子どもの夜泣きの原因と対処法―疳の虫の原因と対処法

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 夜泣きは、体力も消耗するするし、毎日のことになるので、夜泣きが酷い状態だと、頬も起こされるのではないかという気持ちになってしまうでしょうし、疲れも抜けないのでイライラしてしまいやすいですよね。

 夜泣きで困っている家庭の多くは、奥さんが一人で対処することが多く、何故なのだろうか、どうやったら改善するのかを調べることが多いのではないでしょうか。我々、鍼灸師も多くの方が相談を受け、治療をしているので、夜泣きの原因と対処についてまとめてみたいと思います。

 

1.夜泣きの原因

 子どもは脳の発達が未熟になるので、寝ている状態ときも半分起きている状態になるので、睡眠が浅いとも言えます。さらに、日々の活動を睡眠時に脳が処理しているので、日中の刺激によって睡眠が浅くなる可能性があります。

 

 もちろん、病気や体調不良によっても夜泣きになってしまうことがあるので、あまりにも激しく続いたり、体調が悪いようであれば、小児科を受診するのも必要になっていきます。

 

 他にも、小児の身体は成熟していないので、飲んだミルクを処理しきれなくて、お腹が張ってしまうことで、眠れないということがあります。

 

 ネットで有名になったので知っている人もいるかもしれませんが、夜泣きは「黄昏泣き」という呼び方もあり、「コリック」とも言われます。「コリック」の原因は、はっきりとわかっていませんが、暗くなる不安・寂しくなる・イライラが伝わるなどという説がありますが、消化不良という考え方もあります。

 

 赤ちゃんの消化器官は未発達なために、お腹にガスがたまりやすく不快感によって発生しているのではないかという考え方があります。大人でもお腹にガスがたまって辛くなる時がありますが、痛みと苦しさで不快で、姿勢を変えても辛さが続くので、全く止まらない夜泣きの原因だと言われたら、そうなのかなと思えるところですね。

 

 お腹の不快感から生じる「コリック」だとしたら、普段からお腹を軽くマッサージしてあげておくと夜泣きの改善を図れる可能性がありますね。

 

2.東洋医学で考える夜泣き

 東洋医学では夜泣きや疳の虫に対しては小児の鍼を行うと改善していくと考えていて、多くの鍼灸師が治療として行っています。小児の鍼と言っても、鍼を直接刺すのではなく、突起物で皮膚を擦っていくだけの治療になります。

 

 疳の虫と言われる「疳」は食事と関係する病を意味する言葉で、最終的には痩せていく病になります。「疳」の初期が「疳気(かんき)」と言われ食積(食積)という食事の消化不良が発生するものになり、中期が「疳積(かんしゃく)」と言われ、食積だけではなく、消化不良、多食、腹部の静脈が見えるようになり、後期が「乾疳(かんかん)」と言われ、極度のやせが発生するとしています。

  • 初期:疳気→食積
  • 中期:疳積→食積、消化不良、多食、腹部静脈怒張
  • 後期:乾疳→やせ

 

 疳積には五種類あり、五疳(ごかん)と言われます。五は五行に関係し、五行は臓腑と関わるので、臓腑の名前と「疳」を合わせたものになり、肝疳、心疳、脾疳、肺疳、腎疳で、症状などは各臓と関係するものが発生します。

 

 食事の停滞によって生じる病ですし、食の停滞によって気の停滞も生じて不快感が強く出てしまい、小児は自分ではどうしようもないので、「疳の虫」になってしまうと考えていきます。

 

 「疳の虫」には、気を散らすという「散気(ちりげ)」と言われる「身柱(しんちゅう)」というツボが使われることが多くなります。身柱は肩甲骨の間で、上の方にあるので肩甲骨の間も治療としてよく利用されていきます。

 

 小児は、身体の力が弱いということで、稚陰・稚陽(ちいん・ちよう)とも言われていき、治療の刺激量は注意が必要になるので、治療者は小児の体表変化を見きわめながら治療をしていくことになります。

 

3.一般家庭でも出来る対処法

 鍼灸師は小児の治療では特別な道具を用いて治療をしていくことがありますが、「ローラー鍼」という道具で治療をすることがあり、鍼灸師の子どもは、「ローラー鍼」を小さい頃から行っていることが多く、子どもが大きくなると遊び道具になっていることも多いです。

 

 「ローラー鍼」は皮膚が弱い人、刺激に弱い人でも利用されるので、大人の治療としても利用されることがあります。一般の方であれば、家に置いておいて、子どもの治療だけではなく、オフィスワークの疲れ、眼精疲労だったら、頭部や頚部に行うとすっきりすることも多いでしょうし、足がむくみやすいのであれば、下肢全体に行うといいですね。

 

 「ローラー鍼」は複数のタイプがありますが、こちらの商品で十分に対応できますね。強弱がありますが、大人であれば強、子どもであれば弱という考え方でもいいですし、子どもにやってみて、どちらが好きかを聞くのもいいでしょうね。

「カナケン ローラー鍼 クロームタイプ (強刺激 x 弱刺激) セット」

 コロコロとローラーが転がるので、「コロコロ」と表現されることも多いです。やり方は皮膚の上でコロコロするだけで、背中全体、手足を行うことが多いです。子どもによっては頚部や頭部にやるのを好む場合がありますね。

 

 お腹の調子が悪いので、お腹にやるのがいいだろうと思うかもしれませんが、お腹に行うと、くすぐったいと感じてしまうことが多いので、ローラー鍼はお腹にはあまりやらないですね。

 

 背中はツボでは内臓と関係するものが集中しているので背中だけでも十分ですし、現代医学的に考えても、内臓の働きは脊椎から出る神経によって調整されているので、背中だけでもいいと考えていけます。

 

 子どもが話せるようになってくると、自分からやってくれと言ってくるでしょうし、肌の乾燥、風邪、体調不良に万能なので、お子さんがいる家庭であれば、一つは置いておいた方がいいでしょうね。

 

 刺激量は皮膚が少し発赤する程度がいいですし、時間としては全体として2~5分程度で十分ですね。子どもの体調を確認しながらがいいので、最初は短めにしてみて、段々と長くしていく方がいいですね。

 

4.まとめ

 夜泣きや疳の虫の治療では、治療をするとピタッと止まる子どももいますが、何度か行って安定させていくことが多いので、家庭の中で、親子の触れ合いとしても使えるので、ローラー鍼はいいですよ。

 

 私も自分の頭や頚部などにローラー鍼を利用することがあるので、絆創膏のような物として一家に1つあってもいいのではないでしょうか。

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