鍼灸には多くの流派がありますが、全ての鍼灸師が流派に所属している訳ではないですし、表に出てこないところもあるかもしれませんが、情報が入る流派の中では一番大きなところが経絡治療学会になります。
経絡治療学会は歴史も長いです。長いといっても数百年ではなく、戦前の勉強会のグループが段々と形を変えて出来上がったものになります。設立に関しては、『昭和鍼灸の歳月』が参考になります。
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『昭和鍼灸の歳月』では、戦前~戦後に経絡治療が設立された背景について細かく書かれています。成立に向かう人達のエネルギーを感じる書籍でもあり、ノンフィクションにも関わらず、小説のように書かれています。この書籍を書かれたのは、上池栄先生という鍼灸師の方です。私が初めて読んだときは、小説のように熱中して読み。二度目は確認するように読みました。
経絡治療を何のために作ったのかについても書かれているのですが、臓腑・経絡を使った治療を多くの方にしてもらうことによって、情報共有を図りたいという気持ちで出来上がった治療とも言えます。
治療内容は難経六十九難による配穴、仰向けでの治療(腹部)、背部兪穴の治療という形で、シンプルにしてありますが、応用はその人次第でもあり、多くの鍼灸師が影響を受けて、利用していると思います。『日本鍼灸医学 経絡治療・基礎編』『日本鍼灸医学 経絡治療・臨床編』という教科書もあります。
昭和の鍼灸情報はここの先生たちによって発表された古典研究・症例検討が多かったので、全国の多くの先生方が影響を受けています。関東ではいろいろな流派がありますが、関東以外の地域では流派の数が少なる傾向があり、地方だと経絡治療学会と東洋はり医学会がメインになってくると思います。
それだけ、鍼灸師に影響を与えた人達が多く所属していて、鍼灸に関しての研究がまとめられていて、最近では、『名人たちの経絡治療座談会』という書籍も出ています。この書籍に出ている先生たちに指導を受けた先生も多いので、いろいろな方の話の中で出てくるので、知っておくと話が分かりやすくなると思います。
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経絡治療学会では夏に夏季セミナーがあり、まとめて学習することが可能になっています。経絡治療では置鍼を用いた治療を行う先生も多いようなので、知っておくと応用ができるようになると思います。
治療をしていると、ぎっくり腰で急患として患者さんが来た場合、二人同時に治療を行わなければいけない状況もあるので、治療時間を短縮するか同時に治療するかの選択肢になるので、置鍼でも治療が行えるようになっていくといいと思います。
経絡治療学会では脈診を中心として治療をすることから、脈診は難しいからやりたくないという人もいますが、継続していれば、出来るようになるので最初だけが辛いので、そこを乗り切れば、自分の診断力向上にもつながります。
鍼や艾も最初に触ったときは、上手く扱えなくて苦労したはずですが、卒業するころには、普通に鍼が刺せるので、脈診も続けていけば向上していきます。