日本鍼灸の未来と携帯電話

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 ふと日本鍼灸の未来はどうなのだろうと考えてみたのですが、もしかしたら携帯電話市場と同じようなことが起こるのではないかと思ったので、その理由を書いてみたいと思います。

 日本の携帯電話市場は、写真付でメールを送れたり、絵文字を扱えたり、着メロがあったりして、それなりの年の人は結構活用していたのではないでしょうか。

 

 ですが、今はそのサービスって残っていますか?

 

 携帯電話の機種で日本製を使っていますか?

 

 携帯電話はガラパゴス化だったと言われますが、ガラパゴス化は日本で生まれたビジネス用語ですね。ある市場で最適化が進行し過ぎてしまうと、その他の市場との互換性がなくなってしまうことで、生存性が高い、安くて汎用性が高い物が入ってくると淘汰されてしまうということです。

 

 日本の携帯電話市場はサービスも機種もキャリアで依存した状態だったために、キャリアを変えるだけで、同じような機種でも違う使い方になってしまい、普段利用して慣れていたサービスから切り離されましたね。

 

 最適化を図ったというのは、携帯電話でいろいろな利用の仕方を出来るようにしたということでもありますが、囲い込み商法として、顧客を手放さないように、顧客から自由度を奪っていった結果でもありますね。

 

 ガラパゴス化したことによって、海外へ普及するのは難しくなりましたし、海外からの技術・サービスを導入しにくくなってしまったために、よりガラパゴス化に拍車がかかり、何だかよく分からない状態になりましたよね。料金体系も複雑になって分からなさに拍車がかかったのではないでしょうか。

 

 結局、最終的にはどうなっているかは、わかると思いますが、現在の携帯電話は大きくは2つに分かれて、Google系かApple系ですよね。Google系では日本の機種はありますが、使っているソフトはGoogleなので、日本独自規格で作られたものは見かけないですよね。

 

 国もサービス利用者に最適化しようという考え方も出てきたので、SIMロック解除させることなどにやり方を変え、消費者が利用しやすいようにしていき、格安SIMが台頭してくることになりました。格安SIMは細かい内容はなく、シンプルに通話と通信で料金が決定するので分かりやすく、会社を変更しやすいので多くの人が利用するようになってきています。

 

 これが携帯電話市場ですが、鍼灸もガラパゴス化しているのではないでしょうか。

 

 日本鍼灸は、繊細な治療でしょうし、身体の観察も細かいと思いますし、世界的には使われていない透熱灸なども行っているので、特徴があり、いい治療だと思いますが、専門の鍼灸師でも日本の鍼灸って何かを簡潔に伝えられないでしょうし、外部から見たらどのように見えるでしょうか。

 

 何となくいいだろうというのは分かっても、それを伝えるためのツールなどがなければ分からないのではないでしょうか。

 

 現在は、中医学が世界の鍼灸治療の中でスタンダードになっているでしょうし、学校の東洋医学概論の教科書なども中医学ベースの知識になっていますよね。

 

 では、日本鍼灸って、どこで学ぶのでしょうか?

 

 教科書に出ていないと言うことは、日本鍼灸は学ばなくてもいいのでしょうか?

 

 鍼灸を知ったり、疑問を解消したりするということは、どこかの団体で解決できるのかと思ったとしても、沢山学会があってよく分からないですよね。どこかに所属をした方がいいと言われても、どこに所属をしたらいいかを簡潔に答えられる人はどれぐらいいるのでしょうか。

 

 もし、日本の鍼灸に興味を持つ人が居たとしたら、どこに連絡をすれば対応してもらえるのでしょうか。私は他の国に出たことがないので分かりませんが、鍼灸の講習会が全て中医学ベースで行われているのであれば、日本鍼灸の話しをしたとしても、誰にも理解されない物になるのではないでしょうか。

 

 だって、世界的に中医学ベースのカリュキュラムで学習した状態が続けば、中医学であるとことが前提になり、中医学以外では、それまでのデータの有効性も確認もしにくくなるでしょうから、他の物を入れる余地はなくなりそうですよね。

 

 資格は国家資格なので、日本から鍼灸が無くなる訳ではありませんが、日本のやり方というのは、どんどんと薄れていくのではないでしょうか。

 

 それが惜しいと考えていくのか、当たり前と考えていくのかは人によっても違うかもしれませんが、適応して生き残るのが強い生物ということになるので、残った物が正解と言えるのではないでしょうか。

 

 そういう点では、中医学は近年の中国で作られた治療法ですが、現代医学の知識も取り入れながら、書籍・ライセンス化が上手くいっているので、生き残りやすい状態になっているのではないかと思います。

 

 鍼灸というか東洋医学は中国で設立し、今まで残ってきている状態ですし、中国人は世界中で中華街を形成して生活しているので、生存に適しているのでしょうし、その人達が作った物だからこそ、生存する力が強いのではないでしょうか。

 

 もちろん、日本の文化としてある寿司は形を変えて世界に出て行っているので、日本鍼灸の一部は世界をまたいでいくでしょうけど、治療は一つの道具や一つの物だけではなく、考え方と治療なので、日本鍼灸として行っている物が世界で残るかと言うと、難しいところがあるのではないでしょうか。

 

 日本鍼灸に関する宣言もあるようですが、日本鍼灸とは何かという定義(治療?、理論)が書いていないので、やっぱりまとまらないままなのでしょうね。ということは、ガラパゴス化が進行するかなとも思います。

 

有名な流派が2~3個ぐらいになると、教科書を作り、広げていきやすいでしょうが、鍼灸師を育成する教科書が中医学なので、整合性が取れなくなるので、やっぱり中医学に寄っていくのではないでしょうか。

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