ゲップは空気を飲みこみ過ぎてしまうことで呑気症と言われることがありますが、一般的には、空気を取り込むことになってしまうので急いで食べない、健康的な食生活、ストレス軽減と言われますが、それでいいのでしょうか?
東洋医学でゲップを考えたときに、噯気・噫気と呼ばれますが、原因は胃の働きである通降(降濁)の働きが低下したときに生じます。そのため、よく言われる食生活というのは間違っている正しいと考えることができます。
胃は受納・腐熟と言う働きがあり、食べ物を取りこんで一時的に消化する働きがありますが胃の働きを超えてしまった場合に胃の働きが低下することがあり、消化が上手くいかなくなるだけではなく、通降の働きが低下してしまうことがあります。
この通降の働きが低下してしまったものが、以下のようになります。
- 噫気・噯気:ゲップ
- 噦・吃逆・呃逆:しゃっくり
- 悪心:気持ち悪さ
- 嘔吐:吐き出してしまう
例えば、食べ過ぎたときにゲップや吐き気が出るのは胃の働きを超えて食べたことによって生じます。とてつもなく食べれば吐きますが、これは悪心でおさまらずに出てしまったことによります。
脾胃は中焦(大腹)にあるとされ、脾は上昇、胃は下降ということで上下のバランスを取っているので、脾の働きが低下すると胃の下の力が強くなり、食べたものが下から出てしまう軟便や下痢が生じます。
胃の働きが低下すると、脾の上の力が強くなり、食べたものが上から出てしまう、悪心と嘔吐が生じます。ゲップが出やすい方は、胃の働きが低下しやすいと考えられるので、胃の働きを向上することが必要になります。
中脘は胃の募穴であり、治療効果も高いのですが刺激が強いと、胃の働きが低下してしまい、余計に気持ち悪くなることがあります。患者さんへの予後指導であれば、胃のところに低温火傷に注意をして、カイロを貼っておくのも効果が高い方法になります。
鍼灸で刺激をするのであれば胃の六ツ灸を行うのも効果的になります。予後指導であれば、背骨上で肩甲骨より下の辺りに中脘と同じように火傷に注意をしてカイロを貼ってもらうと効果的にもなります。
胃の働きの低下は食べ過ぎや食事の問題があるのですが、それ以外には、ストレスとも大きく関係をしていきます。ストレスは情志(感情)の抑うつということなので、肝うつが発生してしまいます。
肝の疏泄の働きは、脾胃の働きの促進や補助を行っているので、肝うつになってしまうと、脾胃の働きを阻害してしまいます。その場合は、合谷や太衝を使っていくことが必要になります。
予後指導であれば、期門や肝兪のところにカイロを貼るのも効果的だと思います。もちろん、情志の抑うつがあるので、ストレスの発散についても話をいくのが必要だと思います。
この病能は弁証名では肝胃不和と言われることがあり、悪心・嘔吐以外には、胃は降ろす働きなので低下してしまえば、食物が下りないので、便秘になってしまいます。便秘があって、吐き気があるようであれば、胃の問題と考えることができます。