鍼灸治療と手技治療の違い

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 鍼灸治療が主だと手技治療をしなくなる人がいますし、手技治療が主だと鍼灸治療が少なくなる人がいますが、鍼灸治療と手技治療は何が違うのでしょうか。

1.手技治療

 手技治療はいろいろとありますが、ここでは東洋医学で行うという考えで考察するので、あん摩や指圧を手技治療として考えていきます。手技による治療は「あん摩マッサージ指圧師」という資格がないと、日本国内では出来ないのですが、現状はリラクゼーション、○○整体、カイロなどのように、国家資格がなくても行っていることが多いですね。

 

 これらの物も手技治療と呼べるので、鍼灸との違いという点ではまとめて考察することが出来るのですが、治療の考え方と言える、哲学性などは同一ではないというのは注意が必要ですね。

 

 手技治療の利点は、いつでも、誰でも、どこででも出来ると言う部分であり、身体の隅々まで触れるので押すというリスクさえ除けば、手が触れられるところであれば簡単に利用することができます。

 

 押すリスクは、骨が弱い人を押してしまって骨折するということなので、骨以外でも、血管を強く圧迫してしまうと内出血してしまったり、皮膚の牽引が強いと皮膚を壊してしまったりするので、身体に適切な押圧が出来て、垂直に圧を入れるという基本ができれば、リスクは非常に低い治療だと思います。

 

 ただ、誰にでも行えるという点から、治療効果を伸ばすというところになると、かなりの練習が必要だと思います。手技の場合は、押圧操作が必要になりますが、体重を乗せるということは、自分の身体を効率よく利用しないといけないので、身体能力も必要だと思います。

 

 運動をしていたような人だと、手技を身に付けるスタートは良いような印象がありますが、身体を利用するのが得意なので、何となく程度で出来る部分があるのでしょうね。

 

 私自身はすごいという手技の方の治療を受けたことがないですが、患者さんの話しとして凄い先生の話しを聞いたことがあります。治療時間は10分程度、身体を軽く指圧すると、あっという間に症状が消えるということでしたし、それ以上の物を受けたことがないというのも聞いたので、受けてみたいと思いましたが、既に亡くなられているようでした。

 

 私自身は手技の治療も沢山受けたので、初心者のときと比べ、驚くことは少なくなりましたが、昔に受けた2~3分の指圧も凄かったなと今も実感します。特別なことはしないのですが、うつ伏せで寝た状態で背中を軽く、4点ぐらい圧迫されて、全部、よだれが一気に出る感じがあり、この経験は一度だけですね。再度、受けに行こうと思ったら、既に院が無くなってしまっていたので、今はどこでやられているのか分からないですね。

 

2.鍼灸治療

 鍼灸治療は、胸郭に鍼をしてしまうと気胸を起こすことになるので、最悪の状況では、死に至る可能性もあるので、リスク的には高いです。そのために、国家試験に合格しないと資格を取得することができないですし、細い鍼を使用していくので、簡単にまねを出来ないので、手技治療と比べ参入障壁が非常に高いです。

 

 体内に鍼を刺入することから、神経、血管、構造についてよく知らないといけないですし、道具も扱えないといけないので、扱うのは大変ですが、鍼灸学校の3年間があれば、自由自在に扱うのは難しくても、鍼を入れることは出来るようになるので、鍼灸師であれば鍼を刺すことは簡単でしょうね。

 

 鍼は場所を選ぶ、刺す深さや方向を決めるのが難しいですし、同じツボを使っても、初心者と上級者では効果が変わるので、奥が深いと言えますが、資格を取得してさえしまえば、鍼を刺すという特殊なことは出来るので、治療というスタイルを取るのは手技治療と比べて簡単です。

 

 もちろん、結果がどうかは保証できませんが、受ける側からの視点で考えれば、誰でもできる手技よりは特殊性が強いですし、やり方や効果が受ける側から分からないので、任せるという態度になりやすいですね。

 

 鍼の治療では、皮膚上、皮下、筋膜、筋肉など対象を分けて刺入することが出来るので、鍼の扱いが上手くなってくれば、治療の幅が広がりやすいですね。

 

3.鍼灸治療と手技治療の違い

 治療として行うのであれば、結果としては、どちらを選択しても変わりはないと思いますが、手技治療の場合は、誰でもできるという参入障壁の低く、手の感覚が鋭い人もいるので、その中で治療として大きく伸ばすのは難しいところがあると思います。

 

 治療としても、鍼より面積が広くとらえていくので、どれだけピンポイントに施術をしようとしても、コントロールしていくのが難解だと思います。

 

 手技治療に比べれば、鍼灸は参入障壁が高く、知識・経験差が受け手側と比べて大きくなるので、治療だというスタイルを取りやすいので、治療家としてはやりやすい道具だと思いますね。

 

 治療をするときでも、鍼灸の方がピンポイントで狙える優位性があるので、手技は苦手でも、鍼灸ならば変化させられるということもあると思います。

 

 鍼灸の刺激が好きであれば、鍼灸治療の方がいいのではないかと言えそうですが、鍼灸の刺激が好きではない人は、手技治療でもいいのでしょうけど、治療として伸ばそうとして行っている人の治療でないと効果が伸びにくいと思います。

 

 鍼灸でも同じようなところはあるのですが、手技よりはピンポイントで行えるし、ピンポイントで出来なくても、数で補うことは出来るので、治療としては手技よりも鍼灸の方が簡単と言えますね。

 

4.まとめ

 一般の方、この業界に来たい方、初心者の方と話しをすると、たまに出てくる話しなので、いつも話しをする内容をブログとしてまとめてみました。

 

 私自身は、鍼灸治療も手技治療も好きなので、両方ともいいところがあって、両方を使うときもあり、どちらかだけでも十分な実力をつけたいと日々、思っています。

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