治療家として数年経過すると、治療の深追いをし過ぎて治療が終わらなくなってしまったり、治療効果が消えてしまったりする経験を何度かしたことがあるのではないでしょうか。
治療家として最初の段階では、思ったように治療効果が出ずに、いろいろと手を広げ過ぎてしまい、自分がやりたかったことを上手くできずに、まとまり切らないことがあると思います。
いろいろとやってみたいという気持ちもわかりますし、よくなったら患者さんも他の症状も改善して欲しいという気持ちが出るのも当然ですし、治療がどんどんと増えていくこともありえますが、深追いしていくと、何の治療をしたかったのか分からなくなってしまうし、最初に改善させた物も身体の変化によって症状が戻ってきてしまうことがあります。
なかなか来院することが出来ない人、いろいろと症状がある人、辛くて仕方がないは、何とか変化させてもたいたいでしょうから、治療を多く求めてくる場合が多いですが、治療者は注意しておかないといけないですね。
症状変化が全く生じないから治療の深追いをして、しかも結果がなかなか出ないこともあるでしょうが、この場合は、少しでも生体に変化が出たら、一度、様子を見てみるほうがいいですね。
やり過ぎても患者さん自身も不信感が募っていくだけですし、信頼関係も失っていってしまうので、やればやるほど、泥沼にはまっていってしまう感じがすると思います。
変化が出ているかどうかを確認するためには、痛みなどの自覚的症状だけで評価するだけではなく、他覚的な動きもしっかりと確認しておくといいですね。それ以外にも圧痛の変化が生じていないのかも確認しておくと、何が変わって、何が変わっていないのかが明確になります。
深い追いしてやり過ぎてしまうと、次の時への課題もなくなってしまうので、手詰まり感になってしまうことが多いですが、実際はやり過ぎて分からなくなってしまっている場合もあるので、加減が一番難しいですね。
一つの指標としては、時間があるので、時間が来たら一旦、様子を見てみるのも必要ですが、自覚的に変化を感じていないと患者さんも納得できないでしょうから、他覚的な情報を最初にしっかりと取っておき、早い段階で少しでも変化をだし、終わった後の様子を見てみるのも大切です。
視点を変えて初めて状態が見えることもあるので、立位・座位・歩行の変化も見る癖をつけておくと、治療者が変化したかどうかが分かるので、治療前の確認をおろそかにしない方がいいですね。
治療に慣れている人だと、治療が終わって確認するときに、最初と比べて何が変わったのかを明確に伝えることが多いので、初心者の段階では最初と最後をしっかりとした方がいいですね。
過度な治療を求めて、一回で量を求める患者さんもいるので、その場合は、時間と料金をしっかりと決めておく方がいいと思いますよ。身体自体は治療で大きく変化するときもありますが、機械ではないので、どうしても時間がかかる場合もあるでしょうから、治療に入る前の導入・治療に入る時に予測、治療中に治療後の予測と今後の展望を話し、治療後にまとめをするようにした方がいいと思います。
治療技術・知識を向上させることも大切ですが、接遇と言われるような対応も重要になるので、患者さんの気持ちを考えながら、客観的に状況を確認して、計画を立てるのが大切ですね。