東洋医学では気が大切になるということで、生命現象を4つに分け、それぞれに対応する気の名前を付けたのが、原気、宗気、衛気、営気という気の分類でしたが、それ以外に気の作用というのがあります。
・気の作用とは
気の作用とは人が生きているということは気があるのが前提になるので、気が生命にどのように働いているのかを分類したものになり、推動作用、温煦作用、防御作用、固摂作用、気化作用があるとしています。
東洋医学では自然観察がもとになって生命を考えるのですが、例えば、水で考えたときに、水道からコップに入れた水は、数日で腐ってしまいますが、地球に存在する水は、海から大気となり、雨水となり、大地では川になり、海に戻り、循環していて、自然のままに存在している水は動きもあり、腐らないです。
この考え方が前提にあるので、人の生命現象というのは止まることのないものであり、気が循環をしていて、生命現象が成り立つと考えていきます。
この生命現象が動いているということを表すのが推動作用と言われています。身体に気があり、その気が推動作用(流れる、流すという働き)を発揮することによって生命現象が成り立ちます。
そのために、この推動作用を他の単語で表すと、成長、発育、新陳代謝、気血津液に関係すると言われます。
例えば、決行が悪いのであれば、気の推動作用の低下と考えることができ、津液(水)の循環が悪くなれば、浮腫みも生じていきます。そのために、この推動作用は生命現象の根本と推動(押す、動かす)を表しています。
人が生きているという状態を考えたときに、生命があるということは、体温がありますよね。この体温があるという暖かいという状態は気があると考えることができるので、これを温煦作用という言葉で表しています。身体が冷えやすい状態になったときは、温煦作用の低下と考えることができます。
このように人が生きている状態を分類して、どういう働きなのかを考えたものが気の作用と呼ばれていくもので、引き続き説明をしていきます。
人が生きていくためには、環境適応でき、大きな病気にならないのが必要になりますが、この力のことを防御作用と言われています。湿度・温度環境などが変わると身体の調子が落ちてしまったりするのは防御作用が低下していると言えます。身体を守るという働きが入れられているので、身体を回復させる力があるともしています。
他に生命現象を考えていくと、人の身体には内臓や液体成分が入っていますが、漏れてくることはないですよね。これを固摂作用(漏らさない)と言います。例えば、生まれてすぐや無くなる前は排泄のコントロールができなくなりますが、これは生命現象の低下、つまりは固摂作用の低下といわれていきます。
最後に残った気化作用ですが、これは生命が成り立たせていくのに、栄養を取り、排泄を行うことが必要でこの働きのことを気化作用と呼びます。ちょっとイメージが付きづらいですね。
例えば、食事をして栄養を取ると、身体の中に必要なものに形を変えて利用されますよね。この物が形を変えることを気化と呼びます。食べ物から気血津液が生成されたのであれば、これは気化作用と表現することができ、消化吸収の働きが悪くなると栄養を蓄えられないので、気化作用が低下したと言えます。
気化作用は、変化するというのが前提になるので、他に何が気化作用と言えるかと言えば、排尿、発汗などがあります。身体の中に水があるのは津液と呼ばれていきますが、皮膚から水が出れば汗、尿道から水が出れば尿と名前を変えますよね。
この名前が変わることを気化作用と表現していきます。他には、身体の水が外に出て名前が変わるのは、唾、涙、よだれ、鼻水があるので、水が漏れるのは固摂作用の低下、出すことが出来なければ、気化作用の低下と考えることができます。
私自身、この気の作用と気の種類は学校で習っているときには、何となくイメージもつきづらかったのですが、臨床を経験し、また勉強をしたことで理解していくことが出来ました。
東洋医学の学習をするときの最初に気の作用と気の種類ということで習うことが多いのですが、なかなかイメージもしづらいので、勉強が進んでから再度学習するのが必要なところですね。
気に関してはこちらのブログも参考にしてみてください。
「気には分類がある」
「気血津液弁証」