医療とは制度なのか?

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 治療をしていると医療をしているという認識になるのですが、医療ということを考えていくと、いろいろな要素があり、考えていくと迷路に迷いこむような感覚になります。

悩まないで治療だけをしていればいいのでしょうけど、悩んだのであれば、同じように悩む人も今後もいるかもしれませんし、参考になる人もいるのかもしれないのでブログとしてまとめてみます。

 

1.一般的な医療とは

(1)広義の医療

 医療は人の身体に含まれることであり、健康の維持、回復、治療と身体に関わる部分では全てを含むと言えます。例えば、病院で行う治療は医療と言え、スポーツ選手がメディカルチェックで体力増強を行う時にもメディカルという用語が使われていますよね。

 

 ちなみに、メディカル(medical)は医療・医学になるので、メディカルチェックも医療機器を用いた身体のチェックなので、医療の分野に入ります。

 

 美容の分野でも身体に手を加えるのは、医療機器と医療知識を用いた物になるので、医療の分野になりますよね。

 

 これらが医療ではないと定義はできないでしょうから、広義で言えば、医療機器・医療知識を用いて身体について考える、身体に手を加えるのは医療ですね。

 

(2)狭義の医療

 狭義の医療とは、病気である人に対し、回復または悪化の防止につとめ、病気に対処していくのが医療になり、一般的な医療はこちらを指しながら、(1)の医療の意味も入ってくるのでしょうね。

 

 狭義の医療は治療とも関係しやすく、概念の部分と制度の部分に分けて考えていくことができるのではないでしょうか。

 

 概念の部分では、身体に何かがあった場合は、よくしようと考え、実行していくものであり、治療と言えます。治療では、元通り完璧に戻すと考えたら、元には戻らないものを続けるということで、終わりがない追求と言えます。

 

 例えば、どこかを骨折すれば、骨折する以前の100%に戻ることはないですよね。ゲームの世界ではないですから、身体は大切にしていくのは当然と言えます。ということは、100%元に戻ることがないということは、99%よくなった場合に、残りの1%をどうするかですよね。

 

 動きは元通り、感覚も元通りだけど、少しだけ違和感があるような気がするという1%が残っているのに治療を続けるというのはどうなのでしょうか。治療という追求で考えれば必要でしょうが、100%の元には戻らないという前提で考えれば、空を掴むのが治療と言えてしまいますよね。

 

 治療を追求し続けるということは、終わりがないことにもなるので、教義の医療で考えていくのは非常に大変だと思います。

 

 人は必ず死ぬので、医療は最終的には無力という結果になってしまうので、狭義だけの医療だと、医療を行う人も大変でしょうし、国民全体が受けられる物に成りえないですね。

 

2.医療制度

 広義の医療、狭義の医療は、「医療」という言葉の定義みたいなものなので、言葉と内容を一つで決定するのは難しいので、医療を制度と結び付けていくことになります。

 

 制度は人が社会を形成して生きていくために必要な物ですし、法治国家の日本では制度は法律として考えていくことができ、社会に関わる物は社会制度と言います。医療の場合は、医療制度ですね。

 

 狭義の医療では終わりがなくなってしまいますが、制度として形を形成すれば、医療の終わりを決定することができるので、多くの人を受け入れ、持続可能な状態として機能させることができます。

 

 制度として決定してしまえば、「治療」には終わりを作ることが出来、医療職・医療資源を有効活用できるので、医療の定義ではなく、現実的な医療と言えるのではないでしょうか。

 

3.医療保険制度

 現代医学を用いた医療は、莫大な研究費、設備投資費が必要であり、医療職を育成、雇用するのにも多くの費用が必要になるので、医療を受けるときには多くの費用が必要になります。そこで、誰でも安価で安心して医療を受けられるために、支払の部分ではお金を補助する制度を入れていくことで、個人の費用負担を少なくするために、医療制度には保険制度が組み合わさることになります。

 

 保険についての歴史は長くなるので割愛してしまいますが、何かの突発的な事故、費用が多く必要な物は、個人の経済力では解決が難しくなるので、社会全体から必要な人に分配していく制度になります。

 

 例えば、鍼灸でも賠償保険がありますが、事故を起こす確率は非常に低いので、多くの人から加入金を集めておけば、万が一の事故が起こったときには、全体からの支出によって保障することができますよね。

 

 他にも、民間の医療保険などもあるので、保険についての知識は増やしておいた方がいいですよ。ちなみに私はファイナンシャルプラン―の勉強もしたので、商品の詳細が分からなくても全体の知識があります。

 

 話しがそれてしまいましたね。

 

 医療保険制度では、お金に関することも入ってくるので複雑化している状態になっているので、何かを変更しようとすると、費用のことも考えていかなければいけないので、難しい問題が多いでしょうね。

 

4.医療保険制度と監督者

 医療保険制度とうい形があっても、変化していく医療や社会に対応していかないといけないので、医療保険制度には監督者が必要になります。もちろん、最終的な監督者は監督になりますが、日々の細かい監督は医師が行っていると言えますね。

 

 医師が医療だけではなく、医療保険制度で決められた医療を提供することで、この医療保険制度は機能することになるので、医師の果たす役割は大きいですね。

 

 柔道整復師・鍼灸師も医療保険制度を使えますが、鍼灸師の場合は、医師の同意書が必要になるので、医師の監督下にある状態ですね。柔道整復師は医師の同意書がなくても保険請求ができてしまうので、医療保険制度の中でも例外のような状態なのではないでしょうか。

 

 柔道整復師の起源を按摩と考えることもできるでしょうが、按摩は東洋医学の考え方を使って行うものなので、構造からの関節などの処置はやっぱり現代医学になりますね。医師が少ないうちは、処置をする人達が多くなければいけなったので、資格として成り立っていたのでしょうが、今後は、医療保険制度という枠組みの中ではどのようになるのか気になりますね。

 

 鍼灸・按摩であれば代替医学という分類になり、様々な疾患に対応していくことができますが、柔道整復術だと整形外科の方が強いですもんね。

 

5.鍼灸と医療保険制度

 鍼灸は医師の同意のもとでは保険を利用することができるので、医療保険制度の中にもありますが、保険を使わないで鍼灸を行っている人も多いので、医療保険制度を利用していない場合は、個人の考える医療を行うことになります。

 

 例えば、狭義の医療では終わりがありませんでしたが、医療保険制度の枠組みの中でなければ、自由に考えて行動していくことができるので、身体の状態を考えながら、自分なりの医療を提供し、医療に関する行動を行っていくことができますよね。

 

 患者さんの費用負担を抑えるために医療保険制度を利用して鍼灸治療をしていた人もいるでしょうが、費用が安いので、治療時間をかけることが出来ないうえに、事務処理の時間も必要になるので、局所治療以外では使いにくいということで、やめる人もいますね。

 

 医療保険制度の中においては一部になるので、鍼灸のメインは医療保険制度ではないと表現することもできるでしょうが、保険収入がメインとしてやっているところに取っては、鍼灸のメインは医療保険制度ということになるのでしょうか。

 

6.まとめ

 医療、医療制度、保険制度と調べてみると、全てが相互に関係しながら、現実的な落としどころにあるという状況になっている感じがしましたね。

 

 医療は本当にお金がかかる物なので、安価で均一料金で受けられるという、医療保険制度は大切に守っていかなければいけない物だと思いました。

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