鍼灸の治療では、治療院や治療者、患者さんの状態によって治療時間が変わるので、どれぐらいかかるのか分からないと感じる人がいるかもしれませんが、治療時間が段々と短くなっていくのが普通のことです。
例えば、初めて料理をする人は、調理器具も触ったことがないし、調味料、食材も多くあるので、どうやって料理すればいいのか分からないでしょうから、一つの料理を完成させるまで、調べながら、確認しながら行うので非常に時間がかかります。
調理道具もいろいろとあり、扱いやすさも違うので、作る物によってはさらに時間がかかってしまいます。
料理に慣れている人であれば、調理時間は減りますが、扱ったことがない食材、調理器具、作ったことがない料理になれば時間がかかりますよね。家庭の料理に慣れている人でも、魚の三枚おろしを普段やったことがなければ、三枚におろしてから料理を始めるとなれば、いつも以上の時間がかかるのが当然ですよね。
治療も同じで、初めての場合は、身体の状態を把握して、様子を見ていきながら治療をし、治療が終わったあとの状態の確認もあるので、非常に時間がかかります。
鍼灸治療では、正規の値段が決められている訳ではないので、治療者が値段を決定しています。値段の決め方としては、資格を取得するまでの費用は他の学校よりも高額ですし、勉強を継続すると言う点、お店と自分の家を維持しないといけないということで、料金は1時間だと6000円は頂かないと食べていくのが大変になります。
多くの治療院では初診料を取ると思いますが、身体の状態を把握して、治療をし、治療後の体調不良が出ないかを見きわめるためには時間が必要になるので、通常の人よりも手間と時間がかかるので初診では別料金でかかるのが当たり前ということになります。
初診料が無料のところも多いでしょうが、初診料を頂かないということは、初診では時間がかかるという前提を無料で奉仕するか、治療をある程度で止めるということが必要になってくるのではないでしょうか。
初診では2時間かかったとしても、2回目からは15～60分になるというのは鍼灸の治療ではよくあることなのですが、一般の方からしてみたら、最初は念入りに時間をかけてくれたけど、2回目からは手を抜いているのではないかと感じる人もいるのではないでしょうか。
無資格マッサージなどでは、時間当たりで料金を取っているので、一般の人からしてみたら毎回治療時間が変わる、段々と治療時間が短くなるのには抵抗感を持つ人もいるのではないでしょうか。
無資格や時間で受けることになれている人は、治療が短時間で終わると、もっとやって欲しいという人が多いですね。患者さんからしたら時間で考える方が一般的でしょうから、治療自体を時間で決定していくという治療者もいますね。
治療を時間で考えないというのも大切なので、場合によっては患者さんに説明するときがありますが、そのときも料理を例としてあげることが多いです。
例えば、同じ料理を作っていれば、だんだんと味も上手になっていくし、手際もよくなるので、治療も同じように慣れてくると短くなります。
短くできたのだから、他にも沢山やって欲しいという場合もあるのですが、これについても料理を例としてあげることが多いです。
美味しい料理を手早く作って食べたら幸せですよね。早く食事をすると食後すぐには満腹感を感じませんが、料理はしっかりと入っているので、沢山食べていけば、生活習慣病になってしまいますよね。
治療も同じで、手際よくやった場合は治療時間が短いので、時間的に物足りないと感じる人もいますが、実際にはしっかりと刺激が入った状態なので、さらに多くをやっていくと、身体が治療の刺激を消化しきれなくなってしまうので、せっかくの治療効果が減ってしまうことがありますし、悪化してしまうことがあります。
美味しい料理だって、沢山あると見た目的にも満足でしょうが、結局食べきれずに無駄にしてしまったり、身体を壊してしまったりするので、ほどほどがよいのですよね。
時間制で行っているところは、コース料理を味わう場所だと考えて治療を受けていくと、鍼灸治療のイメージに繋がりやすいのではないでしょうか。
私自身は、時間単位で治療をするときもあれば、だんだんと治療時間が短くなっていく場合があります。身体の状態を良く分かっているし、変化が読みやすい場合は、治療時間がどんどんと短くなっていくので、たまに自分でも早すぎたかなと思うときがありますね。
時間の長短だけで治療の良い悪いを決定していくことはできないので、治療者のやり方、治療院の作り方によって治療時間が変わるとしか言えないですよね。
鍼灸師側からしてみたら、そうだよなという部分なのかもしれませんが、患者さんからしたら、鍼灸治療は時間が統一されていないから分かりにくいと言われてしまえば、その通りと答えるしかないですね。