鍼灸師が感謝されやすいのは何故か?

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 いろいろな仕事をしている人と話をしていると、鍼灸の治療って患者さんから感謝されることが多いし、やりがいのある仕事だし、ありがたい仕事ですよね。

 他の仕事でも、感謝をされて心のこもったつながりになることがあるでしょうが、鍼灸では、より心がこもった対応をして頂くことが多いと思うのでしょうが、何故なのでしょうか。

 

 何故なのだろうといろいろ考えていたのですが、答えは「時間」にあるのかなと思いました。

 

鍼灸に通う人は、身体のどこかに問題を抱えているということで、病院に行ったり、どこかに通ったりしたことがある人が多いでしょうけど、病院や整骨院では治療時間が短く、患者さんの数が多いので、一人一人に時間をかけることができなくなります。

 

 時間をかけられないということは、患者さんとゆっくり話をする時間が少なくなってしまうので、患者さんの気持ちが変化する時間が取れないのではないでしょうか。

 

 気持ちが変化していくというのは、時間を使うか、話をするかで変化していくことが多いので、鍼灸治療だと、時間もかかることが多く、1対1での対応が多いので、ゆっくりと話をすることができますよね。

 

 この1対1という時間はかけがえのない物なので、継続して来院している人だったら、家族よりも親密に話をすることも出てくるのではないでしょうか。

 

 現代医学は多くの人に対応していくのが前提で制度とも絡むので、治療時間は少なく、だんだんと通わなくなるのが前提になりますね。話をゆっくりと聞くというのは、医療の行為としては非常に大切な要素ですが、直接的な医療行為ではないので、どうしても時間や手間をかけることができないです。

 

 小さな子どもは、親や周りの人に沢山話しかけますが、人は誰かと繋がっている、話を聞いてもらいたいというのが根本にあるでしょうから、ゆっくり話を聞いてあげられる鍼灸治療だと、患者さんも繋がりを深く感じて、感謝もしてくれるのではないでしょうか。

 

 もちろん、局所施術の鍼灸、短時間の鍼灸のような時間が短いタイプだと、相手との接触時間が短くなってしまうので、長いタイプ、1対1で行うタイプとは少し違うところが出てくるかもしれないですね。

 

 話を聞くだけではなく、痛みや不快感の変化を出してくれるという、結果も合わさってより感謝されやすい部分があるのではないでしょうか。

 

 患者さんと長く、深く話を聞いていくので、家族・友人よりも話を聞いてしまうことがあるので、情報管理は注意しないといけないです。例えば、家族・友人の個人的な相談の話しを聞いたとしたら、他の人に話し回りませんよね。

 

 治療院では紹介で来院される場合もあるので、個人的な話で、他に話していないことを話してしまったら、情報を漏らすことになってしまうので、注意しないといけないです。治療院の外でも、誰が聞いているかわからないですし、個人が特定されてしまう恐れがあるので、治療中に話した内容は、その人との秘密だと思っておくのがいいですね。

 

 話に対して個人的なアドバイスをしていくのもいいですが、人とのトラブルや対処だと、その人の相手に対して文句を言ってしまうことにもなるのでアドバイスも気を付けないといけないです。

 

 例えば、奥さんが来院されていて、旦那に対する愚痴を聞き、旦那の行動を非難したとします。奥さんが家でさらに腹を立て「治療院の先生もあなたが間違っていると言っていた」と言われたら、治療家も文句を言っていることと同じですし、激しい対立になってしまった場合は、会ってもいない人を敵にしてしまうことになります。

 

 私は、家族間のそういった話題を伺うこともありますが、「そうなんですね」と相槌をして終わりにしてしまうことが多いです。本当にとてつもなく酷いケースだったとしたら、対処をするためのアドバイスをする可能性はありますが、状況次第としか言えないですね。

 

 私自身は、鍼灸師が感謝をされやすいのは、「時間」にあると思っていますが、「効果」も大切な要素ですし、仕事としては「効果」が重要なので、患者さんの身体の状態をしっかりと把握し、治療効果が出せるように技術を向上させないといけないと思っています。

 

 言われもない非難を受けることはあるでしょうが、多くの場合は、感謝という気持ちを頂くことが多いでしょうから、鍼灸という仕事はやっぱりいい物ですし、やりがいがありますね。

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