏らない
四書を読む順番としては、『大学』、『論語』、『孟子』、『中庸』がいいとされています。私は四書の研究者ではないので、細かい内容自体は分からないですが、大学は儒家に取って必要なことが分かりやすい形でまとまっているので、その後に読む『論語』や経典の考え方の大本が理解できるというところでしょうね。
『論語』は孔子と弟子、『孟子』は孟子と弟子との言行録になるので、対話形式で読みやすいですが、対話形式なので、形式としてまとまっていないので、『大学』で形を一回入れたあとがいいのでしょうね。
『中庸』は礼記の中の一編でしたが、儒教の思想として重要な考え方であり、経典を読む上では、頭の中に入っていた方がいい物ですが、儒教的な考え方が理解できていないのと、内容を読み込むことができないので、四書の中の最後に取り入れられているのでしょうね。
3.五経
五経は儒教を学ぶ上では聖典と呼べるものですが、どのような内容なのかを簡潔にまとめてみます。
- 易経:占術理論
- 書経:古代からの帝王の言行録
- 詩経:中国古代の詩歌
- 礼記:礼儀作法など
- 春秋:孔子の出身地である魯国の歴史書
『易経』は占いと言われていきますが、万物の生成や変化について予測していくという考え方があるので、道家にも尊重されています。『易経』という言葉は、宋代以降に名付けられているので、もともとは『周易』と呼ばれています。
『書経』は、古代の帝王がどのような言行をしていたかをまとめているもので、もともとは『書』や『尚書』という名前で呼ばれています。
『詩経』は、孔子が雅楽に合うものを選んで編集したものであり、その当時の民謡も残されています。
『礼記』は戦国時代の制度や習慣などについて書かれていて、日常や冠婚葬祭の礼儀作法や身分、学問、修養についても書かれていて、周代の官制について細かく書かれているのが『周礼』であり、官吏の冠婚葬祭について書かれているのが『儀礼』であり、3つを合わせて三礼と呼ばれています。
『春秋』は孔子の出身地である魯国の歴史書ですが、内容的には非常に簡潔になっているので、いくつかの解説書があり、『公羊伝』、『左氏伝』、『穀梁伝』などがあります。『左氏伝』は三国志の関羽が愛読していたというエピソードがありますね。
4.まとめ
四書五経は名前も知っているつもりでしたが、いつも忘れてしまうので、まとめることで一度、頭に入れたいと思ってブログにしてみました。今まで、よく分からないので、読み流していたことが多いですが、『周易』、『尚書』、『周礼』という単語は別名や内容もちゃんとわかれていたのだなと思いました。
四書五経のいくつかは、現代語訳では読破したことがありますが、読んだことがない物が多いですし、せっかくなので、読んでみようかなと思います。そのうちに。買ったら積読になりそうですね。