鍼灸の上手い下手はあるか

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 当たり前のことになるかもしれませんが、鍼灸が上手いか下手かというのは受ける側からすれば気になるところになりますが、鍼灸の上手い下手と考えると「鍼が痛い・痛くない」「効果がある・ない」ということで判定することが多いと思いますが、これが正解とは言えない場合があります。

 学生時代に同級生の中でも鍼灸の扱いが上手い・下手というのは気になるところです。何故、気になるかと言えば、お互いに実験台になるので、下手な人には当りたくないと思います。

 

 学生時代は凄く下手だったのに、卒業してからどんどん上達し、ものすごく上手になることがあるので、継続は力なのだなと思うこともあります。

 

 さて、鍼灸の上手・下手が痛みだけでは測れないのは何故かと言うと、身体の調子によっても痛みを感じやすいときはあります。そういうときに治療を受ければ痛みを感じやすくなるので、下手な人と感じてしまうこともあります。

 

 もちろん、そういった身体の状態を把握して調整できるのが本当に上手い人だと考えることは出来るのですが、クローンが出来ない限りは、同じ人はいないので、その人ごとの身体の状態を把握しないといけないので、完全に上手だと言えるのは難しいことがあります。

 

 上手いと有名な先生のところに行ったけど、痛くてたまらなかったという患者さんもいるので、完全なものはないと思います。ただ、この痛いということが鍼のひびきを痛みとして表現することがあるので、この場合は、それだけでは上手・下手ということはできないです。

 

 鍼を刺していくと、ズーンという重い感じやピリピリと感じることがあるのですが、これは鍼灸師側ではひびきとして捉えていて、鍼灸師によってはひびきがないと治療効果がないと考えている場合があります。

 

 ひびきを出したいところに正確に出せるということでは、技術としては上手なのですが、ひびき嫌いな患者さんにとっては、痛いだけのものであり、この場合は治療スタイルが合わなかったというのが本質なので、上手・下手とは関係がないと言えます。

 

 患者さんによって合わせるのが上手ではなかったというのは正しいとは思うのですが、治療を行うのに、全力を尽くすのであれば自分の特異なアプローチをするのが患者さんに取ってもいいことなので、ひびきによる痛みで継続できなかったのは、お互いに残念な結果なのかなと思います。

 

 治る・治らないというのは定義が非常に難しいものなのですが、病院で治らなかったから、鍼灸に来たけど、変わらないということを言われることも多いのですが、1回の鍼灸治療でよくなることもありますが、多くは時間がかかります。

 

 ただ、どの人も鍼灸は1回で治るという期待があるのは分かるのですが、全部が1回でよくなるわけではないので、受ける側も理解することが必要です。しかし、鍼灸師側がそういった患者さんの気持ちを踏まえて安心できるような治療計画をしっかりと立てて、患者さんに提案をすることが大切になるのだろうと思っています。

 

 もちろん、何回で治ると断言はできないことは多いので、何回ぐらいでどのぐらいの状況になって、そこで予定通りにいかなかった場合は、どうしていくかを提案するのは必要だと思います。

 

 偉そうなかたちで書いてありますが、一番は自分へのいましめでもありますね。忙しくなってしまったりすると、自分のことしか見えなくなってしまうので、注意をしていきたいと思います。

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