止まらない咳と鍼灸治療

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 咳は風邪をひいたときに出ることが多いですが、風邪をひいた後や風邪以外のときでも咳が出てなかなか止まらないことがあります。夜中に咳が続くと十分は睡眠が取れないので非常に辛いですよね。

 咳が生じた場合は、肺か腎に対して治療を行うのが重要になりますが、肺の場合は、乾燥によって生じることが多いです。肺は水の上源と言われ、水が豊富にある必要があるのですが、乾燥をしてしまうと、肺の陰液が損傷してしまい、咳として症状が現れます。

 

 咳が続くようだと、マスクをして乾燥から肺を守ることが大切です。忙しさで休めない状態で咳が続いているようであれば、肺ではなく腎の働きが低下していることも考えられます。

 

 肺だけではなく、腎の問題も生じていると治療も時間がかかることがあります。呼吸は肺が関係すると言われているのですが、肺と腎で考えると呼は肺、吸は腎として考えます。

 

 夜中の咳が止まらないようだと、陰虚になってしまっている可能性もあるので、陰気を補うことが必要になります。私自身も一時期、夜中に咳が止まらなくなって、1か月ぐらい睡眠不足に陥ったことがあります。

 

 陰虚の場合は、食養生を考えることも大切で、陰気を補いやすい、スイカ、梨、桃は効果的だと言われています。黒ゴマ、ひじき、のり、わかめなども陰気を補う作用があります。食事に関しては、「陰虚 食養生」か「陰虚 食事」で検索するといろいろと出てきますよ。

 

 咳止めということでツボを考えると天突や尺沢が効果的だと言われます。天突は前から真っすぐに刺入するのではなく、胸骨裏面に向けて刺入するようにします。胸膈と関係をしやすい部位なので体格にもよりますが刺入は5~1㎝程度です。

 

 尺沢に刺鍼をするのもいいのですが、尺沢の上方で上腕二頭筋上に圧痛が出ている場合は上尺沢として用いることがあります。尺沢の上1~3寸ぐらいの間で探すと圧痛が見つけやすいと思います。

 

 肺が関連するのが咳なので上背部を温めておくだけでも咳が少し楽になります。腎の問題が発生しているようであれば、太渓を使うのもいいでしょうし、患者さんに足首を自分で他動的に回してもらうのも効果的になります。

 

 咳がひどいときには、胸膈の動きが悪くなっていることも多いので、背部膀胱経の2行線や前面の肋間にお灸を加えると呼吸が楽になりやすいです。

 

 肋間はすぐ下に胸膈があるので、刺入に関しては注意が必要な部位なので私は肋間にお灸を使うことが多いです。透熱灸が出来ないのであれば、台座灸でもいいのですが、火傷にはくれぐれも注意をする必要があります。

 

 咳とは関係がないですが、期門・日月にお灸を加えると、背部が楽になりやすいですよ。期門は経穴の教科書が数年前にかわったようで、中国で言われている第6肋間になり、日月は第7肋間になります。

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