鍼の刺入は直刺が基本です

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 学校に入学してから最初に練習するのは片手送管や切皮で、その後に刺入を刺鍼練習機や自分の身体に刺すことを練習していくことが多いと思いますが、資格を取ってからも刺入の基本として大切なのは直刺になります。

 この直刺が何故、鍼灸師として大切なのかを理解するためには2点の理由があると思います。

  1. 思い通りに鍼を扱う
  2. 身体の状態を把握する

 この2点を見に付けるために鍼は直刺が基本だと言われているのだと考えていますが、その理由を加えて説明していきます。

 

1.思い通りに鍼を扱う

 髪の毛ほどの細い鍼を刺入しようとすると最初はクネクネと曲がってしまい、なかなか思い通りに扱えないのですが、慣れてくると曲げずに刺入を出来るようになるのですが、正確に刺入しようと思うと難しいものにもなります。

 

 例えば、筋肉の硬結を緩めたくて、その場所に刺入しようとしても、正確にその硬結部位に鍼を刺入することが出来なければ、十分な結果が得られなくなります。これは、局所治療が一番大切だという意味ではなく、自分が狙ったものがあり、そこに鍼を入れられなければ、自分の治療の狙いというものが達成できなくなるということです。

 

 そのため、鍼灸師として直刺を思うように出来るようにならないと、斜刺や水平刺をしようと思っていても、思う通りに鍼を刺入出来る力がないとできないからです。

 

 学校にいる間は、うるさい先生もいるでしょうし、直刺が出来ないと怒られたりすることもあるでしょうが、卒業すると誰からもチェックをされないので、自分の直刺が出来ているかは自分で確認していくことになります。

 

 私自身も思った通りに鍼を刺入することが出来ないのが分かっていたので、自分の身体で何度も練習をした覚えもありますし、今でも自分の治療をしながら確認をしています。

 

 自分では直刺をしたと思っていても、違う方向から見ると斜刺になっていることがあるので、刺入をした後に別の方向から必ず確認をするようにしています。治療の中でも直刺が出来ているかどうかを見た目で確認をして、刺入した後も思った効果が得られたかの確認をするようにしています。

 

 医師や美容師も絶え間ない練習をすることによって技術の向上・維持を行っているので、私自身も日々気を付けています。

 

2.身体の状態を把握する

 直刺をするために必要なのに、身体の状態を把握するというのがありますが、これは何を言いたいかというと、身体は平らなものではなく、円型をしているので、自分が真っすぐに入れたと思っても、斜めになってしまうことがあるので、姿勢や体位を考えて、本当に真っすぐに刺入できているかを確認することが大切になります。

 

 鍼をするのに、按摩10年とも言われますが、按摩を10年行うと、身体の隅々まで触ることになるので、どの方向から押せばいいのかを絶えず考えていくと、円型というのが自然と意識をされます。

 

 最初のうちは、とにかく押そうとしているので、真っすぐに押しているつもりでも、皮膚が滑ったりしているので、押す方向が間違っているということが多々あります。押す方向が間違っていたら、硬結があったとしても鍼を真っすぐに刺入しても、狙っていたところがずれてしまうので、自分が思った効果が得られないことがあります。

 

 例えば、座った状態で自分の大腿部を母指や他の指で押していくと、斜めに押せば洋服が引っ張られます。この状態は皮膚面を滑らしてしまっているので、鍼を切皮したときは皮膚を牽引しているので、手を離すと鍼が曲がります。

 

 私自身もマッサージなどは勉強として受けにいくことがありますが、真っすぐに押せる人は少ない印象があります。真っすぐに押せなければ、鍼の直刺も出来ないので、普段から押手の圧を注視して、皮膚を牽引していないかを確認することが大切です。

 

3.まとめ

 この2点に注意をしながら練習をしていると段々と直刺を行えるようになるので、自分の思ったところに鍼を刺入出来るようになります。私自身もまだまだ完全な直刺という訳にはいきませんが、学生時代よりは格段に上手くなりました。

 

 最初のうちは、とにかく一つ一つ集中して行うのが大切だと思います。その際は、皮膚をひっぱっていないか、鍼を押す方向が斜めじゃないかを注意することが大切だと思います。鍼の刺入には斜刺と水平刺もあるので、こちらのブログも参考にしてみて下さい。

斜刺と水平刺のやり方

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