肩こりは本当に多いので、治療院に来院する人の多くは肩こりじゃないかと思います。肩こりがひどくなってしまって寝違えも多いですし、肩こりから派生していろいろな症状が出ている場合もあるので、慣れるのも必要ですが、注意も必要になると思っています。
私自身は卒業して、治療に出るようになって、肩こりの治療で、どういった状況が辛いなどの話しを聞いていたのですが、「ずっと痛い」というように増減を体感していない人も多くいて、とにかく楽にするのにどうしたらいいのかと局所治療を考えていましたが、ある人との話しの中で治療が変わりました。
患者さん:「肩こりがひどくて頭痛がする。」
私:「頭痛が出ると何もしたくなくなるので辛いですよね。」
患者さん:「そうそう、特に月経の時がひどいし、お腹がはってつらいです。」
という会話をしていたのですが、ふと頭の中に出てきたのが、“はってつらい”って、何か習った気がするということで、“脹痛”じゃないかと思いつきました。
脹痛は肝うつで発生する代表的な症状だし、もしかしたら、肝経の治療をしたら改善するのかもしれないと思ったのですが、本当かどうかの確認ができていないので、勉強したことを思い出して、質問をしてみました。
私:「お腹の脹りは月経前がつらくて、月経後は楽になりますか?」
患者さん:「そうそう、月経前がすごくつらいです。ただ、普段からお腹がはりやすいです。」
お腹がはるのは脾胃の問題でも生じることがありますが、脾胃は食後に発生しやすいので、継続してお腹がはるのは肝の病能で考えてもいいのかもしれないと思い、太衝穴を圧迫して、肩の硬結を触ってみると、軽減していました。
患者さん:「あらっ、さっきより楽だけど、そこが関係するの?」
私:「そうです、○○さんの肩こりは、ここから治療が出来るかもしれません。」
ということで、肝経からアプローチをしたところ、日に日に治療効果が見られていき、肩こりの治療から、むくみの治療と主訴が変わっていきました。数か月して、肩こりという発言をしなくなったのを確認してから会話をしてみました。
私:「最近、肩こりは感じないですか?」
患者さん:「そういえば、肩こりはないかも。あれ?疲れたとかは感じるけど、以前ほどではないかも。」
私:「肩や首が痛いって、おっしゃっていましたよね?」
患者さん:「そういえば、そうだった。肩こりよくなったのですね。」
本当は、日々の辛さの増減や身体の状態を細かく伝えていきながら治療計画を立てて行えばよいのですが、最初のうちは経験も少ないので、どのぐらいでよくなるかが分からなかったので、日々を過ごしているうちに気づくことが出てきました。
こういった経験が重なってくることによって、肩こりの患者さんでも、体調などを含めて必ず問診で尋ねることを行うようになりました。現場で症状を見ているとついつい気づかなくなることもあるのですが、私自身は患者さんに教えてもらいながら、今の自分があるので、治療に携わって日が浅い方は、大変かもしれないですが、体調に関しての話しをしっかりと尋ねておく方がいいと思います。