整形外科と整骨院（接骨院）は一般の人からしてみれば、安い値段でマッサージをしてもらうところと思っている人もいるのではないでしょうか。私はどちらでも働いたことがあるので、違いについて個人的な見解を含めてまとめてみます。整形外科は働いた経験から町にあるクリニックになります。

１．医療と処置の違い

　整形外科は医師がいて、専門が整形外科、整形外科も出来るけど、内科もできるという医師がいることがあるので、様々な疾患について対処していくことも可能です。ただし、医師の専門性によって違いもあるので、どこまで対応できるかは医師によって違いがあります。

 

　医師の診察を受けると、医療制度の中の医療を受けていくことが可能になるので、症状や病態に合わせて、物理療法、投薬、リハビリテーションを受けることが出来ます。診察器具であるレントゲンを常備しているところも多いですし、規模が大きくなるとMRIも置いてあるところもあり、血液検査も行えるので、検査も充実しています。

 

　医療という用語は治療だけではなく健康全般に対する広義の意味と、治すという視点の狭義の意味に分けられます。狭義の医療では、完璧に治すのを追及してしまうことになるので、どこかに終わりをつけるという点で、制度という形にしているのが特徴なので、医療制度の中の医療という表現にしました。

 

　整骨院は、外傷というケガに対処を行っていく資格であり、打撲、捻挫、骨折、脱臼の応急処置が業務の範囲になります。よくあるマッサージや整体は業務の範囲外になるので、電気療法や温めたり、冷やしたりする場所になります。応急処置後の後療法も行っていきますが、広い意味では外傷の処置と言ってもいいのではないでしょうか。

 

２．健康保険の適用の違い

　整形外科は検査器具だけではなく医師もいるので、様々な疾患に対処していく施設になります。外傷後に関しても、リハビリを管理して行っていくので、検査から処置、リハビリと多くが対応範囲になります。

 

　さらに、整形外科はクリニックとして街中にあることも多いので、様々な疾患に対応することになり、適用となる健康保険の範囲は非常に広いです。これは、医師は専門がある状態でも、基本は全ての疾患を対処する資格なので、適用となる範囲が非常に広くなります。

 

　整骨院では、資格の性質として外傷の処置に限られているので、骨折後の処置や打撲、捻挫でのみ保険が使える状態になっています。最近の保険組合では、「整骨院の受診について」という案内が書かれていることも多いようで、「打撲、捻挫などの外傷についてのみ適応で、肩凝りなどには整骨院では保険は使えないですよ」という案内が書かれているようですね。

 

３．来ている患者さんの違い

　鍼灸師という立場で、両方で勤めたことがありますが、医師の診察を受ける、リハビリを受ける、薬をもらうという人は整形外科の特徴になっていますが、物理療法という電気やマッサージを行う場所だけで考えると、整形外科も整骨院も大きな違いを感じないですね。

 

　違いとして大きいのはと考えていくと、整形外科の方が重症の人が多かったという感じがしますね。例えば、現在であれば骨折や酷いケガをしたらどこにいくかと考えれば整形外科と答える人が多いでしょうから、病院に行くまでではないけど、家では出来ないしという人が整骨院にくる印象がありますね。

 

　後は、整形外科は通常、とてつもなく混んでいるので、忙しい人は整骨院で済ませるという印象もありますね。

 

　最近は、整骨院の料金が保険を利用していても上がってきているように思うので、値段的には、整形外科の方が安いですね。どちらも来ている人はマッサージを受けにきているという印象がありましたね。

 

　マッサージ師はどちらでも働いていることがありますが、実際は少ないと思うのですが、両方ともマッサージをメインとして来ている人の多さに驚きますね。

 

　整形外科が混むのは多くの人を診るという前提と、値段が安いので、高齢者が多くきているという部分があるのではないですかね。年を取ると、筋力が弱り、関節の変形が出てきてしまうので、いろいろなところが痛くなってしまうので、整形外科、整骨院、鍼灸院という痛みの対処をするところは来院が多くなる傾向があります。

 

　会話の仕方の練習と思って、数日ですが落語を聞いていましたが、病院に毎日行くけど、調子が悪くなると来なくなるという話しで客席を笑わせていましたが、町の整形外科、整骨院では、そういう人は確かにいますね。

 

　しかも、どちらもオープン前から並んでいることがありますが、整骨院の方は朝から並ぶのは減ってきたかなという印象があります。

 

　整形外科は、混むので今でも営業前から数人並んでいるのはみかけますが、整骨院は整骨院自体が増えたからか、凄く並んでいるところを見なくなったなという印象がありますね。以前と同じで並んでいるところもあるのでしょうが、全体としては並んでいるところは減ったのではないでしょうか。

 

４．整形外科と整骨院の今後

　町の整形外科は、外傷、病気、プライマリーケアと対応することが多いですし、値段も安いので、その地域の人達が通うでしょうから大きく変わらずに現在のまま続いていくのではないでしょうか。

 

　整骨院は競合も多くなり、保険請求も下がってきているので、厳しい状況なのではないでしょうか。保険以外のところで収入を増やすというのは、マッサージで収入を増やすというのが、昔から行われていてきましたが、現在は、無資格リラクゼーションと言われる無資格マッサージが増え、格安店も出てきているので、難しくなってきているのではないでしょうか。

 

　差別化という点で、骨盤矯正などの整体メニューを導入するところも多いですが、そうなると付近の整体院（こちらも無資格多数）と近い内容になるので、またまた厳しいところにいますね。

 

　ということで、何かのメニューを作っては貼ってを繰り返していくので、数年すると何のお店だったのか分かりにくくなる店舗もありますね。

 

　その点では、整骨院は処置として特化をすると他と差別化してライセンスも有効活用できていくのでしょうが、全体として認識してもらわないといけないので、業界として変わっていくと、非常に面白いのではないかと思っています。

 

５．まとめ

　整形外科と整骨院の違いについて、働いたことがある身として完全な個人目線としてみていきましたが、やっぱり整骨院の業務内容は資格的にも整形外科と重なる部分が非常に多いので、一般の人からしてみたら、医師がいない、レントゲンなどの検査ができないというのが違いとして感じるのでしょうかね。