顔色が青くなるのは何故―血寒証

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 人と会ったときに、体調が悪そうだと感じるのは、顔色で判断することが多いのですが、顔の血色がなくなった、青白い感じは体調が悪いのではないかと感じることが多いと思いますが、東洋医学ではいろいろ考えられますが、原因の一つとしては血寒証(けっかんしょう)の場合があります。

 血寒証とは、血が冷えてしまった状態のことをいいます。血が冷えるわけがないというのは、現代医学から考えれば当たり前になると思いますが、あくまでこれは症状に対して、身体に何が起こっているかのイメージになります。

 

 例えば、あまりに寒いとどうなるかと言えば、街中であれば道路が凍り、水も凍っていくと思いますが、これを身体のイメージにしていくと、寒いと身体も凍ってしまい、動きがにぶくなりとまってしまいます。

 

 寒いと、こわばるとも言いますが、動きたくもなくなりますよね。ということは、寒というのは固めてしまう性質があると考えることが出来ます。東洋医学的に何を固めてしまうのかといえば、身体は気・血・津液で出来ているので、これらを固めてしまうことになります。

 

 具体的に言えば、気は推動作用があり、気・血・津液を動かしているのですが、寒があると、推動作用が働けなくなり、気・血・津液の動きが止まってしまいます。血の動きを止めてしまったものが血寒証と呼ばれます。

 

 血の流れがなくなってしまうとどうなるかといえば、顔色は血の運行によって成り立っているので、血が止まってしまえば、血色を失い、青白くなってしまいます。それがあまりにも続いてしまうと、今度は青紫色になってしまいます。

 

 プールや海でもそうですが、寒さが続くと唇の色が青紫色になりますよね。これは血の流れが止まってしまい、血流がひどくあっかしてしまったことを現すもので、東洋医学では血瘀(けつお)の状態になったことが分かります。

 

 血の流れが悪くなってしまうと、他には痛みが生じることがあります。例えば、真冬で気温が下がっているところに防寒もしないで居たら、顔や耳、指先が痛くなってきますよね。この状態は血の流れが悪くなったということで血寒証によって生じることも多くあります。

 

 血寒証はどのような状況のときに起こるかと言えば、寒い時に生じやすいと言えます。先ほどに書いたように、冷えが強いと指先や耳が痛くなるのは、血寒証から血瘀が生じたものでしたし、血瘀がひどくなってしまうと、瘀血という状態に変わってしまいます。分かりやすいのは、しもやけ(凍傷)ですね。

 

【閲覧注意】

Googleで凍傷を画像検索すると、色が変わっているのも分かります

 

 冷えたときに血寒証が生じやすいのもありますが、身体が体温を維持することができないという生命力の低下でも生じることがあります。一般的には冷え症の人は血寒証が生じやすいと言えます。

 

 気の話でも出てきた温煦作用が低下すると、身体を温める働きが低下してしまうので、気の問題が強くなってしまった場合に起こりやすいです。血寒証としては同じですが、原因が変わります。

 

 冷え症の人は、寒さが強いときのように、手足などが冷えることもあるでしょうし、顔色が悪くなることもあります。女性では月経状態にも問題が表れることがあり、血の流れが悪くなると、女性生殖器(女子胞:じょしほう)に血が集まるまで時間がかかるので、月経周期が遅くなることがあります。

 

 さらに、血の流れが悪くなってしまうので、血瘀の状態も発生するので、月経血に塊が生じやすくなります。鍼灸の治療で、月経の状態を確認することもあるのですが、月経は血と関係が深いので、血の生成、流れに問題がないのかを確認するために必要になります。

 

 男性からすれば、月経を経験したことがないので、理解するのは大変なのですが、その分、知識を積めておくことが大切だと思います。

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