足底腱膜炎と鍼灸治療

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 足底腱膜炎は足底筋膜炎とも言われ、足の裏が痛くなるものです。スポーツが好きでやっていたのに、足底腱膜炎になってしまって、痛くて動けないのが続くと辛いですよね。しかも、良くなったと思ったら、また悪くなってしまうことがあるので、辛い疾患ですね。

 スポーツをしている人に生じる場合が多いですが、普通の生活をしている人でも、普段の生活疲労に、足の疲れがたまってしまうと生じる場合があります。老化でも生じる場合があるそうなので、足の裏の痛みが続くなと思ったら、足底腱膜炎を疑ってみるといいかもしれません。

 

1.足底腱膜炎の原因

 足の裏にはアーチという構造があり、これはVを上下反転させた状態になっています。歩いたり、走ったり、体重がかかったりすると、身体の重さを支えるスプリングの役割があります。

 

 体重がかからないときには、アーチが戻りますが、体重がかかるとアーチが潰されてしまいます。この繰り返しが起こると、アーチを支えている足底腱膜が伸ばされっぱなしになってしまい、炎症が生じてしまいます。酷くなってしまうと、腱がひっぱられることによって、骨棘(こつきょく)という骨のトゲが出来てしまい、切除の手術を行う場合があります。

 

 骨棘のことも考えると、慢性・長期化を避けて、痛みが出ないように工夫していく必要があります。

 

2.足底腱膜炎の症状は?

 足底腱膜炎の症状は足底の痛みですが、痛みが出やすい部分は腱(筋肉)が付いている部分になります。

  • 踵の近く
  • 土踏まず
  • 土踏まずの前側

 

 この中でも踵の近くや土踏まずは代表的な場所になりますね。痛みの生じる時間は、運動などをした後、起床したときが多いです。夜寝ているときに身体は修復されていくことが多いので、足底腱膜も寝ているときには修復されていきますが、寝起きで立つと、再び負担がかかってしまうことで、痛みが生じてしまいます。

 

 痛みが消えていくまでは3週間程度かかることがあるので、徐々に痛みが弱くなってきているようなら安心できますが、痛みが強いまま続いたり、痛みが強くなってきたりするようだと、整形外科で診てもらった方がいいですね。

 

3.足底腱膜炎の治療は?

 足底腱膜炎の治療となると整形外科を考える人も多いでしょうが、整形外科でもやり方に少し違いがあるので、一般的に行われやすいものだと、ストレッチ、靴の中敷きを変える、足底の運動としてタオルギャザー、ボールなどを踏んで足裏を柔らかくすることになりそうですね。

 

 どれも刺激を少しずつ加えていきながら、足裏の筋肉の状態を変化させていくことになるので、一気に痛みを取るよりは、段々と改善させていきます。現代医学は、機器を使うことも多いので、特定の機器を用いていくことで変化を出していくこともあると思います。

 

 個人で行えることは、ストレッチなど、先ほど述べた内容になってしまうので、日々の積み重ねをして、効果を期待するという状態になるでしょうね。

 

4.足底腱膜炎と鍼灸

 足底腱膜炎で鍼灸院に通おうという人はどれぐらいいるのか分かりませんが、来院されている患者さんの中で、運動をしている人、高齢な人、たまたま運動し過ぎた人もいるので、足底腱膜炎は対応することがある疾患の一つです。

 

 足底腱膜炎は痛みが非常に強いことが多く、立つのも歩くのも辛いのですよね。鍼灸治療だと、痛みが一気に激減することも多いので、足底腱膜炎で困っていると言う人は、信頼できる鍼灸師にお願いしていくのがいいと思います。

 

 良く用いられる方法としては、足裏に鍼をして電気をつけるか、お灸になってくると思います。足裏に鍼なんて、画鋲を踏むのと同じぐらい痛いのではないかと思うでしょうが、鍼灸で用いる鍼は、髪の毛ほどの細さですし、痛くないように道具が工夫されていますし、技術で痛くないようにするので、受けた方の感想は、「全く痛くない」「思っていたよりも全然痛くない」「ちょっとチクッと感じたかな?」ということが多いです。

 

 鍼を入れていくと、筋肉や神経に触れることがあり、その時に「ズーン」「ピリピリ」というような感覚になることがありますが、これは痛みではなく、「ひびき」と呼ばれる現象です。

 

 「ひびき」が苦手だったり、嫌だなと感じた場合は、鍼灸師に伝えると軽減してもらえることが多いですよ。その場所に、鍼に電気を流していくのですが、足底の筋肉が少しピクッピクッと動くので、その状態で10分程度待つことになります。

 

 終わってから立ってみると、大体の方が、「おっ」と声をだして変化を実感されることが多いです。経験的には、3~5回ぐらい施術を行うと、痛みはほとんどなくなるかなというところです。

 

 もちろん、症状の程度、普段の生活によって痛みを感じなくなるまでの期間が変わるので、症状や生活の状態も重要になります。と言っても、極端に歩く、激しい運動をするという状況でない場合は、上記の回数程度で落ち着くかなという印象ですね。

 

 状態によっては、1回で抜群の効果が出たという場合もありますが、効果には個人差もあるので、5回程度をみておくといいのではないでしょうか。

 

 炎症部に熱を加えるのは、現代医学的には、不可解になるところなのですが、お灸を炎症がある場所に行うと効果がみられやすいことが多いので、関節や筋肉の痛みには利用されることが多いです。もちろん、個人差があるので、やってみないとわからないところはありますが、効果的だと思いますよ。

 

5.まとめ

 足底腱膜炎になると、寝起きで立つのが痛いので、気持ち良い朝が不快感から始まるので、本当に辛いのですよね。私自身はなったことないですが、患者さんからの声としてよく伺っていたので、足底腱膜炎になると大変だなと感じていました。

 

 鍼灸をすると10の痛みが半分ぐらいまで落着き、残りの5~3ぐらいは、じりじりとよくなっていく感じですが、患者さんからの声としては、凄く感謝されることが多いですね。もちろん、鍼灸でもなかなかよくならない場合もあるでしょうが、痛みで悩んでいる方は、鍼灸も考えてみてもいいのではないでしょうか。

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