ツボはどうやって選ぶか?

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 鍼灸を行うときにツボを決定してから治療に入りますが、ツボはどうやって決めるのかを悩むことが多いと思います。初心者だけではなく、治療歴が長い人でも悩むことがあるようですが、これには理由があります。

 初心者がツボを決定するのは、考え過ぎが一番多いと思います。ツボの決定する要素は次のものがあります。

  • 痛みのある部位で決定(圧痛点)
  • 触った感覚
  • 知識から選ぶ
  • 経験から選ぶ

 

 初心者は経験がないので、知識や触った感覚で選ぼうとするのですが、知識に経験が加わっていないので、結論としてはやってみるしかないです。知識が不十分で自身がないのは、自分の足らなさなので知識を積み重ねることが先です。

 

 自分の感覚を信じてツボを選ぶのであれば、悩むと先に進まないので、ひたすら突き進むしかないです。経験が積み重ねられることによって、自分の感覚も変化をしていくのですが、その変化を感じるには時間が必要になるので、とにかくやるという気持ちが大切になります。

 

 痛みのある部位で決定するのは、単純な治療とも言える圧痛点治療になるのですが、この圧痛点に関しては、患者さんが痛みを訴えた部位を触るということでは非常に大切なものです。

 

 初心者に多いのは、病態を考えることが中心になってしまい、痛いところを治療(手当)して欲しいという気持ちに答えられないことがあるので、まずは痛いとか症状を訴えたところは触れることが大切です。

 

 腹痛や胸痛など触るのに注意が必要な部位は、安易に触るのは駄目ですが、手当を受けたくてきているので、触る行為が大切になります。局所に鍼をしたら悪化をするかもしれないという気持ちが出ることもあるでしょうが、切皮だけではなかなか悪化はしづらいので、切皮だけをする、鍼管だけを叩くというのもいいと思います。

 

 局所は切皮だけ、鍼管を叩くだけでも大きな効果が得られることもあるので、局所の変化や治療はいろいろ行っておくと経験が積み重ねられます。

 

 初心者から時間が経つと、今度は局所以外から治療をしたくなるし、治療経験が積み重ねられているので、局所の施術をしないでも効果を発揮することが出来るのですが、手当を受けたい部位に何もしないということが多くあります。

 

 治療効果では満足したけど、心では満足できないという状態に陥りやすいので、局所の触診、丁寧な説明を重ねることが重要だと思います。

 

 知識から治療を組み立てようとしても、知識は忘れるのは早いですが、覚え続けるのは大変なので、学生時代からすればどんどんと知識の低下が始まり、使うところしか頭にないので、広い知識の欠如が生じています。

 

 知識が少ないと、経験での対処になるので、見たこともない疾患は対処が出来なくなることがあります。その点では、身体全体を気血などで考える見方を普段からしていないと対処できなくなってしまうことが多いと思います。

 

 私自身は、中級に入ったところだと思いますが、手当・知識というところが欠如をしているのではないかと思います。そうでなければ、こういう文章にはならないですしね。

 

 私は多くの先生を知っている訳ではありませんが、経験も長く、治療を続けているかたは、自然と局所に手が伸びて、問診を行ったり、治療のときでも注意をしたりして患者さんとのコミュニケーションが近接していると感じることがあります。

 

 母親や父親のような家族に近い接し方をしていながらも、自分のやり方は行い、相手がして欲しいことにも対処をするという、バランス感覚は難しいものだなと思います。

 

 ツボを選ぶのは自分が決めるしかないので、普段からどうしたらいいかを考え続けておくことが大切だと思います。

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