東洋医学で考える風邪のメカニズム

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 風邪をひいたことないという人はいないと思いますが、風邪をひいたときの症状は東洋医学でどう考えるのかを書いてみたいと思います。

 風邪をひきそうだという感覚があると思いますが、どのような症状か考えてみると、寒気がすると熱っぽいというのが当てはまるかと思います。これは、身体を守る衛気の働きの低下や肺の働きが低下し皮毛が弱っている状態で発生すると考えられます。

 

 身体を守るものがなくなってしまったので、ちょっとした風や寒さを敏感に身体が感じることが多いので寒気がします。これは外邪が身体に影響をし始めた証拠であり、外邪によって気血の流れが停滞してしまい、うつ熱になってしまうので熱っぽさが現れます。

 

 この他にも風邪の引きはじめの症状としては、うなじの辺りが強張ったり、関節のあたりに違和感が生じることがあります。うなじの強張りであれば、列欠が四総穴として使えますし、関節の違和感は節痛なので五行穴の兪穴が使えるので、経絡の流注を考えて兪穴を選ぶか、肺・大腸から使うのもいいです。

 

 風邪の症状が進行すると悪寒から発熱が強くなってきて、寒さを感じなくなりますが、発熱が強く出るようであれば、正気と邪気の争いが盛んだと言えます。熱が一気にあがると下がりやすいですが、これは体力がある証と考えられます。

 

 発熱がなかなかしないようだと正気の働きが弱っていることもあるので、風邪が治るまで時間がかかります。さらにうっすらと発汗をしているようであれば、気の不足が考えられるので、気を補うことも考える必要があります。

 

 風邪に治療においては、陽維脈の外関、大椎、風門を使うことができます。背部全体にお灸を行うか、吸角(吸い玉)を行うのも効果的です。吸角は表証の症状(風邪症状)や実証には効果が出やすいので、風邪の引きはじめの方にはお勧めです。

 

 私自身もポンプ式の吸角を持っているので、風邪をひきそうだなと思ったときには、肩から上背部に行うことがあります。もちろん、自分の手が届く範囲ですけどね。

 

 熱が出た後に汗をかいてすっきりするという話しもありますが、これは発汗によって体内にこもっていた外邪(熱邪)が体外に出るので、外邪がいなくなったと考えることができます。

 

 風邪の方に上背部に施術をすると発汗をすることがありますが、汗をそのままにしてしまうと風邪がひどくなってしまうので、治療で発汗をしたらタオルで拭くのがいいです。

 

 風邪のあとに、お腹の調子が悪くなったり、咳がでたり、鼻水が続いたりすることがありますが、外邪が脾胃に影響を与えればお腹、肺に影響を与えれば咳・鼻水の症状が出ることがあります。

 

 症状によって使う経穴は変えていきます。漢方だと風邪の引きはじめは葛根湯と言われますが、ぞくぞく寒気がして、ふしぶしに違和感が生じたときには葛根湯は効果がありますが、発熱が強くなったりしたら、葛根湯の状態ではなくなるので、症状によって漢方を変える必要があります。

 

 ぞくぞくし始めたら、葛根湯がいいのですが、生姜やネギを沢山とるのもお勧めです。

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